ノーベル文学賞の歴代受賞作家一覧
ノーベル文学賞、受賞作家をおさらいする
ノーベル文学賞の歴代受賞作家をまとめました。素敵な作家、作品を発見する楽しみはもちろんのこと、新潮クレスト・ブックスやエクス・リブリス、ハヤカワepi文庫など海外文学レーベルとの出会いのきっかけになればうれしいです。
海外文学を紹介すべく、ノーベル文学賞のまとめ記事を作り始めたのに、大江健三郎作品のおもしろタイトル探しにかなりの時間を費やしてしまった。もはや「大江健三郎のページを作れよ」という状態。たくさんたくさん書き出してたので、ぜひご堪能ください。
- ノーベル文学賞の歴代受賞作家一覧
- ノーベル文学賞2024、受賞作家「ハン・ガン」の作品
- ノーベル文学賞、2人の日本人受賞作家のこと
- ノーベル文学賞受賞作家の気になる一冊
- アーネスト・ヘミングウェイ「老人と海」
- アイザック・バシェヴィス・シンガー「モスカット一族」
- アナトール・フランス「少年少女」
- アニー・エルノー「嫉妬/事件」
- アブドゥルラザク・グルナ「楽園」
- アリス・マンロー「イラクサ」
- アルベール・カミュ「ペスト」
- アンドレ・ジッド「狭き門」
- アンリ・ベルクソン「記憶理論の歴史」
- イヴォ・アンドリッチ「宰相の象の物語」
- イワン・アレクセーエヴィチ・ブーニン「アントーノフカ」
- ヴィスワヴァ・シンボルスカ「終わりと始まり」
- ウィリアム・ゴールディング「蠅の王」
- ウィリアム・バトラー・イェイツ「ケルト妖精物語」
- ウィリアム・フォークナー「響きと怒り」
- ウィンストン・チャーチル「第二次大戦回顧録抄」
- エリアス・カネッティ「マラケシュの声」
- エルフリーデ・イェリネク「光のない。」
- オクタビオ・パス「鷲か太陽か?」
- ラビンドラナート・タゴール「散文詩集 庭師」
- ノーベル文学賞関連サイト
- こちらも…ノーベル賞候補作家の一覧と世界の文学賞
ノーベル文学賞の歴代受賞作家一覧
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\ノーベル文学賞が期待される注目作家たち/
ノーベル文学賞2024、受賞作家「ハン・ガン」の作品
「菜食主義者」クオン
『菜食主義者 (新しい韓国の文学 1)』
ハン・ガン,きむふな
2011/06/15
クオン
2016年マン・ブッカー国際賞受賞
「新しい韓国文学シリーズ」第1作としてお届けするのは、韓国で最も権威ある文学賞といわれている李箱(イ・サン)文学賞を受賞した女性作家、ハン・ガンの『菜食主義者』。韓国国内では、「これまでハン・ガンが一貫して描いてきた欲望、死、存在論などの問題が、この作品に凝縮され、見事に開花した」と高い評価を得た、ハン・ガンの代表作です。
ごく平凡な女だったはずの妻・ヨンヘが、ある日突然、肉食を拒否し、日に日にやせ細っていく姿を見つめる夫(「菜食主義者」)、妻の妹・ヨンヘを芸術的・性的対象として狂おしいほど求め、あるイメージの虜となってゆく姉の夫(「蒙古斑」)、変わり果てた妹、家を去った夫、幼い息子……脆くも崩れ始めた日常の中で、もがきながら進もうとする姉・インへ(「木の花火」)-
3人の目を通して語られる連作小説集。
「少年が来る」クオン
『少年が来る (新しい韓国の文学 15)』
ハン・ガン,井手俊作
2016/10/27
クオン
1980 年5月18 日、韓国全羅南道の光州を中心として起きた民主化抗争、光州事件。戒厳軍の武力鎮圧によって5月27日に終息するまでに、夥しい数の活動家や学生や市民が犠牲になった。抗争で命を落とした者がその時何を想い、生存者や家族は事件後どんな生を余儀なくされたのか。その一人一人の生を深く見つめ描き出すことで、「韓国の地方で起きた過去の話」ではなく、時間や地域を越えた鎮魂の物語となっている。
