
ノーベル文学賞の候補を探る
ノーベル文学賞が期待される注目作家に、注目する
新潮クレスト・ブックスやハヤカワepi文庫に、受賞作家の作品が多数含まれていることを知って、興味を持ったノーベル文学賞。ブックメーカー等によるノーベル文学賞のオッズに名前が載っていた、候補として名前が挙がっている作家100名+αの一覧表を作成することにしました。
オッズのリストの魅力は、国・地域のバランスが取れていること。なかなか知ることのできない言語の作家に出会えることも魅力です。
「2025年のノーベル文学賞予想!」ではなく、あくまでも注目したい作家さんなので、素敵な作家さんとの出会いの場として気軽にご利用ください。
ノーベル文学賞受賞者についてもまとめました。
このページで公開しているリストは、ブックメーカーの予測やOddspediaなどのオッズ集約サイトに基づく非公式なもので、スウェーデン・アカデミーによる公式候補ではありません。
- 2025年ノーベル文学賞
- ノーベル文学賞の候補として注目される作家の一覧表
- ノーベル文学賞関連サイト
- ノーベル文学賞関連のニュース(年別)と本
- ノーベル文学賞注目作家の気になる一冊
- アドニス「暴力とイスラーム」
- アニター・デサイ「デリーの詩人」
- アミタヴ・ゴーシュ「飢えた潮」
- アラン・マバンク「割れたグラス」
- アリ・スミス「秋」
- アリエル・ドルフマン「死と乙女」
- アレクシス・ライト「地平線の叙事詩」
- アン・カーソン「赤の自伝」
- アンドレイ・クルコフ「ペンギンの憂鬱」
- イヴァン・クリーマ「カレル・チャペック」
- ウェンデル・ベリー「ライフ・イズ・ミラクル」
- ウラジーミル・ソローキン「愛」
- エドマンド・ホワイト「パリ遊歩者のまなざし」
- エマニュエル・カレール「口ひげを剃る男」
- エレーヌ・シクスー「ヴェール」
- エレナ・ポニアトウスカ「乾杯、神さま」
- エンリーケ・ビラ=マタス「永遠の家」
- 閻連科「黒い豚の毛、白い豚の毛」
- 小川洋子「耳に棲むもの」
- カール・オーヴェ・クナウスゴール「わが闘争 父の死」
- 金井美恵子「ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ」
- 川上未映子「黄色い家」
- キャリル・フィリップス「はるかなる岸辺」
- グアダルーペ・ネッテル「赤い魚の夫婦」
- グオ・シャオルーほか「Because I am a Girl わたしは女の子だから」
- グギ・ワ・ジオンゴ「戯曲 したい時に結婚するわ」
- クラウディオ・マグリス「ミクロコスミ」
- クリスティーナ・ペリ=ロッシ「狂人の船」
- 高銀「高銀詩選集 いま、君に詩が来たのか」
- コルソン・ホワイトヘッド「地下鉄道」
- コルム・トビーン「ノーラ・ウェブスター」
- サマンタ・シュウェブリン「救出の距離」
- サルマン・ラシュディ「真夜中の子供たち」
- J・K・ローリング「ハリー・ポッターと賢者の石」
- ジュノ・ディアス「オスカー・ワオの短く凄まじい人生」
- ジョイス・キャロル・オーツ「とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢」
- ジョン・バンヴィル「ケプラーの憂鬱」
- スコラスティック・ムカソンガ「ナイルの聖母」
- スティーヴン・キング「ミザリー」
- セース・ノーテボーム「儀式」
- セサル・アイラ「文学会議」
- セバスチャン・バリー「終わりのない日々」
- ダーグ・ソールスター「NOVEL 11,BOOK 18」
- ダーチャ・マライーニ「ひつじのドリー」
- ターハル・ベン・ジェルーン「あやまちの夜」
- ダヴィド・ディオップ「飢えた潮」
- 多和田葉子「雪の練習生」
- チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ「アメリカーナ」
- 残雪「突囲表演」
- デイヴィッド・グロスマン「ヨナタンは名たんてい」
- ボート・シュトラウス「公園」
- デイヴィッド・ピース「TOKYO REDUX 下山迷宮」
- トマス・ピンチョン「トマス・ピンチョン 全小説 重力の虹」
- トム・ストッパード「アルカディア 」
- ドン・デリーロ「天使エスメラルダ 9つの物語」
- ナーダシュ・ペーテル「ある一族の物語の終わり」
- パスカル・キニャール「世界のすべての朝は」
- バレリア・ルイセリ「俺の歯の話」
- ハン・ガン「別れを告げない」
- 黄晳暎「たそがれ」
- フェルナンダ・メルチョール「ハリケーンの季節」
- ヘレ・ヘレ『グリーフ』
- ヘレ・ヘレ『犬に堕ちても』
- ポール・サイモン「ポール・サイモン全詞集 1964-2016」
- マーガレット・アトウッド「昏き目の暗殺者」
- マリアーナ・エンリケス「寝煙草の危険」
- マリー・ンディアイ「三人の逞しい女」
- マリーズ・コンデ「料理と人生」
- マリリン・ロビンソン「ギレアド」
- ミシェル・ウエルベック「セロトニン」
- ミハイル・シーシキンほか「ヌマヌマ」
- ミラン・クンデラ「存在の耐えられない軽さ」
- ミルチャ・カルタレスク「ノスタルジア」
- 村上春樹「めくらやなぎと眠る女」
- 余華「文城 夢幻の町」
- 柳美里「JR上野駅公園口」
- リュドミラ・ウリツカヤ「それぞれの少女時代」
- ロバート・クーヴァー「ユニヴァーサル野球協会」
- 次ページ…日本人のノーベル文学賞候補?な作家と世界の文学賞
2025年ノーベル文学賞
クラスナホルカイ・ラースローさんが、2025年ノーベル文学賞を受賞されました。おめでとうございます。
邦訳は↓この本だけですが、映画『サタンタンゴ』などの原作・脚本を手がけられています。
『北は山、南は湖、西は道、東は川』
クラスナホルカイ・ラースロー,早稲田みか
2006/03/05
松籟社
京都の町を走る京阪電車の扉が静かに閉まる。無人の駅にひとり降りたつ美しい若者ー彼こそ、かの光源氏の孫君。何かが彼にささやいている、彼の求めるものが、何世紀もの長きにわたって探し求めてきた「隠された庭園」が、この地にある、と。しかしーハンガリーの想像力が“日本”と出会うとき。
北は山、南は湖、西は道、東は川 | カーリル
松籟社さんのXによると、重版(復刊)はすぐには無理とのこと。でも、図書館などで借りることはできるみたい。お近くの図書館に置いてあるかは、カーリルで調べられます。
ノーベル文学賞の候補として注目される作家の一覧表
リンクはAmazon検索
英語名は洋書、日本語の名前は邦訳された本へ
スクロール、並べ替えできます
この120人の作家のリストは、2024年と2025年のノーベル文学賞のオッズとオッズ集約サイトOddspediaに掲載された作家名をまとめたものです。
2025年の注目作家だけでなく、ずっと受賞が期待されている作家さんも。情報元は英国のブックメーカーほか、下に掲載した関連サイト、本の紹介文などから。国については、出身と国籍の違いなどが曖昧なため、参考程度に。
「日本人のノーベル文学賞候補?な作家のこと」
村上春樹さん、多和田葉子さん、金井美恵子さん、小川洋子さん、柳美里さん、川上未映子さんの世界の文学賞の受賞歴
「ノーベル文学賞と世界の文学賞」
「ブッカー賞」や「全米図書賞」などのリンク集
2025年のオッズに追加された作家
Adelia Prado
アデリア・プラド(ブラジル)
Alan Mabanckou
アラン・マバンク(フランス/コンゴ共和国)
Astrid Roemer
