
- 国際ブッカー賞の歴代受賞作と受賞作家の一覧表
- 国際ブッカー賞の受賞作と最終候補作の一覧表
- 「国際ブッカー賞」のこと
- 2025年国際ブッカー賞のこと
- 日本語で読める国際ブッカー賞受賞作
- 日本語で読める国際ブッカー賞最終候補作
- 2023年「鯨」チョン・ミョングァン
- 2023年「ヘヴン」川上未映子
- 2021年「寝煙草の危険」マリアーナ・エンリケス
- 2020年「ハリケーンの季節」フェルナンダ・メルチョール
- 2020年「スモモの木の啓示」ショクーフェ・アーザル
- 2020年「密やかな結晶」小川洋子
- 2019年「廃墟の形」フアン・ガブリエル・バスケス
- 2018年「バグダードのフランケンシュタイン」アフマド・サアダーウィー
- 2018年「すべての、白いものたちの」ハン・ガン
- 2018年「ウィズ・ザ・ライツ・アウト ヴェルノン・クロニクル」ヴィルジニー・デパント
- 2017年「救出の距離」サマンタ・シュウェブリン
- 2016年「忘却についての一般論」ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ
- 2016年「僕の違和感」オルハン・パムク
- 2016年「ある一生」ローベルト・ゼーターラー
- 2016年「四書」閻連科
- 2016年「失われた女の子」エレナ・フェッランテ
国際ブッカー賞の歴代受賞作と受賞作家の一覧表
年 | 作品名 | 著者 | 翻訳者ほか | 国名 |
---|---|---|---|---|
2024年 | Kairos | ジェニー・エルペンベック | スーザン・ベルノフスキー | ドイツ |
2023年 | Time Shelter | ゲオルギ・ゴスポジノフ | アンジェラ・ローデル | ブルガリア |
2022年 | Tomb of Sand | ギータンジャリ・シュリー | デージー・ロックウェル | インド |
2021年 | At Night All Blood is Black | ダヴィド・ディオップ | アンナ・モスコヴァキス | フランス |
― | 夜、すべての血は黒い | ダヴィド・ディオップ | 加藤かおり/早川書房 | フランス |
2020年 | Discomfort of Evening | マリーケ・ルカス・ライネフェルト | ミシェル・ハッチソン | オランダ |
― | 不快な夕闇 | マリーケ・ルカス・ライネフェルト | 國森由美子/早川書房 | オランダ |
2019年 | Celestial Bodies | ジョハ・アルハーシ | マリリン・ブース | オマーン |
2018年 | Flights | オルガ・トカルチュク | ジェニファー・クロフト | ポーランド |
― | 逃亡派 | オルガ・トカルチュク | 小椋彩/白水社 | ポーランド |
2017年 | A Horse Walks Into a Bar | デイヴィッド・グロスマン | ジェシカ・コーエン | イスラエル |
2016年 | The Vegetarian | ハン・ガン | デボラ・スミス | 韓国 |
― | 菜食主義者 | ハン・ガン | きむふな/クオン | 韓国 |
2015年 | ― | クラスナホルカイ・ラースロー | ― | ハンガリー |
2013年 | ― | リディア・デイヴィス | ― | アメリカ |
2011年 | ― | フィリップ・ロス | ― | アメリカ |
2009年 | ― | アリス・マンロー | ― | カナダ |
2007年 | ― | チヌア・アチェベ | ― | ナイジェリア |
2005年 | ― | イスマイル・カダレ | ― | アルバニア |
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作家名等で並べ替えできます。
The Booker Prizes
Prize years
↑こちらではブッカー賞、国際ブッカー賞の歴代受賞作と候補作が確認できます。
The International Booker Prize 2024
The International Booker Prize 2023
The International Booker Prize 2022
The International Booker Prize 2021
The International Booker Prize 2020
The Man Booker International Prize 2019
The Man Booker International Prize 2018