ハン・ガンの本、翻訳家別一覧
\こちらで詳しくまとめています/
ノーベル文学賞、2人の日本人受賞作家のこと
大江健三郎「大江健三郎自選短篇」
『大江健三郎自選短篇 (岩波文庫)』
大江健三郎
2014/08/20
岩波書店
《 848ページ 》
「奇妙な仕事」「飼育」「セヴンティーン」「「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち」など、デビュー作から中期の連作を経て後期まで、全二三篇を収録。作家自選のベスト版であると同時に、本書刊行にあたり全収録作品に加筆修訂をほどこした最終定本。性・政治・祈り・赦し・救済など、大江文学の主題が燦めく、ノーベル賞作家大江健三郎のエッセンス。
大江健三郎の代表作
《 大江健三郎の代表作 》
「死者の奢り」「飼育」「個人的な体験」「洪水はわが魂に及び」「万延元年のフットボール」「燃えあがる緑の木」「新しい人よ眼ざめよ」「懐かしい年への手紙」「芽むしり仔撃ち」「同時代ゲーム」「M/Tと森のフシギの物語」 …
「大江作品を全制覇する」ということなら「大江健三郎全小説」全15冊(鈴木成一デザイン室)、大江健三郎のこと、作品のことをもっと深く知りたいなら尾崎真理子・著「大江健三郎全小説全解説」も良い。
大江健三郎作品の気になるタイトル
《 大江健三郎作品の気になるタイトル 》
「奇妙な仕事」「動物倉庫」「鳩」「上機嫌」「セヴンティーン」「幸福な若いギリアク人」「スパルタ教育」「性的人間」「大人向き」「アトミック・エイジの守護神」「ブラジル風のポルトガル語」「犬の世界」「月の男(ムーン・マン)」「空の怪物アグイー」「ピンチランナー調書」「身がわり山羊の反撃」「「芽むしり仔撃ち」裁判」「揚げソーセージの食べ方」「グル―ト島のレントゲン画法」「見せるだけの拷問」「メヒコの大抜け穴」「ベラックヮの十年」「マルゴ公妃のかくしつきスカート」「臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ」「治療塔惑星」「河馬に噛まれる」「キルプの軍団」「落ちる、落ちる、叫びながら……」「案内人(ストーカー)」「敬老週間」「さようなら、私の本よ!」
難しそうな大江健三郎作品だけど、ユーモアの感じられる不思議なタイトルを眺めていると、なんだかちょっと読めそうな気がしてくる。
「臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ」は文庫版では「美しいアナベル・リイ」に改題。リンクは、該当作品が収録されている本にしたつもりですが、ケアレスミスが多いため、ご購入の際は出版社のHP等でよく確認してください。
川端康成「川端康成異相短篇集」
『川端康成異相短篇集 (中公文庫)』
川端康成,高原英理
2022/06/22
中央公論新社
没後50年を迎えた川端康成の短篇から、現世界から少しだけずれた、あるいはその奥行きの見方が通常と異なる別の相を感知していると読める作品を集めた一冊。
幻想的、あるいは怪談的と受けとめられる作品も多いが、選択にあたっては、あくまで生の不可解さを自然主義的叙述によらず、技巧的に描いた作品であることを基準とした。川端文学の特異な一面を堪能できる小説選。
川端康成の代表作
《 川端康成の代表作 》
「雪国」「伊豆の踊子」「舞姫」「みずうみ」「眠れる美女」「古都」「少年」「山の音」「愛する人達」「女であること」…
長編小説はハードルが高いという方には122編の短編が収録された「掌の小説 (新潮文庫)」、本当の川端康成を知りたい方には小川洋子&佐伯一麦・著「川端康成の話をしようじゃないか」もおすすめです。