アストリッド・ローマー(スリナム/ オランダ)
Boubacar Boris Diop
ブバカル・ボリス・ジョップ(セネガル)
Caryl Phillips
キャリル・フィリップス(イギリス)
Cristina Peri Rossi
クリスティーナ・ペリ=ロッシ(ウルグアイ)
Cristina Rivera Garza
クリスティーナ・リベラ=ガルサ(メキシコ)
Diamela Eltit
ディアメラ・エルティッツ(チリ)
George R. R. Martin
ジョージ・R・R・マーティン(アメリカ)
Helen Garner
ヘレン・ガーナー(オーストラリア)
Ibrahim al-Koni
イブラヒーム・アル・コーニー(リビア)
Ida Vitale
イダ・ビターレ(ウルグアイ)
Isabel Allende
イサベル・アジェンデ(チリ/アメリカ)
Michael Ondaatje
マイケル・オンダーチェ(スリランカ/カナダ)
Milton Hatoum
ミルトン・ハトゥム(ブラジル)
ノーベル文学賞のオッズに名前が挙がっていた作家で、2024年に無かった作家名を追加しました。
新たに加わった名前で気になったのが、クリスティーナ・リベラ=ガルサ。Nicer Oddsで3位、Ladbrokesで4位。2024年に『Liliana’s Invincible Summer』でピュリッツァー賞・伝記部門を受賞しています。
オッズの上位ではないですが、アラン・マバンクやマイケル・オンダーチェなどの名前も。リンクは邦訳のある作家です。
ノーベル文学賞関連のオッズ
Literary Hub
Here are the bookies’ odds for the 2025 Nobel Prize in Literature.
Nicer Odds
Nobel Prize in Literature Odds
Oddspedia
Nobel Prize in Literature Odds & Bets → Betting on Nobel Prizes
Online Betting Guide (OLBG)
Nobel Prize in Literature 2025 Betting Odds: Can Xue and Krasznahorkai Lead Market
Ladbrokes
Betsson
Här är favoriterna till Nobelpriset i litteratur 2025 – enligt oddsen

ノーベル文学賞関連サイト
The official website of the Nobel Prize – NobelPrize.org(英語)
ノーベル賞公式サイト 。《今年のノーベル賞発表は10月6日から13日まで行われます。発表はすべてノーベル賞公式デジタルチャンネルで生中継されます。》とのこと。
Nobel Prize – YouTube(英語)
ノーベル賞公式Youtubeではライブ配信やインタビューも。
The Nobel Prize (@NobelPrize) / X(英語)
Instagram
Nobel Prize (@nobelprize_org)(英語)
ノーベル賞の最新情報は公式サイトのほか、X、Instagramでも。
ノーベル賞 – Wikipedia
The Nobel Prize in Literature|NobelPrize.org(英語)
ノーベル文学賞の歴代受賞者一覧
ノーベル文学賞 – Wikipedia
ノーベル文学賞受賞者の一覧 – Wikipedia
Nobel Prize in Literature – Wikipedia(英語)
ノーベル賞2024 NHK NEWS WEB
ノーベル文学賞|ノーベル賞2024 NHK NEWS WEB
Oddspedia
Nobel Prize in Literature Odds & Bets → Betting on Nobel Prizes(英語)
オッズの分析サイト「オッズペディア」のノーベル文学賞2025のページ。ノーベル賞にまつわるニュースもあります。
Nicer Odds
Nobel Prize in Literature Odds(英語)
イギリスのブックメーカー「ナイサーオッズ」の受賞者予想。
Online Betting Guide (OLBG)
Nobel Prize in Literature 2025 Betting Odds: Can Xue and Krasznahorkai Lead Market
Ladbrokes(英語)
オッズの分析サイト「OLBG」。英国のブックメーカー(賭け屋)ラドブロークスの受賞者予想。
Betsson
Här är favoriterna till Nobelpriset i litteratur 2025 – enligt oddsen(スウェーデン語)
スウェーデンのブックメーカー「Betsson」。見られるのは上位10名。
ノーベル文学賞関連のニュース(年別)と本
《 2025 》
NHKニュース
ノーベル文学賞2025 ハンガリーの作家 クラスナホルカイ・ラースロー氏「サタンタンゴ」や京都舞台の小説も(2025/10/09)
読売新聞
村上春樹氏・多和田葉子氏らノーベル文学賞受賞が期待される国内外の作家、読売新聞記者が紹介(2025/10/08)
村上春樹さん、オッズ3番手 9日にノーベル文学賞 | NEWSjp(2025年10月02日)
東亜日報
今年のノーベル文学賞の行方は? 最新情報Q&A(2025年10月01日)
産経ニュース
村上春樹さんノーベル文学賞3位 英ブックメーカー予想、金井美恵子さん多和田葉子さんも(2025年09月28日)
《 2024 》
NobelPrize.org
The official website of the Nobel Prize(英語)
ハン・ガンさんのノーベル文学賞の受賞理由が読めます。
YouTube「TBS NEWS DIG」
【LIVE】ノーベル賞 文学賞 発表(10日午後8時ごろ)(2024年10月10日)
好書好日
韓国の作家ハン・ガンさんがノーベル文学賞 アジア女性で初の受賞(2024年10月10日)
朝日新聞デジタル
ノーベル文学賞に韓国の作家ハン・ガンさん 文学賞の韓国人受賞は初(2024年10月10日)
テレ朝news
ノーベル文学賞 ブックメーカーが“予想” 村上春樹さんは3番人気(2024年10月10日)
日刊ゲンダイDIGITAL
ノーベル文学賞発表間近 あるのか⁉村上春樹氏、英ブックメーカーで2位(2024年10月10日)
読売新聞
【ノーベル文学賞】村上春樹さんだけじゃない!多和田葉子さんに注目…柳美里さん、小川洋子さん、川上未映子さんら女性作家の海外評価高まる(2024年10月8日)
読売新聞
村上春樹氏・多和田葉子氏に注目…ノーベル文学賞、発表迫る 期待される世界の作家たち(2024年10月6日)
鴻巣友季子の文学潮流|好書好日
(第18回)「とるに足りない細部」などノーベル文学賞発表前に海外文学新翻訳の収穫を一気読み(2024年10月3日)
共同通信
村上春樹氏、賭け率で2番人気 ノーベル文学賞、1位は中国作家(2024年10月2日)
産経ニュース
村上春樹氏はノーベル文学賞2番人気 中国作家1位、スティーブン・キング氏もリスト入り(2024年10月2日)
Literary Hub
Here are the bookies’ odds for the 2024 Nobel Prize in Literature.