The Man Booker International Prize 2017
The Man Booker International Prize 2016
The Man Booker International Prize 2015
The Man Booker International Prize 2013
The Man Booker International Prize 2011
The Man Booker International Prize 2009
The Man Booker International Prize 2007
The Man Booker International Prize 2005
国際ブッカー賞の受賞作と最終候補作の一覧表
リンクはAmazon、スクロール可能。
作家名等で並べ替えできます。
★は受賞作、作家名で並べ替えすると、
国際ブッカー賞の受賞者か、
最終候補であるかを確認できます。
2015年以前の候補作家
作家名検索等はあとで追加します。
「国際ブッカー賞」のこと

The Booker Prizes
The International Booker Prize
国際ブッカー賞は、翻訳小説における世界で最も影響力のある賞です。
毎年授与されるこの賞は、英国および/またはアイルランドで英語に翻訳され出版された長編小説または短編集の優れた作品を表彰するものです。翻訳者の重要な功績を称えるもので、賞金5万ポンドは著者と翻訳者に均等に分配されます。さらに、最終候補に残った著者と翻訳者にはそれぞれ2,500ポンドが授与されます。
(Google翻訳)
2025年度国際ブッカー賞の候補者リストは4月8日(火)に発表されました。受賞者は5月20日(火)にロンドンのテート・モダンで開催される式典で発表されます。
国際ブッカー賞(The International Booker Prize)は、ブッカー賞の翻訳書部門であり、英語に翻訳された本から選ばれる賞である。
2005年に創設。当初は受賞対象となる作家を隔年選出していたが、2016年からはブッカー賞と同様、作品を対象として毎年選出されることとなり、原著者と英語への翻訳者の共同受賞となる。
The Booker Prizes
The Booker Prizes (@TheBookerPrizes) / X
Everything you need to know about the International Booker Prize 2025 shortlist
国際ブッカー賞2025のショートリストについて知っておくべきこと。2025年国際ブッカー賞のショートリスト(最終候補作)とロングリスト。川上弘美さん、米田雅早さんほか、最終候補者のインタビューも読めます。
The Booker Library
ブッカー賞受賞作家と受賞作、候補作家と候補作の情報など。
The International Booker Prize and its history
国際ブッカー賞とその歴史
ブッカー賞 – Wikipedia
Booker Prize – Wikipedia
International Booker Prize – Wikipedia
2016年以前
マン・ブッカー賞は英連邦、アイルランド、ジンバブエの作家のみが対象でしたが、国際賞は、翻訳を含む英語の作品を利用できるすべての国籍の作家に開かれていました。この賞は60,000ポンドの価値があり、ノーベル文学賞と同様に、存命の作家の全文学に2年ごとに授与されます。
マン・ブッカー国際賞では、翻訳のための別の賞も認められました。該当する場合、受賞した著者は、15,000ポンドの賞金を受け取る翻訳者を選ぶことができます。
2016年以降
2015年7月、インディペンデント・フォーリン・フィクション賞の解散が発表されました。この賞の賞金はマン・ブッカー国際賞に組み込まれ、今後はインディペンデント賞と同様に、英語に翻訳されたフィクションの年次集を授与し、賞金50,000ポンドを著者と翻訳者に分配することになった。最終選考に残った各著者と翻訳者には、2,500ポンドが贈られます。
2025年国際ブッカー賞のこと

The Booker Prizes
The International Booker Prize 2025
2025年国際ブッカー賞最終候補作
2025年国際ブッカー賞ショートリスト
最終候補6作品
『Under the Eye of the Big Bird』
(『大きな鳥にさらわれないよう』)
川上弘美,米田雅早(アサ・ヨネダ)
(日本)
