
ノーベル文学賞の候補作家
「2025年のノーベル文学賞予想!」をするつもりはないけど気になる、ノーベル文学賞候補としてオッズに名前が挙がっている作家さんの近ごろの動向。
候補として選ばれるのは、ブッカー賞など国際的な文学賞の影響が強いけれど、この2025年に選ばれる決め手みたいなものは、やはり今年、昨年に発表した作品の評価がカギになるように思う。ということで、こちらのオッズ上位の作家の近年発表した作品や受賞歴をメモ。ハン・ガンは、直前のオッズでは34倍で上から29番目だったので、上位30名を調べる予定です。
Nicer Odds
Nobel Prize in Literature Odds
今回は、イギリスのブックメーカー「ナイサーオッズ」の2025年10月6日現在の順位を参考に調べます。
ノーベル文学賞の候補作家についてまとめたページは↓こちら。こちらのページには候補作家の一覧表や2025年ノーベル文学賞のオッズのリンク集のほか、「ノーベル文学賞候補作家の気になる一冊」として本紹介もしています。

ノーベル文学賞の候補作家一覧
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日本人のノーベル文学賞の候補作家の近ごろの本と受賞歴
村上春樹
作品
2024年
『デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界』(文藝春秋)
『The City and Its Uncertain Walls』
Philip Gabriel訳 (米国Knopf、英国Harvill Secker)/『街とその不確かな壁』
2023年
『街とその不確かな壁』(新潮社)
『Haruki Murakami Manga Stories』
ジャン・クリストフ・ドゥヴニ翻案, PMGLイラスト (全3巻/チャールズ・イー・タトル出版)
文学賞
2025年
アブダビ・アラビア語センターより第19回シェイク・ザイード・ブック・アワード (最優秀文化人賞)授与
Lifetime of Excellence in Fiction Award
2023年
アストゥリアス皇太子賞・文学部門
2024年、早稲田大学より名誉博士号。アメリカン・アカデミー・オブ・アチーブメントよりゴールデン・プレート授与。英国王立文学協会インターナショナル・ライターに選出。2025年、アイスランド大学名誉学位。
翻訳作品
2025年
『最後の大君』『草の竪琴』『ある作家の夕刻』『虚言の国』
2024年
『哀しいカフェのバラード』
2023年
『フィッツジェラルド10 傑作選』(文庫)『心は孤独な狩人』(文庫)『遠い声、遠い部屋』『世界で最後の花』『英語で読める『おおきな木』』
多和田葉子
作品
2025年
『研修生』(中央公論新社)
金井美恵子
作品
2023年
『Mild Vertigo』
Polly Barton訳 (New Directions)/『軽いめまい』
文学賞
おそらくなし
小川洋子
作品
2025年
『サイレントシンガー』(文藝春秋)
『そこに工場があるかぎり』(集英社文庫)
2024年
『耳に棲むもの』(講談社)
『Mina’s Matchbox』
Stephen Snyder訳 (米Pantheon、英Harvill Secker)/『ミーナの行進』
2023年
『からだの美』(文藝春秋)
『川端康成の話をしようじゃないか』佐伯一麦 (共著/田畑書店)
文学賞
おそらくなし
2023年、日本芸術院賞、国際交流基金賞。2024年、日本芸術院会員となる。
柳美里
作品
2025年
『黄色い家 上』『黄色い家 下』(中公文庫)
『春のこわいもの』(新潮文庫)
『Ashes of Spring』
David Boyd, Hitomi Yoshio訳, Sura Siu声 (Audible)
2023年
『黄色い家』
『深く、しっかり息をして』
2026年、Picadorより『Sisters in Yellow』が発売予定。
文学賞
2023年
全米批評家協会賞・小説部門最終候補『All the Lovers in the Night』Sam Bett, David Boyd訳 (Picador)/『すべて真夜中の恋人たち』
読売文学賞小説賞『黄色い家』
2024年7月より芥川賞の選考委員を務める。
日本人の候補作家の世界の文学賞の受賞歴ほか
村上春樹
2006「フランツ・カフカ賞」受賞
2009「エルサレム賞」受賞
2023「アストゥリアス皇太子賞・文学部門」受賞
2005「日伊ことばの架け橋賞」受賞『街とその不確かな壁』
多和田葉子
2016「クライスト賞」受賞
2018「全米図書賞・翻訳文学部門」受賞『地球にちりばめられて』
2025「ネリー・ザックス賞」受賞
金井美恵子
なし。『軽いめまい』の英訳版が話題に。 *1
小川洋子
2020「ブッカー国際賞」最終候補『密やかな結晶』
柳美里
2020「全米図書賞・翻訳文学部門」受賞『JR上野駅公園口』