イギリスのブックメーカーのオッズリスト。
PR Newswire
Nobel Prize in Literature: Odds Favorites Revealed by Swedish Betting Giant Betsson(英語/Oct 08, 2024)
スウェーデンのブックメーカー「Betsson」のオッズ、イギリスのものとは結構順位が違う。
朝日新聞GLOBE+
【解説】ノーベル賞とは?2024年の発表中継は?基礎知識や歴史をわかりやすく解説
《 2023 》
読売新聞
村上春樹氏は? 多和田葉子氏は?…ノーベル文学賞、発表迫る 期待される世界の作家たち
Literary Hub
Here are the bookies’ odds for the 2023 Nobel Prize in Literature.(英語)
《 2022 》
読売新聞
ノーベル文学賞、今夜発表…村上春樹氏・多和田葉子氏ら期待される世界の作家たち
朝日新聞デジタル
ノーベル文学賞の仏作家エルノー いまアメリカで読まれる切実さ(鴻巣友季子×柳原孝敦 対談)
Literary Hub
Here are the bookies’ odds for the 2022 Nobel Prize in Literature.(英語)
《 2021 》
スポーツ報知
村上春樹氏、16度目正直のノーベル文学賞はオッズ1位
朝日新聞デジタル
今年のノーベル文学賞は誰の手に あの出来事で選考に変化が?
Literary Hub
Here are the bookies’ odds for the 2021 Nobel Prize in Literature.(英語)
《 2020 》
日本経済新聞
村上春樹さん、賭け3番人気 ノーベル文学賞8日発表
Literary Hub
Here are the bookies’ odds for the 2020 Nobel Prize in Literature.(英語)
《 ノーベル文学賞にまつわる本 》
Amazon
ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち いま読みたい38人の素顔と作品
(青月社・編/2014年9月)
2014年に出版された本だけれど、ヨン・フォッセ(2023年)のほか、ペーター・ハントケ(2019年)、カズオ・イシグロ(2017年)、ボブ・ディラン(2016年)、スヴェトラーナ・アレクシエヴィチ(2015年)と、頼りになる。
Amazon
ノーベル文学賞のすべて
(都甲幸治・編/2021年9月)
歴代受賞者、50年を経て明かされる本当の候補作家、さらには未来の受賞者予想まで。
ノーベル文学賞注目作家の気になる一冊
アドニス「暴力とイスラーム」
『暴力とイスラーム 政治・女性・詩人』
アドニス,フーリア・アブドゥルアヒド,片岡幸彦,伊藤直子,井形美代子,斎藤かぐみ,大林薫
2017/06/01
エディション・エフ
シリア詩人アドニスが精神分析学者を相手にイスラームとアラブを語る。宗教の暴力性と女性蔑視を問い、宗教と政治が結びつく危険性を糾弾し、信徒に深い思索を呼びかける。
アニター・デサイ「デリーの詩人」
『デリーの詩人 (現代インド文学選集 6 英語)』
アニター・デサイ,高橋明
1999/02/01
早川書房
出版社からのコメント
一九八六年に第一巻『ペシャーワル急行』を刊行したこの選集もようやく第六巻までこぎつけました。インド文学は物語性においても社会性においても非常に底が深く、読んでいて本当に面白いのですが、まだまだ日本で馴染みがないのが残念です。
アミタヴ・ゴーシュ「飢えた潮」
『飢えた潮』
アミタヴ・ゴーシュ,岩堀兼一郎
2023/04/19
未知谷
インド ガンガーの河口に広がる大マングローブ地帯シュンドルボン 潮の力が産み出した輝かしい生態系と この地に流れ込む多様な人々の巡りあい・せめぎあいを背景に 神話・地質学・歴史・宗教・政治・動物行動学・気象・災害・言語学 すべてを包み込み、途方もないスケールで展開される21世紀世界文学の名作 ゴーシュにしか書けない、世界中で愛読される、特別な物語 日本の本棚におさまりきらなかったこの作品を、日本の読者にお届けします。 クラウド・ファンディングの支援を受けた特別廉価です!
アラン・マバンク「割れたグラス」
『割れたグラス (アフリカ文学の愉楽)』
アラン・マバンク,桑田光平
2025/04/22
国書刊行会
コンゴ共和国の港湾都市ポワント=ノワールの下町にあるバー”ツケ払いお断り”。
バーの主人《頑固なカタツムリ》からの依頼で、《割れたグラス》はバーとその常連客たちとの日々を思いのまま1冊のノートに書き留めていくことになる。
何枚ものオムツを穿いた《パンパース男》、フランスかぶれの寝取られ《印刷屋》、誰よりも長く放尿できると豪語する《蛇口女》など、いずれ劣らぬ酔客たちの奇怪な逸話が次々とノートに綴られていく。
やがて、《割れたグラス》は自身についても書きはじめるのだが……。
アリ・スミス「秋」
『秋 (新潮クレスト・ブックス)』
アリ・スミス,木原善彦
2020/03/25
新潮社
分断が進む世界で小説に何ができるのか。新時代の希望を描く「EU離脱後」小説。EU離脱に揺れるイギリスのとある施設で眠る謎の老人と、彼を見舞う若い美術史家の女。かつて隣人同士だった二人の人生は、六〇年代に早世した女性アーティストを介して再び交錯し――不協和音が響く現代に、生きることの意味を改めて問いかける。『両方になる』で読者を驚かせた著者による、奇想とユーモアに満ちた話題作。
アリエル・ドルフマン「死と乙女」
『死と乙女 (岩波文庫)』
アリエル・ドルフマン,飯島みどり
2023/08/10
岩波書店
シリア詩人アドニスが精神分析学者を相手にイスラームとアラブを語る。宗教の暴力性と女性蔑視を問い、宗教と政治が結びつく危険性を糾弾し、信徒に深い思索を呼びかける。「あの医者よ。」海辺に立つ一軒家。シューベルトの四重奏曲から逃げ続ける女主人公パウリナが不意の客人の声に探りあてたものとは何だったのか。それぞれの過去を抱えた三人が息詰まる密室劇をおりなす。平和を装う恐怖、真実と責任追及、国家暴力の闇という人類の今日的アポリアを撃つ、チリ発・傑作戯曲の新訳。
アレクシス・ライト「地平線の叙事詩」
『地平線の叙事詩 (オーストラリア現代文学傑作選 8)』
アレクシス・ライト,有満保江
2023/06/12
現代企画室