『A Leopard-Skin Hat』
Anne Serre,Mark Hutchinson
(フランス)
『Heart Lamp』
バヌ・ムシュタク,Deepa Bhasthi
(インド)
『Perfection』
Vincenzo Latronico,Sophie Hughes
(イタリア)
『Small Boat』
ヴァンサン・デルクロワ,Helen Stevenson
(フランス)
『On the Calculation of Volume I』
ソルヴェイ・バッレ,Barbara J. Haveland
(デンマーク)
「大きな鳥にさらわれないよう」川上弘美
『大きな鳥にさらわれないよう (講談社文庫)』
川上弘美
2019/10/16
講談社
2025年国際ブッカー賞ショートリスト
遠い未来、衰退の危機を認めた人類は、「母」のもと、それぞれの集団どうしを隔離する生活を選ぶ。異なる集団の人間が交雑することにより、新しい遺伝子を持ち、進化する可能性がある人間の誕生に賭けー。かすかな希望を信じる人間の行く末を、さまざまな語りであらわす「新しい神話」。泉鏡花文学賞受賞作
The Booker Prizes
Under the Eye of the Big Bird: Shortlisted for the International Booker Prize 2025
An interview with Hiromi Kawakami and Asa Yoneda, author and translator of Under the Eye of the Big Bird(川上弘美さん、米田雅早さんのインタビュー)
「Under the Eye of the Big Bird」川上弘美、米田雅早
『Under the Eye of the Big Bird』
Hiromi Kawakami,Asa Yoneda
2025/01/16
Granta Books
2025年国際ブッカー賞ショートリスト
遠い未来、人類は絶滅の危機に瀕し、マザーの監視と保護の下、地球各地に小さな部族として定住しています。ウサギやイルカの細胞から工場で作られた子供もいれば、植物のように水と光から栄養を得て生きる者もいます。人類の存続は、こうした異星人との交配にかかっています。しかし、この不安定な新世界の住人の間に、繋がり、愛、生殖、そして進化が永続するかどうかは、決して確かなものではありません。
地質学上の悠久の歳月をかけて展開される『ビッグバードの眼下』は、私たちが知る人類の終焉を予見する驚くべきビジョンであると同時に、良くも悪くも私たちを人間たらしめている性質について深く考える場でもあります。
(Google翻訳)
「ハンチバック」市川沙央
『ハンチバック』
市川沙央
2019/10/16
文藝春秋
2025年国際ブッカー賞ロングリスト
「本を読むたび背骨は曲がり肺を潰し喉に孔を穿ち歩いては頭をぶつけ、私の身体は生きるために壊れてきた。」
井沢釈華の背骨は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲している。
両親が遺したグループホームの十畳の自室から釈華は、あらゆる言葉を送りだすーー。
The Booker Prizes
Hunchback: Longlisted for the International Booker Prize 2025
An interview with Saou Ichikawa and Polly Barton, author and translator of Hunchback(市川沙央さん、ポリー・バートンさんのインタビュー)
「Hunchback」市川沙央、ポリー・バートン
『Hunchback: A Novel』
Saou Ichikawa,Polly Barton
2025/03/18
Hogarth
2025年国際ブッカー賞ショートリスト
遠い未来、人類は絶滅の危機に瀕し、マザーの監視と保護の下、地球各地に小さな部族として定住しています。ウサギやイルカの細胞から工場で作られた子供もいれば、植物のように水と光から栄養を得て生きる者もいます。人類の存続は、こうした異星人との交配にかかっています。しかし、この不安定な新世界の住人の間に、繋がり、愛、生殖、そして進化が永続するかどうかは、決して確かなものではありません。
地質学上の悠久の歳月をかけて展開される『ビッグバードの眼下』は、私たちが知る人類の終焉を予見する驚くべきビジョンであると同時に、良くも悪くも私たちを人間たらしめている性質について深く考える場でもあります。
(Google翻訳)