ノーベル文学賞受賞作家の気になる一冊
アーネスト・ヘミングウェイ「老人と海」
『老人と海 (新潮文庫)』
ヘミングウェイ,高見浩
2020/06/24
新潮社
八十四日間の不漁に見舞われた老漁師は、自らを慕う少年に見送られ、ひとり小舟で海へ出た。やがてその釣綱に、大物の手応えが。見たこともない巨大カジキとの死闘を繰り広げた老人に、海はさらなる試練を課すのだが――。自然の脅威と峻厳さに翻弄されながらも、決して屈することのない人間の精神を円熟の筆で描き切る。著者にノーベル文学賞をもたらした文学的到達点にして、永遠の傑作。
アイザック・バシェヴィス・シンガー「モスカット一族」
『モスカット一族』
アイザック・B・シンガー,大﨑ふみ子
2024/01/23
未知谷
20世紀初頭、ポーランド・ワルシャワ
近代化と戦争に揺れるユダヤ人社会実利に聡く独善的で気難しい絶対的な長がいた栄華から三世代を経て、伝統的家族社会は内部から崩壊していく。その間、ポーランド独立回復を目指す数度の蜂起 ロシア革命、第一次世界大戦 独立回復、ポーランド・ソヴィエト戦争、ナチスのポーランド侵攻、第二次世界大戦…
100人以上の登場人物が蠢く、 900頁に迫る大長篇
作品の最高潮は最後のセンテンスに…!
お見事! とうなずくしかない ノーベル文学賞作家の筆力
アナトール・フランス「少年少女」
『少年少女 (岩波文庫)』
アナトール・フランス,三好達治
1984/05/09
岩波書店
収められた十九編の短かい文章はすべて,あどけない子供たちの単純で無邪気な生活を描いたもの.これによって作者は,童心の世界を見失った世の大人たちには,さながら覗き眼鏡をみるように数々の懐しい思い出を思いおこさせ,また明日に生きようとする少年少女には優しい有益な忠告を与えてくれるのである.
アニー・エルノー「嫉妬/事件」
『嫉妬/事件 (ハヤカワepi文庫)』
アニー・エルノー,菊地よしみ,堀茂樹
2022/10/26
早川書房
別れた男が他の女と暮らすと知り、私はそのことしか考えられなくなる。どこに住むどんな女なのか、あらゆる手段を使って狂ったように特定しようとしたがー。妄執に取り憑かれた自己を冷徹に描く「嫉妬」。1963年、中絶が違法だった時代のフランスで、妊娠してしまったものの、赤ん坊を堕ろして学業を続けたい大学生の苦悩と葛藤、闇で行われていた危険な堕胎の実態を克明に描く「事件」を合わせて収録。
アブドゥルラザク・グルナ「楽園」
『楽園 (グルナ・コレクション)』
アブドゥルラザク・グルナ,粟飯原文子
2023/12/27
白水社
舞台は20世紀初頭、現在のタンザニアの架空の町。主人公ユスフの12歳から18歳までの成長の過程が辿られ、東アフリカ沿岸地域の歴史的な大転換期が、少年の目から語られる。宿を経営するユスフの父親は借金に行き詰まり、裕福な商人アズィズに借金の形に息子を差し出す。ユスフは使用人(奴隷)として働き、内陸への隊商で莫大な富を得ているアズィズの旅に加わる。互いに争うアラブ人、インド人、アフリカ人、ヨーロッパ人のいくつもの勢力を目撃し、さまざまな経験を積んだユスフは次第に自らの隷属状態について疑問を抱きはじめる……。
アリス・マンロー「イラクサ」
『イラクサ (新潮クレスト・ブックス)』
アリス・マンロー,小竹由美子
2006/03/29
新潮社