オーストラリアを代表するアボリジナル作家が歴史に引き裂かれた無数の人々に捧げる「世界文学」
オーストラリアの大地に何万年と住み続けてきた先住民とイギリスからの入植者“白い幽霊”との出会いに始まる、時空を超えた悲しくも美しい叙事詩
アン・カーソン「赤の自伝」
『赤の自伝』
アン・カーソン,小磯洋光
2022/09/14
書肆侃侃房
怪物と英雄が恋をした。言葉が存在を解放する。
ノーベル文学賞最有力とも言われるアン・カーソンの代表作。
古代ギリシアの詩人ステシコロスが描いた怪物ゲリュオンと英雄ヘラクレスの神話が、ロマンスとなって現代に甦る。詩と小説のハイブリッド形式〈ヴァース・ノベル〉で再創造された、アン・カーソンの代表作ついに邦訳。
アンドレイ・クルコフ「ペンギンの憂鬱」
『ペンギンの憂鬱 (新潮クレスト・ブックス)』
アンドレイ・クルコフ,沼野恭子
2004/09/29
新潮社
恋人に去られ孤独なヴィクトルは売れない短篇小説家。ソ連崩壊後、経営困難に陥った動物園から憂鬱症のペンギンを貰い受け、ミーシャと名づけて一緒に暮らしている。生活のために新聞の死亡記事を書く仕事を始めたヴィクトルだが、身辺に不穏な影がちらつく。他人の死が自分自身に迫ってくる。ウクライナはキーウ在住のロシア語作家による傑作長編小説。
イヴァン・クリーマ「カレル・チャペック」
『カレル・チャペック』
イヴァン・クリーマ,田才益夫
2003/08/10
青土社
「今日の世界に憎しみは必要ありません。ごく普通の愛と誠実さがほんの少しあれば、まだ奇跡を起こすことができると思います」 内面世界を深く掘り下げ、作品論にまで結びつけたチャペック論。
ウェンデル・ベリー「ライフ・イズ・ミラクル」
『ライフ・イズ・ミラクル: 現代の迷信への批判的考察 (叢書・ウニベルシタス)』
ウェンデル・ベリー,三国千秋
2005/09/01
法政大学出版局
“生命・人生・環境”「生き物は環境の中にいるだけでなく、その環境を構成するのも生き物である。」現代の科学と科学技術を批判的に考察しつつ生命の観点から独自の環境理論を展開。混迷の時代、生きるとは何かについて新鮮な思考を示す。
ウラジーミル・ソローキン「愛」
『愛』
ウラジーミル・ソローキン,亀山郁夫
2023/02/18
国書刊行会
愛の物語を一切省き突然の狂気へと読者をひきずりこむ、ゼロ形式の恋愛小説ともいうべき表題作「愛」。女教師と教え子のアブノーマルな“授業”を即物的に描いた「自習」。故人に関する驚愕の事実が友人によって明かされる「弔辞」。そのほか「真夜中の客」「競争」など、日常の風景のさなかに悪意を投げ込んで練りあげた文学的オブジェの数々。あまりの過激さに植字工が活字を組むことを拒否したとされる、最もスキャンダラスな作家が放つ、グロテスクかつアンチ・モラルな短篇集。
エドマンド・ホワイト「パリ遊歩者のまなざし」
『パリ遊歩者のまなざし (Writer&Cityシリーズ)』
エドマンド・ホワイト,柿沼瑛子
2005/02/01
ディーエイチシー
コレット、ボードレールなどパリで活躍した有名人の生活を見物し、今日のパリを形成するアフリカ系アメリカ人、ユダヤ人、ムスリムの街に足を踏み入れる。ローザン館とギュスターヴ・モロー美術館でひと休みしたあと、米仏のゲイ作家を訪問し、王制主義者と君主制支持者の区別に頭を悩ませる。長年のパリ暮らしで身につけた、優れた遊歩術を披露する。
エマニュエル・カレール「口ひげを剃る男」
『口ひげを剃る男 (Modern&Classic)』
エマニュエル・カレール,田中千春
2006/06/08
河出書房新社
エレーヌ・シクスー「ヴェール」
『ヴェール』
エレーヌ・シクスー,ジャック・デリダ,郷原佳以
2014/03/14
みすず書房
ヴェール(voile)には、二つの同音異義語がある。宗教的理由で女性が被るヴェール(男性名詞)と、船の帆(女性名詞)。抑圧と解放の意味を持つ「ヴェール」を焦点に、デリダとシクスーが応答する、スリリングな書物だ。ヴェールを剥ぐと真実が現れるという伝統的哲学への疑問から始まり、西洋哲学の根本を書き換える。ともにアルジェリア生まれで四〇年来の盟友である二人。後期デリダ思想の核心へと誘う、きわめて重要な著作。サヴォワール(エレーヌ・シクスー)/蚕(ジャック・デリダ)
エレナ・ポニアトウスカ「乾杯、神さま」
『乾杯、神さま (ルリユール叢書)』
エレナ・ポニアトウスカ,鋤柄史子
2023/07/25
幻戯書房
メキシコ革命を兵士として生きた後、労働者として、変動するメキシコシティの地を這って生きるヘスサという女性は何者か――ジャーナリストの経験を活かし、一個人の証言を多声的な〈女性〉の物語へと昇華させた、セルバンテス賞受賞の女性作家によるルポルタージュ文学の傑作長編。本邦初訳。
エンリーケ・ビラ=マタス「永遠の家」
『永遠の家』
エンリーケ・ビラ=マタス,木村榮一,野村竜仁
2021/08/05
書肆侃侃房
芸術の破壊と再創造をめざすスペイン文学の奇才が綴る〈虚空への新たな跳躍〉を試みる腹話術師の悲しくも可笑しい幻想的連作短編集。
推理小説?シリアス?ユーモア? 虚構に潜む陰の真実。独特の語り口が読むものを霧の彼方へと誘いこむ。
閻連科「黒い豚の毛、白い豚の毛」
『黒い豚の毛、白い豚の毛: 自選短篇集』
閻連科,谷川毅
2019/07/25
河出書房新社
ヒラヒラと舞う雪花、冬の枯れ草の暖かい匂い、鉄の規律に縛られた軍隊生活、テーブルに刺さった赤い箸の十字架…。農村と軍隊と信仰をめぐる9つの短篇。ノーベル文学賞候補と目される作家が自ら選んだ傑作集。
小川洋子「耳に棲むもの」
『耳に棲むもの』
小川洋子
2024/10/10
講談社
耳の中に棲む私の最初の友だちは
涙を音符にして、とても親密な演奏をしてくれるのです。補聴器のセールスマンだった父の骨壺から出てきた四つの耳の骨(カルテット)。
あたたかく、ときに禍々しく、
静かに光を放つようにつづられた珠玉の最新作品集。オタワ映画祭VR部門最優秀賞・アヌシー映画祭公式出品
世界を席巻したVRアニメから生まれた「もう一つの物語」
カール・オーヴェ・クナウスゴール「わが闘争 父の死」
『わが闘争 父の死』
カール・オーヴェ・クナウスゴール,岡本健志,安藤佳子
2015/09/19
早川書房
父の訃報を受けて故郷に帰った作家は、緊張と不安に満ちていた少年時代を回想する。ジェフリー・ユージェニデス、ゼイディー・スミス、ハリ・クンズル絶賛。ノルウェーの大人九人に一人が読んだ自伝小説の傑作!