あらためましてPolly Bartonさんの素晴らしい翻訳に感謝です👏👏
(市川沙央さんのBlueskyより)
日本語で読める国際ブッカー賞受賞作
2021年「夜、すべての血は黒い」ダヴィド・ディオップ
『夜、すべての血は黒い』
ダヴィド・ディオップ,加藤かおり
2024/7/18
早川書房
仏軍セネガル兵アルファは、友人を看取っていた。痛みから解放するため殺してほしいという友の願いは叶えられないまま。恐怖と罪悪感に取り憑かれたアルファは、やがて敵兵を捕らえ、残虐な儀式をくり返す。第一次大戦の兵士の心理を描くブッカー国際賞受賞作
2020年「不快な夕闇」マリーケ・ルカス・ライネフェルト
『不快な夕闇』
マリーケ・ルカス・ライネフェルト,國森由美子
2023/02/21
早川書房
オランダの酪農家一家に育った10歳のヤスは、クリスマスの晩餐用に殺されるかもしれない自分のウサギの代わりに兄が死にますようにと神に祈る。その祈りが現実となった時、不穏な空想の闇がヤスを襲う。史上最年少でのブッカー国際賞受賞作。解説/鴻巣友季子
2018年「逃亡派」オルガ・トカルチュク
『逃亡派』
オルガ・トカルチュク,小椋彩
2014/02/25
白水社
「逃亡派」:アンヌシュカは、難病の息子を抱えてモスクワに暮らしている。週に一度の外出で教会から帰る途中、地下鉄の出口で、たえず足ぶみしながら何かをつぶやく、奇妙ないでたちの女に出会う。「ショパンの心臓」:パリで没した作曲家ショパンは、自分の心臓を愛する祖国に埋葬してほしいと遺言を残した。姉ルドヴィカは、独立の気運が高まるポーランドへ向けて、弟の心臓を携え、冬の平原を馬車で渡っていく。ポーランドで最も権威ある文学賞“ニケ賞”受賞作。
2016年「菜食主義者」ハン・ガン
『菜食主義者 (新しい韓国の文学 1)』
ハン・ガン,きむふな
2011/06/15
クオン
ごく平凡な女だったはずの妻・ヨンヘが、ある日突然、肉食を拒否し、日に日にやせ細っていく姿を見つめる夫(「菜食主義者」)、妻の妹・ヨンヘを芸術的・性的対象として狂おしいほど求め、あるイメージの虜となってゆく姉の夫(「蒙古斑」)、変わり果てた妹、家を去った夫、幼い息子……脆くも崩れ始めた日常の中で、もがきながら進もうとする姉・インへ(「木の花火」)-
3人の目を通して語られる連作小説集。
日本語で読める国際ブッカー賞最終候補作
2023年「鯨」チョン・ミョングァン
『鯨 (韓国文学のオクリモノ)』
チョン・ミョングァン,斎藤真理子
2018/05/21
晶文社
誰が知るだろう、この物語のすべてが一編の復讐劇でもあるということをー。一代にして財を成し、あまたの男の運命をくるわせた母クムボク。並外れた怪力の持ち主にして、人ならざるものと心を通わし、煉瓦づくりに命を賭した娘チュニ。巨大な鯨と煉瓦工場、華やかな劇場をめぐる壮絶な人生ドラマが幕を開ける。ストーリーテラーとして名高い著者が、破壊的なまでに激しく生々しい人間の欲望を壮大なスケールで描き出した一大叙事詩。
2023年「ヘヴン」川上未映子
『ヘヴン (講談社文庫)』
川上未映子
2012/05/15
講談社
“わたしたちは仲間です”-十四歳のある日、同級生からの苛めに耐える“僕”は、差出人不明の手紙を受け取る。苛められる者同士が育んだ密やかで無垢な関係はしかし、奇妙に変容していく。葛藤の末に選んだ世界で、僕が見たものとは。善悪や強弱といった価値観の根源を問い、圧倒的な反響を得た著者の新境地。芸術選奨文部科学大臣新人賞・紫式部文学賞ダブル受賞。
2021年「寝煙草の危険」マリアーナ・エンリケス
『寝煙草の危険』
マリアーナ・エンリケス,宮﨑真紀
2023/05/22
国書刊行会
寝煙草の火で老婆が焼け死ぬ臭いで目覚める夜更け、
庭から現れどこまでも付き纏う腐った赤ん坊の幽霊、
愛するロック・スターの屍肉を貪る少女たち、
死んだはずの虚ろな子供が大量に溢れ返る街……〈文学界のロック・スター〉〈ホラー・プリンセス〉エンリケスによる、12篇のゴシカルな恐怖の祭典がついに開幕!!!
2020年「ハリケーンの季節」フェルナンダ・メルチョール
『ハリケーンの季節』
フェルナンダ・メルチョール,宇野和美
2023/12/20
早川書房
とある村で、〈魔女〉の死体が見つかる。彼女は村の女たちに薬草を処方し、堕胎もしてやっていた。彼女を殺したのは一体誰か–。暴力と貧困がはびこる現代メキシコの田舎を舞台に狂気と悲哀を描き、名だたる文学賞候補となった西語圏文壇新星による傑作長篇
2020年「スモモの木の啓示」ショクーフェ・アーザル
『スモモの木の啓示』
ショクーフェ・アーザル,堤幸
2022/01/28
白水社