川上未映子
2023「全米批評家協会賞・小説部門」最終候補『すべて真夜中の恋人たち』
群像 | 講談社
なぜ金井美恵子はヨーロッパで爆発的に話題を呼んだのか?海外事情の最前線を知る「世界の窓口」が明かす、異例の超人気の「火つけ役」(講談社文庫出版部)(2025.02.18)
多和田葉子、川上未映子、金井美恵子…ノーベル賞候補常連の「米出版社」が語る、いま欧米で「日本人作家の特大需要」が止まらない「驚きの理由」(講談社文庫出版部)(2025.02.19)
*1 「群像」のXより
【解説翻訳】ケイト・ザンブレノさん(西山敦子さん 訳)「金井美恵子『軽いめまい』英語版・巻末エッセイ」 『軽いめまい』英語版はニューヨーク・タイムズやアトランティックで紹介されるなど話題になっている。『ヒロインズ』の著者による解説エッセイを特別掲載する。#群像8月号
ノーベル文学賞の候補作家の近ごろの本と受賞歴(オッズから)
2023年から2025年10月現在の候補作家のこと。上は著書、下は文学賞。翻訳者名があるものは英語版や日本語版など。ただし、Wikipediaに記載があったもののみ。
クラスナホルカイ・ラースロー
作品
2024年
『Zsömle odavan』(Magvető Kiadó)
『Herscht 07769』
Ottilie Mulzet訳 (New Directions)
文学賞
2024年
フォルメントール賞
残雪
作品
2025年
『Mother River』
Karen Gernant, Chen Zeping(Open Letter)
2023年
『新叶』(New Leaves Hunan Children’s Publishing House)
文学賞
2024年
アメリカ文学賞
クリスティーナ・リベラ=ガルサ
作品
2025年
『Death Takes Me』
Sarah Booker, Robin Myers訳 (Hogarth)
2023年
『Liliana’s Invincible Summer』(Penguin Random House)
文学賞
2024年
ピュリッツァー賞・伝記部門『Liliana’s Invincible Summer』
2023年
全米図書賞・ノンフィクション部門最終候補『Liliana’s Invincible Summer』
2024年「BBCが選ぶ100人の女性 (BBC 100 Women)」に選出。
エンリーケ・ビラ=マタス
作品
2025年
『Canon de cámara oscura』(Seix Barral)
『Montevideo』
Sophie Hughes, Annie McDermott訳 (Yale University Press)
文学賞
おそらくなし
ジェラルド・マーナン
作品
たぶんなし
文学賞
おそらくなし
ミルチャ・カルタレスク
作品
たぶんなし
文学賞
2025年
国際ブッカー賞ロングリスト『Solenoid』 Sean Cotter訳
2024年
ダブリン文学賞『Solenoid』 Sean Cotter訳
トマス・ピンチョン
作品
2025年
『Shadow Ticket』(Penguin Press)
文学賞
おそらくなし
サルマン・ラシュディ
作品
2024年
『Knife: Meditations After an Attempted Murder』(Random House)
2023年
『Victory City』(Random House)
文学賞
2025年
オーサーズ・ギルド「Champion of Writers Award」
2024年
全米図書賞・ノンフィクション部門最終候補『Knife: Meditations After an Attempted Murder』
2023年
ドイツ書籍協会平和賞
2023年、コンパニオン・オブ・オナー勲章。米タイム誌「世界で最も影響力のある100人 (TIME100)」に選出。
ジャメイカ・キンケイド
作品
2024年
『An Encyclopedia of Gardening for Colored Children』Kara Walkerイラスト (Farrar, Straus and Giroux)
文学賞
おそらくなし
カール・フローデ・ティラー
作品
たぶんなし
文学賞
おそらくなし
コルム・トビーン
作品
2024年
『Long Island』(米Scribner)、『Long Island』(英Picador)
『マジシャン: トーマス・マンの人と芸術』
伊藤範子訳 (論創社)
文学賞
2025年
国際ダブリン文学賞ロングリスト『Long Island』
2024年
ヴュルト=ヨーロッパ文学賞
2025年、オックスフォード大学より名誉博士号を授与。
エルシ・ソティロプル
作品
たぶんなし
文学賞
おそらくなし
ナーダシュ・ペーテル
作品
たぶんなし
文学賞
2025年
プール・ル・メリット科学芸術勲章
ピエール・ミション
作品
たぶんなし