金井美恵子「ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ」
『ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ (中公文庫)』
金井美恵子
2024/03/19
中央公論新社
出奔した父、母と移り住んだ街、祖母や伯母たちが営む洋裁店で縫いあげられるドレス……。幼年時代の切れ切れの記憶の合間にあらたに浮かび上がる別の記憶が重なり合い、コラージュされて織りなされる繊細で甘美な物語。巻末にロングインタビュー、金井久美子のエッセイを付す。
川上未映子「黄色い家」
『黄色い家』
川上未映子
2023/02/20
中央公論新社
十七歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染める。危ういバランスで成り立っていた共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解し……。人はなぜ罪を犯すのか。世界が注目する作家が初めて挑む、圧巻のクライム・サスペンス。
キャリル・フィリップス「はるかなる岸辺」
『はるかなる岸辺』
キャリル・フィリップス,上野直子
2011/10/26
岩波書店
初めての子の出産を迎えるパリの夫婦と真っ赤な観賞魚ベタ、メキシコシティの閑静な住宅街の伯母の家に預けられた少年とゴキブリ、飼っている牝猫と時を同じくして妊娠する女子学生、不倫関係に陥った二人のバイオリニストと菌類、パリ在住の中国生まれの劇作家と蛇…。メキシコシティ、パリ、コペンハーゲンを舞台に、夫婦、親になること、社会格差、妊娠、浮気などをめぐる登場人物たちの微細な心の揺れや、理性や意識の鎧の下にある密やかな部分を、人間と共にいる生き物を介してあぶりだす新感覚の五つの短編小説集。第3回リベラ・デル・ドゥエロ国際短編小説賞受賞作。
グアダルーペ・ネッテル「赤い魚の夫婦」
『赤い魚の夫婦』
グアダルーペ・ネッテル,宇野和美
2021/08/20
現代書館
第3回リベラ・デル・ドゥエロ国際短編小説賞受賞作
初めての子の出産を迎えるパリの夫婦と真っ赤な観賞魚ベタ、メキシコシティの閑静な住宅街の伯母の家に預けられた少年とゴキブリ、飼っている牝猫と時を同じくして妊娠する女子学生、不倫関係に陥った二人のバイオリニストと菌類、パリ在住の中国生まれの劇作家と蛇…。メキシコシティ、パリ、コペンハーゲンを舞台に、夫婦、親になること、社会格差、妊娠、浮気などをめぐる登場人物たちの微細な心の揺れや、理性や意識の鎧の下にある密やかな部分を、人間と共にいる生き物を介してあぶりだす新感覚の五つの短編小説集。第3回リベラ・デル・ドゥエロ国際短編小説賞受賞作。
グオ・シャオルーほか「Because I am a Girl わたしは女の子だから」
『Because I am a Girl――わたしは女の子だから』
ジョアン・ハリス,ティム・ブッチャー,デボラ・モガー,キャシー・レット,グオ・シャオルー,マリー・フィリップス,アーヴィン・ウェルシュ,角田光代
2012/11/20
英治出版
角田光代が訳さずにはいられなかったーー!
世界を代表する7人の作家が描いた 名もなき女の子たちの物語本書は、国際NGOプランが推進するBecause I am a Girlキャンペーンの主旨に賛同した作家が、それぞれ異なる国のプランの活動地を取材し、その体験をもとに執筆して生まれた書き下ろし短編集です。執筆陣には『トレイン・スポッティング』のアーヴィン・ウェルシュや『ショコラ』のジョアン・ハリスなど世界一流の作家が参加しています。
グギ・ワ・ジオンゴ「戯曲 したい時に結婚するわ」
『戯曲 したい時に結婚するわ (もう一つの世界文学/多言語文学叢書)』
グギ・ワ・ジオンゴ,グギ・ワ・ミリエ,宮本正興
2024/07/22
三元社
英語と決別し、民族語作家へ転身した現代アフリカ文学界の巨星、ケニアのグギ・ワ・ジオンゴらによる最初のギクユ語演劇作品。独立まもない70年代に地元の人々により野外舞台で演じられたが、やがて禁止処分に。何千何万というケニア人の死をもって贖われたイギリス植民地からの独立の大義が裏切られ、日本やアメリカを含むグローバルな搾取の構造のなかでの新旧カミリズ村の経験は、ケニア近現代史の縮図であるとともに、アフリカ全土、はては世界のポストコロニアル国家の底辺に生きる農民や労働者の生きざまをリアルに照らし出している。
クラウディオ・マグリス「ミクロコスミ」
『ミクロコスミ (世界浪曼派)』
クラウディオ・マグリス,二宮大輔
2022/01/25
共和国
作者の生地トリエステを舞台に、カフェから山岳地帯、小島、教会にいたるまで、アドリア海に面したこの境界の地の歴史と空間を縦横無尽に描き出し、微に入り細を穿ちながら、そこに小宇宙(ミクロコスミ)を浮上させる稀有のロマン。近年もカフカ賞を受賞し、ノーベル文学賞候補となるなど、現代イタリア文学の巨匠として君臨する小説家/研究者、クラウディオ・マグリスの代表作。
クリスティーナ・ペリ=ロッシ「狂人の船」
『狂人の船 (創造するラテンアメリカ)』
クリスティーナ・ペリ=ロッシ,南映子
2018/07/10
松籟社
ウルグアイ出身の作家・詩人クリスティーナ・ペリ=ロッシの長篇小説邦訳。
終わりのない旅を続ける亡命者エックス。出会いと別れ、獲得と喪失を繰り返す遍歴のはてに見出されるものとは。
母国ウルグアイの圧制を逃れ、亡命という「痛みを伴う複雑な経験」をくぐり抜けた著者がつづる、現代の遍歴の物語。
高銀「高銀詩選集 いま、君に詩が来たのか」
『高銀詩選集: いま、君に詩が来たのか』
高銀,青柳優子
2007/03/01
藤原書店
コルソン・ホワイトヘッド「地下鉄道」
『地下鉄道 (ハヤカワepi文庫)』
コルソン・ホワイトヘッド,谷崎由依
2020/10/15
早川書房
19世紀、アメリカ。南部の農園で過酷な生活を送る奴隷の少女コーラは、新入りの少年シーザーから奴隷を逃がす“地下鉄道”の話を聞き、ともに逃亡を決意する。冷酷な奴隷狩り人リッジウェイに追われながらも、コーラは地下をひそかに走る鉄道に乗り、さまざまな州をわたり、人に助けられ、また裏切られながら、自由が待つという北をめざす。ピュリッツアー賞、全米図書賞、アーサー・C・クラーク賞受賞作。
コルム・トビーン「ノーラ・ウェブスター」
『ノーラ・ウェブスター (新潮クレスト・ブックス)』
コルム・トビーン,栩木伸明
2017/11/30
新潮社
夫に先立たれた専業主婦の三年間。「平凡な人生」のおどろくべき輝き――。夫を突然亡くしたアイルランドの専業主婦、ノーラ、四十六歳。子供たちを抱え、二十年ぶりに元の職場に再就職したノーラが、同僚の嫌がらせにもめげず、娘たち息子たちとぶつかりながらも、ゆっくりと自己を立て直し、生きる歓びを発見していくさまを丹念に描く。アイルランドを代表する作家が自身の母を投影した自伝的小説。
サマンタ・シュウェブリン「救出の距離」
『救出の距離』
ミシェル・ウエルベック,関口涼子
2024/09/21
国書刊行会
シャーリイ・ジャクスン賞中長篇部門受賞作にして国際ブッカー賞最終候補作!