1988年8月18日午後2時35分に、村を見下ろす丘にあるいちばん背の高いスモモの木の上で母さんは啓示を受けた。まさにそれと同じ瞬間、兄さんのソフラーブは絞首刑になった。
それを遡ること9年、イスラーム革命の最中に、テヘランの私たち一家は熱狂した革命支持者たちによって家に火を放たれ、かけがえのないものを失った。私たちは道なき道を分け入り、ようやく外界から隔絶された村ラーザーンにたどり着く。そこは奇しくも1400年前、アラブ人の来襲から逃れたゾロアスター教徒が隠れ住んだ土地だった。
静かな暮らしを取り戻したと思ったのもつかの間、村にも革命の波が押し寄せる。ある日ソフラーブが連行されると、母さんのロザー、父さんのフーシャング、姉さんのビーターの身にも次々に試練が降りかかる……。
13歳の末娘バハールの目を通して、イスラーム革命に翻弄される一家の姿が、時に生々しく、時に幻想的に描かれる。『千一夜物語』的な挿話、死者や幽鬼との交わり、SNSなどの現代世界が融合した、亡命イラン人作家による、魔術的リアリズムの傑作長篇。
2020年「密やかな結晶」小川洋子
『密やかな結晶』
小川洋子
2022/01/28
講談社
その島では多くのものが徐々に消滅していき、一緒に人々の心も衰弱していった。
鳥、香水、ラムネ、左足。記憶狩りによって、静かに消滅が進んでいく島で、わたしは小説家として言葉を紡いでいた。少しずつ空洞が増え、心が薄くなっていくことを意識しながらも、消滅を阻止する方法もなく、新しい日常に慣れていく日々。しかしある日、「小説」までもが消滅してしまった。
有機物であることの人間の哀しみを澄んだまなざしで見つめ、空無への願望を、美しく危険な情況の中で描く傑作長編。
2019年「廃墟の形」フアン・ガブリエル・バスケス
『廃墟の形』
フアン・ガブリエル・バスケス,寺尾隆吉
2021/07/21
水声社
その島では多くのものが徐々に消滅していき、一緒に人々の心も衰弱していった。
鳥、香水、ラムネ、左足。記憶狩りによって、静かに消滅が進んでいく島で、わたしは小説家として言葉を紡いでいた。少しずつ空洞が増え、心が薄くなっていくことを意識しながらも、消滅を阻止する方法もなく、新しい日常に慣れていく日々。しかしある日、「小説」までもが消滅してしまった。
有機物であることの人間の哀しみを澄んだまなざしで見つめ、空無への願望を、美しく危険な情況の中で描く傑作長編。
2018年「バグダードのフランケンシュタイン」アフマド・サアダーウィー
『バグダードのフランケンシュタイン』
アフマド・サアダーウィー,柳谷あゆみ
2020/10/26
集英社
<中東×ディストピア×SF小説>
連日自爆テロの続く2005年のバグダード。古物商ハーディーは町で拾ってきた遺体のパーツを縫い繋ぎ、一人分の遺体を作り上げた。しかし翌朝遺体は忽然と消え、代わりに奇怪な殺人事件が次々と起こるようになる。そして恐怖に慄くハーディーのもとへ、ある夜「彼」が現れた。自らの創造主を殺しに――
不安と諦念、裏切りと奸計、喜びと哀しみ、すべてが混沌と化した街で、いったい何を正義と呼べるだろう?
国家と社会を痛烈に皮肉る、衝撃のエンタテインメント群像劇。
2018年「すべての、白いものたちの」ハン・ガン
『すべての、白いものたちの (河出文庫)』
ハン・ガン,斎藤真理子
2023/02/04
河出書房新社
アジア初のブッカー国際賞作家による奇蹟の傑作が文庫化。おくるみ、産着、雪、骨、灰、白く笑う、米と飯……。朝鮮半島とワルシャワの街をつなぐ65の物語が捧げる、はかなくも偉大な命への祈り。生後すぐに亡くなった姉をめぐり、ホロコースト後に再建されたワルシャワの街と、朝鮮半島の記憶が交差する。文庫化にあたり、訳者の斎藤真理子による「『すべての、白いものたちの』への補足」、平野啓一郎による解説「恢復と自己貸与」を収録。
2018年「ウィズ・ザ・ライツ・アウト ヴェルノン・クロニクル」ヴィルジニー・デパント
『ウィズ・ザ・ライツ・アウト (ヴェルノン・クロニクル 1)』
ヴィルジニー・デパント,博多かおる
2020/10/15
早川書房
かつては伝説のレコード店主、いまや哀愁のカウチサーファー。五十路の男ヴェルノンがたずね歩く旧友たちの心にも、90年代の輝かしい記憶が響きつづけるのであった。パリの片隅で生きる人々の哀しさと滑稽さを音楽が彩る、現代版・バルザック『人間喜劇』と称される文芸三部作、開幕。
2017年「救出の距離」サマンタ・シュウェブリン
『救出の距離』
ミシェル・ウエルベック,関口涼子
2024/09/21
国書刊行会
シャーリイ・ジャクスン賞中長篇部門受賞作にして国際ブッカー賞最終候補作!