文学賞
おそらくなし
アントニオ・ロボ・アントゥーネス
作品
2024年
『As Outras Crónicas』
2023年
『By the Rivers of Babylon』
Margaret Jull Costa訳 (Yale University Press)
文学賞
おそらくなし
Bushra Al-Maqtari
作品
たぶんなし
文学賞
2024年
トゥホルスキー賞
2023年
Banipal Prize for Arabic Literary Translation『What Have You Left Behind?: Voices from a Forgotten War』Sawad Hussain訳 (Fitzcarraldo Editions)
イブラヒーム・アル・コーニー
作品
たぶんなし
文学賞
おそらくなし
マイケル・オンダーチェ
作品
2024年
『A Year of Last Things』(Jonathan Cape)
『イギリス人の患者』
土屋政雄訳 (創元文芸文庫)
文学賞
おそらくなし
ノルベルト・グストライン
作品
2023年
『Mehr als nur ein Fremder』(Carl Hanser Verlag)
文学賞
おそらくなし
閻連科
作品
2025年
『聊斎本紀』
谷川毅訳 (河出書房新社)
2024年
『小説的信仰』(聯經出版)
2023年
『聊齋本紀』(聯經出版)
『聊齋的帷幔』(聯經出版)
『Heart Sutra』
Carlos Rojas訳 (Grove Press)
『中国のはなし: 田舎町で聞いたこと』
飯塚容訳 (河出書房新社)
『四書』
桑島道夫訳 (岩波書店)
文学賞
2024年
全球華文文学星雲賞・貢献賞
紅楼夢文学賞・専家推薦賞
カール・オーヴェ・クナウスゴール
作品
2025年
『The Reenchanted World』
Olivia Lasky, Damion Searls訳 (Harper’s Magazine)
2024年
『Arendal』(Forlaget Oktober)
『The Third Realm』
Martin Aitken訳 (Penguin Press)
2023年
『Nattskolen』(Forlaget Oktober)
『The Wolves of Eternity』
Martin Aitken訳 (Penguin Press)
『Out of the World』
Martin Aitken訳 (Archipelago)
文学賞
2023年
レーニン賞 (スウェーデン)
ヘレ・ヘレ
作品
2025年
『Hey Hafni』(Gutkind)
2023年
『Hafni fortæller (Hafni Says)』(Gutkind)
文学賞
おそらくなし
イサベル・アジェンデ
作品
2025年
『My Name Is Emilia del Valle』(PLAZA & JANÉS)
2023年
『The Wind Knows My Name』(Bloomsbury Publishing)
文学賞
おそらくなし
ミルトン・ハトゥム
作品
たぶんなし
文学賞
おそらくなし
ミシェル・ウエルベック
作品
2025年
『H・P・ラヴクラフト: 世界と人生に抗って』
スティーヴン・キング (共著), 星埜守之訳 (河出文庫)
2024年
『わが人生の数か月 2022年10月-2023年3月』
木内尭訳 (河出書房新社)
2023年
『Quelques mois dans ma vie : Octobre 2022 – Mars 2023』(Editions Flammarion)
『滅ぼす 上』『滅ぼす 下』
野崎歓,齋藤可津子,木内尭訳(河出書房新社)
文学賞
2025年
エルサレム賞
アレクシス・ライト
作品
2025年
『Tracker』(UK版/And Other Stories)
2023年
『地平線の叙事詩』
有満保江,李尧訳 (現代企画室)
文学賞
2025年
ダブリン文学賞最終候補作『Praiseworthy』
Women’s Prize for Non-Fiction『Tracker』
2024年
ステラ賞『Praiseworthy』
マイルズ・フランクリン賞『Praiseworthy』
2023年
ジェイムズ・テイト・ブラック記念賞受賞
Queensland Literary Awards『Praiseworthy』
セサル・アイラ
作品
2024年
『En el pensamiento』(Random House)
『Festival & Game of the Worlds』
Katherine Silver訳 (New Directions)
2023年
『Fulgentius』
Chris Andrews訳 (New Directions)
文学賞
おそらくなし
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