Netflixで映画化もされた「まったく新らしい幻想譚」が本邦初上陸!!!アルゼンチンの片田舎の診察室で死にかけている女アマンダ、その横にたたずむ謎の少年ダビ。
彼女はなぜ死にかけているのか、ふたりは対話を通してその記憶を探っていく。
すべては熱に浮かされているアマンダの妄想なのか、ダビはそこにいるのかいないのか、そして愛する娘はどこに行ってしまったのか……
〈スパニッシュ・ホラー文芸〉を牽引する作家による、めくるめく愛の悪夢がいまここに。
サルマン・ラシュディ「真夜中の子供たち」
『真夜中の子供たち(下) (岩波文庫)』
サルマン・ラシュディ,寺門泰彦
2020/06/17
岩波書店
「貴君は年老いた,しかし永遠に若くあり続けるインドという国を担ういちばん新しい顔なのです」──ついに露顕した出生の秘密.禁断の愛を抱えつつ,〈清浄〉の国との境をさまよう〈真夜中の子供〉サリームは….稀代のストーリーテラーが絢爛たる語りで紡ぎだす,あまりに魅惑的な物語.(解説=小沢自然)
J・K・ローリング「ハリー・ポッターと賢者の石」
『ハリー・ポッターと賢者の石 (1)』
J・K・ローリング,松岡佑子
1999/12/01
静山社
ロンドン郊外の、どこにでもありそうな平凡な街角、ある晩不思議なことがおこる。そして額に稲妻の形をした傷を持つ赤ん坊が、一軒の家の前にそっと置かれる。生まれたばかりの男の子から両親を奪ったのは、暗黒の魔法使い、ヴォルデモート。
平凡な俗物のおじ、おばに育てられ、同い年のいとこにいじめられながら、その子、ハリー・ポッターは何も知らずに11歳の誕生日を迎える。突然その誕生日に、ハリーに手紙が届く。魔法学校への入学許可証だった。キングズ・クロス駅の「9と3/4番線」から魔法学校行きの汽車が出る。ハリーを待ち受けていたのは、夢と、冒険、友情、そして自分の生い立ちをめぐるミステリー。
ハリーはなぜ魔法界で知らぬものが無いほど有名なのか?額の傷はなぜか?自分でも気づかなかったハリーの魔法の力が次々と引き出されてゆく。そして邪悪な魔法使いヴォルデモートとの運命の対決。
ジュノ・ディアス「オスカー・ワオの短く凄まじい人生」
『オスカー・ワオの短く凄まじい人生 (新潮クレスト・ブックス)』
ジュノ・ディアス,都甲幸治,久保尚美
2011/02/25
新潮社
全米批評家協会賞・ピューリッツァー賞受賞。オタク青年オスカーの悲恋の陰には、一族が背負った呪いがあった。英米で100万部のベストセラー、日本上陸。
ジョイス・キャロル・オーツ「とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢」
『とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢 (河出文庫)』
ジョイス・キャロル・オーツ,栩木玲子
2018/01/05
河出書房新社
金髪女子中学生の誘拐、双子の兄弟の葛藤、猫の魔力、美容整形の闇など、不穏な現実をスリリングに描く著者自選のホラー・ミステリ短篇集。世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞受賞。
ジョン・バンヴィル「ケプラーの憂鬱」
『ケプラーの憂鬱 (プラネタリー・クラシクス)』
ジョン・バンヴィル,高橋和久,小熊令子
1991/10/01
工作舎
「初めに形ありき!」宇宙における調和は幾何学に基礎があると信じ、天球に数学的な図形を探し求めたヨハネス・ケプラー。本書は、天文学に捧げた彼の半生を追いながら、科学的真理は幻想から生まれることを描いたヒストリオグラフィック(歴史記述的)・メタフィクションである。1981年度英国ガーディアン小説賞受賞作。
スコラスティック・ムカソンガ「ナイルの聖母」
『ナイルの聖母』
スコラスティック・ムカソンガ,大西愛子
2024/07/18
講談社
ルワンダの山岳地帯にあるカトリックの寄宿制女子校で起きる、小さな差別、区別、妬みや羨望。女性エリートを育成する学校の生徒たちは、誇り高く規律を守った日常を送るが、それぞれの「うまくいかない日々」への不満は、大きな溝に取り込まれていく。誰しもが持つ小さな負の感情は、いつしか避けがたい衝突へと導かれ……。
スティーヴン・キング「ミザリー」
『ミザリー (文春文庫)』
スティーヴン・キング,矢野浩三郎
2008/08/05
文藝春秋
雪道の自動車事故で半身不随になった流行作家のポール・シェルダン。元看護師の愛読者、アニーに助けられて一安心と思いきや、彼女に監禁され、自分ひとりのために作品を書けと脅迫されるー。キング自身の体験に根ざす“ファン心理の恐ろしさ”を極限まで追求した傑作。のちにロブ・ライナー監督で映画化。
セース・ノーテボーム「儀式」
『儀式』
セース・ノーテボーム,松永美穂
2004/02/20
早川書房
1950-70 年代のアムステルダムを背景に、複雑な過去をもつ知的な自由人、インニと日常のルーティーンさえ儀式と捉えて過ごす狂気と紙一重のターズ父子が繰り広げる物語。
セサル・アイラ「文学会議」
『文学会議 (新潮クレスト・ブックス)』
セサル・アイラ,柳原孝敦
2015/10/30
新潮社
奔放なウィットと想像力の炸裂する、アルゼンチン作家の衝撃作。小説家でマッド・サイエンティストの〈私〉は、文学会議に出席する文豪のクローンを作製しようと企む。しかし小さな手違いから大惨事が――。奇想天外な表題作のほか「マオとレーニン」というパンク少女たちと街角で出会った〈私〉がスーパーを襲撃するまでを描く「試練」を併録。世界的名声を誇る作家による、渾身の2篇。
セバスチャン・バリー「終わりのない日々」
『終わりのない日々 (エクス・リブリス)』
セバスチャン・バリー,木原善彦
2023/06/02
白水社