旅仕事の父に伴われてやってきた少年と、ある町の少女との特別な絆。30年後に再会した二人が背負う、人生の苦さと思い出の甘やかさ(「イラクサ」)。孤独な未婚の家政婦が少女たちの偽のラブレターにひっかかるが、それが思わぬ顛末となる「恋占い」。そのほか、足かせとなる出自と縁を切ろうともがく少女、たった一度の息をのむような不倫の体験を宝のように抱えて生きる女性など、さまざまな人生を、長い年月を見通す卓抜したまなざしで捉えた九つの物語。長篇小説のようなずっしりした読後感を残す大人のための短篇集。
アルベール・カミュ「ペスト」
『ペスト (新潮文庫)』
カミュ,宮崎嶺雄
1969/10/30
新潮社
アルジェリアのオラン市で、ある朝、医師のリウーは鼠の死体をいくつか発見する。ついで原因不明の熱病者が続出、ペストの発生である。外部と遮断された孤立状態のなかで、必死に「悪」と闘う市民たちの姿を年代記風に淡々と描くことで、人間性を蝕む「不条理」と直面した時に示される人間の諸相や、過ぎ去ったばかりの対ナチス闘争での体験を寓意的に描き込み圧倒的共感を呼んだ長編。
アンドレ・ジッド「狭き門」
『狭き門 (新潮文庫)』
ジッド,山内義雄
1954/08/03
新潮社
早く父を失ったジェロームは少年時代から夏を叔父のもとで過すが、そこで従姉のアリサを知り密かな愛を覚える。しかし、母親の不倫等の不幸な環境のために天上の愛を求めて生きるアリサは、ジェロームへの思慕を断ち切れず彼を愛しながらも、地上的な愛を拒み人知れず死んでゆく。残された日記には、彼を思う気持ちと“狭き門”を通って神へ進む戦いとの苦悩が記されていた……。半自伝的小説。わかりやすい解説および年譜を付す。
アンリ・ベルクソン「記憶理論の歴史」
『記憶理論の歴史――コレージュ・ド・フランス講義 1903-1904年度』
アンリ・ベルクソン,藤田尚志,平井靖史,天野恵美理,岡嶋隆佑・木山裕登
2023/10/31
書肆心水
伝説の名講義シリーズ。ベルクソン自身によるベルクソン哲学の解説。ベルクソンの時間と心の哲学における中核的概念「記憶」。『物質と記憶』からアップデートされた論点、解像度を上げた概念の姿。
イヴォ・アンドリッチ「宰相の象の物語」
『宰相の象の物語 (東欧の想像力)』
イヴォ・アンドリッチ,栗原成郎
2018/11/20
松籟社
恐怖政治を布く強大な権力者が、ふとした気まぐれから一頭の仔象を飼いはじめる。街中を無邪気に暴れまわる象は、人々の憎悪を集めー権力への民衆の忍従と抵抗を描いた表題作はじめ、ノーベル賞作家アンドリッチが自らの「小祖国」ボスニアを舞台に紡いだ4作品を収録。
イワン・アレクセーエヴィチ・ブーニン「アントーノフカ」
『アントーノフカ』
イワン・アレクセーヴィチ・ブーニン,長濱友子,町田清朗
2007/11/01
未知谷
1917年の革命で崩壊した帝政ロシアには、領主屋敷を中心に、展開した古き良きウサージバと総称される文化があった。ロシアの農村風景を活写した名作短篇。ウサージバの結晶。ロシア初のノーベル賞作家ブーニンの描く掌編+風景画20点。
ヴィスワヴァ・シンボルスカ「終わりと始まり」
『終わりと始まり』
ヴィスワヴァ・シンボルスカ,沼野充義
1997/06/01
未知谷
ウィリアム・ゴールディング「蠅の王」
『蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)』
ウィリアム・ゴールディング,黒原敏行
2017/04/20
早川書房
疎開する少年たちを乗せた飛行機が、南太平洋の無人島に不時着した。生き残った少年たちは、リーダーを選び、助けを待つことに決める。大人のいない島での暮らしは、当初は気ままで楽しく感じられた。しかし、なかなか来ない救援やのろしの管理をめぐり、次第に苛立ちが広がっていく。そして暗闇に潜むという“獣”に対する恐怖がつのるなか、ついに彼らは互いに牙をむいたー。ノーベル文学賞作家の代表作が新訳で登場。