Netflixで映画化もされた「まったく新らしい幻想譚」が本邦初上陸!!!アルゼンチンの片田舎の診察室で死にかけている女アマンダ、その横にたたずむ謎の少年ダビ。
彼女はなぜ死にかけているのか、ふたりは対話を通してその記憶を探っていく。
すべては熱に浮かされているアマンダの妄想なのか、ダビはそこにいるのかいないのか、そして愛する娘はどこに行ってしまったのか……
〈スパニッシュ・ホラー文芸〉を牽引する作家による、めくるめく愛の悪夢がいまここに。
2016年「忘却についての一般論」ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ
『忘却についての一般論 (エクス・リブリス)』
ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ,木下眞穂
2020/08/28
白水社
語り手は一匹のヤモリ。アンゴラの首都ルアンダで、フェリックス・ヴェントゥーラの家に棲みつき、彼の生活を観察している。フェリックスは人々の「過去」を新しく作り直す仕事をしている。長年にわたる激しい内戦が終わり、アンゴラには新興の富裕層が生まれつつあるが、すべてを手にしたかに見える彼らに足りないのは由緒正しい家系なのだ。そんな彼らにフェリックスは、偽りの写真や書類を用いて新しい家系図と「過去」を作成して生計を立てている。ある日、フェリックスのもとを身元不詳の外国人が訪ねてくる。口髭を生やし、古臭い服装をしたその男は、「名前も、過去も、すべて書き換えてほしい」と頼み、大金を積む。フェリックスは悩むが、結局、ジョゼ・ブッフマンという新しい名前をはじめ、すべてを完璧に用意する。ブッフマンは大喜びし、以後、足繁く訪ねてくるようになる…。2007年度インディペンデント紙外国語文学賞受賞作。
2016年「僕の違和感」オルハン・パムク
『僕の違和感〈上〉』
オルハン・パムク,宮下遼
2019/06/27
新潮社
我らが主人公メヴルト・カラタシュは、12歳のときに故郷の村からイスタンブルに移り住む。昼間は学校に通い、夜は父とともにトルコの伝統的飲料ボザを売り歩く日々を重ねて、彼は次第に大都会になじんでいく。そしてある日、彼はいとこの結婚披露宴で運命の恋をした――ノーベル文学賞作家が描く、ある男の半生と恋と夢、そして変わりゆく時代。新たな代表作となる傑作長篇。
2016年「ある一生」ローベルト・ゼーターラー
『ある一生 (新潮クレスト・ブックス)』
ローベルト・ゼーターラー,浅井晶子
2019/06/27
新潮社
吹雪の白い静寂のなかに消えていった、あの光景。アルプスの山とともに生きた、名もなき男の生涯。雪山で遭難したヤギ飼いとの邂逅に導かれるように、20世紀の時代の荒波にもまれながら、誰に知られるともなく生きたある男の生涯。その人生を織りなす、瞬くような忘れがたき時間が、なぜこんなにも胸に迫るのだろう。80万部を超えるベストセラー、英語圏でも絶賛! 現代オーストリア文学の名手が紡ぐ恩寵に満ちた物語。
2016年「四書」閻連科
『四書』
閻連科,桑島道夫
2023/1/31
岩波書店
更生区に収容され労働に邁進する知識人たちを、無謀な政策の果ての飢饉が襲う。大躍進時代を主題とした意欲作。
黄河のほとり、第九十九更生区。知識人たちはここで「こども」に監督され、再教育を受ける。解放を夢みて狂騒的な鉄鋼農業生産に突き進む彼らを、やがて無謀な政策の果ての大飢饉が襲い……。不条理な政治に翻弄される人間の痛ましくも聖なる苦闘を、「四つの書」の形式で語る。大躍進時代を彷彿とする歴史の暗部に挑んだ意欲作。
2016年「失われた女の子」エレナ・フェッランテ
『失われた女の子 (ナポリの物語 4)』
エレナ・フェッランテ,飯田亮介
2019/12/19
早川書房
生まれ育った故郷を抜け出したいと願ったふたりの少女がいた――エレナは街を出るが、恋の果てに帰ってくる。一方リラは、故郷で実業家として成功するが。ニューヨーク・タイムズ紙やタイム誌の年間ベストに選出。世界中の読書家を虜にした四部作、ついに完結
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