語り手は、19世紀半ばの大飢饉に陥ったアイルランドで家族を失い、命からがらアメリカ大陸に渡ってきたトマス・マクナルティ。頼るもののない広大な国でトマスを孤独から救ったのは、同じ年頃の宿無しの少年ジョン・コールだった。美しい顔立ちに幼さの残る二人は、ミズーリ州の鉱山町にある酒場で、女装をして鉱夫たちのダンスの相手をする仕事を見つける。初めてドレスに身を包んだとき、トマスは生まれ変わったような不思議な解放感を覚える。やがて体つきが男っぽくなると、二人は食いっぱぐれのない軍隊に入り、先住民との戦いや南北戦争をともに戦っていくー。西部劇を彷彿とさせる銃撃戦、先住民の少女と育む絆、はらはらする脱走劇、胸に迫る埋葬場面などが、勇敢な兵士でありながら女としてのアイデンティティーに目覚めたトマスによって生き生きと語られる。
ダーグ・ソールスター「NOVEL 11,BOOK 18」
『NOVEL 11,BOOK 18 – ノヴェル・イレブン、ブック・エイティーン』
ダーグ・ソールスター,村上春樹
2015/04/09
中央公論新社
この世で最も素晴らしい幸福とは短い幸福であるということが、ビョーン・ハンセンには心の底でわかっていた。ノルウェイ文学界の最も刺激的な作家ソールスター。巧妙なストーリーテリング、型破りな展開、オリジナリティ際だつその小説世界を村上春樹が初めて日本に紹介するー
ダーチャ・マライーニ「ひつじのドリー」
『ひつじのドリー』
ダーチャ・マライーニ,望月紀子,さかたきよこ
2016/09/01
未来社
運命なんてはねつけろ!
イタリアを代表する作家・詩人・劇作家、ダーチャ・マライーニによる子どもから読める短篇集。クローン問題を訴えるために国連に行くおばあさんひつじ、王家に仕えていたことを鼻にかけているガラスの鍋ぶた、こびと家に生まれたのっぽの娘スピル、実験用に捕まってしまった親友を助ける血統書つきの犬、毛皮にされた母親を助け出すきつねの女の子……風変わりな登場人物たちに巻き起こる、魅惑の冒険譚10篇。
ターハル・ベン・ジェルーン「あやまちの夜」
『あやまちの夜』
ターハル・ベン=ジェルーン,菊地有子
2000/12/01
紀伊國屋書店
少女であり、聖女であり、生身の女であり、伝説でもあるジーナ。五人の男たちの前に現われた幻影、言葉の師、そして港町タンジェの分身。いったいジーナとはだれなのか…。物語の魔術師による長篇小説。
ダヴィド・ディオップ「飢えた潮」
『夜、すべての血は黒い』
ダヴィド・ディオップ,加藤かおり
2024/07/18
早川書房
仏軍セネガル兵アルファは、友人を看取っていた。痛みから解放するため殺してほしいという友の願いは叶えられないまま。恐怖と罪悪感に取り憑かれたアルファは、やがて敵兵を捕らえ、残虐な儀式をくり返す。第一次大戦の兵士の心理を描くブッカー国際賞受賞作
多和田葉子「雪の練習生」
『雪の練習生 (新潮文庫)』
多和田葉子
2013/11/28
新潮社
第64回野間文芸賞受賞作
腰を痛め、サーカスの花形から事務職に転身し、やがて自伝を書き始めた「わたし」。どうしても誰かに見せたくなり、文芸誌編集長のオットセイに読ませるが……。サーカスで女曲芸師ウルズラと伝説の芸を成し遂げた娘の「トスカ」、その息子で動物園の人気者となった「クヌート」へと受け継がれる、生の哀しみときらめき。ホッキョクグマ三代の物語をユーモラスに描く、野間文芸賞受賞作。
チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ「アメリカーナ」
『アメリカーナ 上 (河出文庫)』
チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ,くぼたのぞみ
2019/12/06
河出書房新社
高校時代に永遠の愛を約束したイフェメルとオビンゼ。アメリカ留学を目指す二人の前に、現実の壁が立ちはだかる。オビンゼと離れてアメリカに渡ったイフェメルを待っていたのは、階級、イデオロギー、人種で色分けされた、想像すらしたことのない世界だった。世界を魅了する物語作家が三つの大陸を舞台に描く傑作長篇。
残雪「突囲表演」
『突囲表演 (河出文庫)』
残雪,近藤直子
2020/09/05
河出書房新社
カフカやピンチョンと並ぶ天衣無縫の想像力。
現代中国の鬼才による代表作が、ついに文庫化。X女史の年齢は諸説紛々二十八通りあり、ピンは五十歳からキリは二十二歳まで。
容姿は「皺だらけ」とも「性感(セクシー)」とも噂され、小さな煎り豆屋を営みながら、
裏で五香街(ウーシャンチェ)の住人たちを狂気へと誘う……。
デイヴィッド・グロスマン「ヨナタンは名たんてい」
『ヨナタンは名たんてい』
デイヴィッド・グロスマン,ギラド・ソフェル,もたいなつう
2014/07/01
光村教育図書
ある日、ヨナタンの赤いスリッパが消えた。ココアを飲むとき用の、緑色のマグも消えた。クマちゃんも、パパのめがねも、ママのむらさき色のマフラーも消えた。どろぼうを、つかまえなくちゃ!ヨナタンはたんていになって、どろぼうがブツをかくしそうな場所をさがしはじめた…。イスラエルの国民的作家グロスマンがおくる、ほろりと泣けるストーリー。
ボート・シュトラウス「公園」
『公園 (ドイツ現代戯曲選30 第19巻)』
ボート・シュトラウス,寺尾格
2006/08/01
論創社
デイヴィッド・ピース「TOKYO REDUX 下山迷宮」
『TOKYO REDUX 下山迷宮』
デイヴィッド・ピース,黒原敏行
2021/08/24
文藝春秋
1949年、7月。GHQ占領下の東京で、国鉄総裁が出勤途中に姿を消し、深夜の鉄路で発見された。列車にはねられた無残な轢断死体として――。戦後最大の怪事件、「下山事件」。その闇にイギリス作家が挑む未曾有のミステリー大作。
トマス・ピンチョン「トマス・ピンチョン 全小説 重力の虹」