ウィリアム・バトラー・イェイツ「ケルト妖精物語」
『ケルト妖精物語 (ちくま文庫)』
W・B・イエイツ,井村君江
1986/04/01
筑摩書房
夜の緑の草原や、青い海原の底で、バラエティーに富んだ妖精たちと人間が織りなす詩情ゆたかな物語のかずかず。アイルランドで何世紀にもわたって語りつがれ、今なお人びとの心に息づいている祖先ケルト民族のさまざまな民間伝承や昔話のなかから、妖精譚のみを収めた古典的名著。付録にイエイツの「アイルランドの妖精の分類」を収録。
ウィリアム・フォークナー「響きと怒り」
『響きと怒り』
ウィリアム・フォークナー,桐山大介
2024/09/26
河出書房新社
家を去った放縦な長女への三兄弟の激しい想いを軸に破滅の宿命を負うアメリカ南部の名家の悲劇を描く、痛ましくも美しい愛と喪失の物語。
ウィンストン・チャーチル「第二次大戦回顧録抄」
『第二次大戦回顧録抄 (中公文庫 BIBLIO20世紀)』
ウィンストン・チャーチル,毎日新聞社
2001/07/25
中央公論新社
チャーチル畢生の大著からその要所を余すところなく抜き出してこの一冊に凝縮。ヨーロッパで、そしてアジアで、どんな決断を迫られたのか。連合国最高首脳自らが迫真の名調子で綴る第二次世界大戦史の決定版。
エリアス・カネッティ「マラケシュの声」
『マラケシュの声: ある旅のあとの断想』
エリアス・カネッティ,岩田行一
2004/12/01
法政大学出版局
仏軍セネガル兵アルファは、友人を看取っていた。痛みから解放するため殺してほしいという友の願いは叶えられないまま。恐怖と罪悪感に取り憑かれたアルファは、やがて敵兵を捕らえ、残虐な儀式をくり返す。第一次大戦の兵士の心理を描くブッカー国際賞受賞作
エルフリーデ・イェリネク「光のない。」
『光のない。三部作』
エルフリーデ・イェリネク,林立騎
2021/03/12
白水社
ノーベル文学賞作家が、ポスト3.11の世界に捧げるレクイエム!東日本大震災とそれにつづく原発事故を受けて書き下ろされた「光のない。」に「エピローグ?」と「プロローグ?」を併録した三部作、一挙収録(訳文一新)。日本の読者に、自作解説「よそものとしてわたしたちはやってきて、誰もが一人のままでいる。(わたしの作品『光のない。』についてのいくつかの考え)」も特別寄稿された、ワールドプレミア・エディション。
オクタビオ・パス「鷲か太陽か?」
『鷲か太陽か? (岩波文庫)』
オクタビオ・パス,野谷文昭
2024/01/18
岩波書店
ノーベル賞詩人オクタビオ・パス(1914-98)がパリに暮らした一九四〇年代後半に創作した散文詩と、イメージとリズムの法則に支配された、夢のような味わいをもつ短篇。シュルレアリスムの正統的・批判的継承者として知られる巨匠による、研ぎ澄まされた詩的直観が鮮烈な印象を残す初期の代表作。一九五一年刊。
ラビンドラナート・タゴール「散文詩集 庭師」
『散文詩集 庭師』
ラビンドラナート・タゴール,内山眞理子
2024/01/30
未知谷
西の方からやって来た煉瓦職人とその妻は、煉瓦を焼く窯を作ろうと、土を掘るのに忙しい。
夫婦の小さな娘は、河辺りの船着き場へ行って鍋や食器を洗い、磨いて擦ってはきりのない仕事に精を出す。
小さな娘には丸坊主の幼い弟がいて、褐色の肌は丸裸で、手足は泥だらけだ。弟は姉の後を追って来るが、姉の言いつけを守って土手の上で辛抱強く待っている。
小さな娘は、水を満たした水甕を頭上に抱えて家へ戻る。左手に磨き上げた真鍮の器をぶらさげ、右手で幼い弟を支えてやる。娘は母の小さな召使いとして、こまごまとした家事を律儀にこなす…
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