『トマス・ピンチョン 全小説 重力の虹[上] (Thomas Pynchon Complete Collection)』
トマス・ピンチョン,佐藤良明
2014/09/30
新潮社
世界文学史上に空前の伝説を刻んだ33万語、100万字超の巨篇――新訳成る! 耳をつんざく叫びとともに、V2ロケット爆弾が空を切り裂き飛んでくる。ロンドン、一九四四年。情報局から調査の命を受けたスロースロップ中尉は――。 ピューリッツァー賞が「卑猥」「通読不能」と審査を拒否した超危険作にして、今なお現代文学の最先端に屹立する金字塔がついに新訳。詳細な註と膝を打つ解説、索引を付す
トム・ストッパード「アルカディア 」
『トム・ストッパード(4)アルカディア(ハヤカワ演劇文庫)』
トム・ストッパード,小田島恒志
2018/02/20
早川書房
舞台「アルカディア」堤真一、寺島しのぶ、井上芳雄、浦井健治出演
19世紀の英国。詩人バイロンが長逗留する貴族の館には、魅力的な女主人、天才的頭脳の令嬢、皮肉な家庭教師、三流詩人と浮気な妻、大佐、執事と庭番などあらゆる人間の織り成すカオスな関係が渦巻く。二百年の時を経て現代のバイロン研究者らはその謎を解き明かせるのか。はたして決闘で死んだのは誰?隠者の庵で終生過ごしたのは?トマシナの書き残した理論の意味は?難解にして美しくも切ないストッパードの傑作。
ドン・デリーロ「天使エスメラルダ 9つの物語」
『天使エスメラルダ: 9つの物語』
ドン・デリーロ,柴田元幸,上岡伸雄,都甲幸治,高吉一郎
2013/05/31
新潮社
九つの短篇から見えてくる現代アメリカ文学の巨匠のまったく新しい作品世界。島から出られないリゾート客。スラム街の少女と修道女。第三次世界大戦に携わる宇宙飛行士。娘たちのテレビ出演を塀の中から見守る囚人。大地震の余震に脅える音楽教師――。様々な現実を生きるアメリカ人たちの姿が、私たちの生の形をも浮き彫りにする。三十年以上にわたるキャリアを一望する、短篇ベスト・セレクション。
ナーダシュ・ペーテル「ある一族の物語の終わり」
『ある一族の物語の終わり (東欧の想像力)』
ナーダシュ・ペーテル,早稲田みか,簗瀬さやか
2016/04/30
松籟社
「これでお話はおしまい」?祖父から孫へ、そしてその孫へと、語り継がれた一族の/家族の物語。その「終わり」に立ちあったのは、幼いひとりの男の子だったー
パスカル・キニャール「世界のすべての朝は」
『世界のすべての朝は (伽鹿舎QUINOAZ)』
パスカル・キニャール,高橋啓,手嶋勇気
2017/03/23
伽鹿舎
芸術とは誰の為にあるのか。
死者に届く音楽は何を老音楽家にもたらすのか。こんなにも静かな激情
これほどにも高まる愛ゴンクール賞に続き、2017年アンドレ・ジッド賞を受賞した現代フランス文学最高峰の作家が紡ぎ出す珠玉の物語。
芸術とは誰の為にあるのか――
亡き妻との間で、師弟間で交わされる深遠なる問答。
バレリア・ルイセリ「俺の歯の話」
『俺の歯の話』
バレリア・ルイセリ,松本健二
2019/12/27
白水社
現実のフメックス社の工場労働者との共同制作でもある本書は、現実とフィクション、現代アートと文学を融合させ、読者を煙に巻き、思わぬ結末へと導く仕掛けに満ちている。世界15か国で刊行、メキシコ出身の新鋭による斬新なコラボレーション小説。
ハン・ガン「別れを告げない」
『別れを告げない (エクス・リブリス)』
ハン・ガン,斎藤真理子
2024/03/29
白水社
いま生きる力を取り戻そうとする女性同士が、歴史に埋もれた人々の激烈な記憶と痛みを受け止め、未来へつなぐ再生の物語。フランスのメディシス賞、エミール・ギメ アジア文学賞受賞作。
黄晳暎「たそがれ」
『たそがれ (新しい韓国の文学 22)』
黄晳暎,姜信子,趙倫子
2021/06/04
CUON
一九六〇年代以降、大学進学によって貧しさから脱け出し、軍事政権による開発経済の恩恵を受け、建築家として成功した初老の男性。そして急速な発展の結果として拡大した現在の格差の中で、多くをあきらめながら苦しい生活を送る劇作家の若き女性。持てる者が失わなければならなかったものは何か。持たざる者がなお手放さないものは何かー。韓国文学を代表する作家が、現代社会に生きる人間の魂の痛みを静かに描き出す。
フェルナンダ・メルチョール「ハリケーンの季節」
『ハリケーンの季節』
フェルナンダ・メルチョール,宇野和美
2023/12/20
早川書房
2024年度日本翻訳家協会・翻訳特別賞受賞作
とある村で、〈魔女〉の死体が見つかる。彼女は村の女たちに薬草を処方し、堕胎もしてやっていた。彼女を殺したのは一体誰か–。暴力と貧困がはびこる現代メキシコの田舎を舞台に狂気と悲哀を描き、名だたる文学賞候補となった西語圏文壇新星による傑作長篇
ヘレ・ヘレ『グリーフ』
『グリーフ (オーストラリア現代文学傑作選)』
ヘレン・ガーナー,加藤めぐみ
2018/11/12
現代企画室
オーストラリア屈指の実力派作家が取り組んだ、衝撃の裁判ノンフィクション!
父親が運転する車が貯水池に落ち、3人の息子が溺死。これは不幸な事故なのか、それとも別れた妻への復讐なのか?
真相究明を求める法廷で繰り広げられた「悲嘆(グリーフ)」のドラマ。
ヘレ・ヘレ『犬に堕ちても』
『犬に堕ちても』
ヘレ・ヘレ,渡辺洋美
2014/03/06
筑摩書房
42歳、女は日常から逃げ出すように旅に出た。スーツケースだけを持って。辿りついたのは海辺の田舎町。北欧デンマークの日常、屈託のない人々のやさしさの中で、孤独な女の心は次第に紐解かれていく。P.O.エンクウィスト賞、“黄金月桂冠”文学賞を受賞したデンマーク女性作家、初の邦訳。
ポール・サイモン「ポール・サイモン全詞集 1964-2016」
『ポール・サイモン全詞集: 1964-2016』
ポール・サイモン,栩木伸明
2023/08/12
国書刊行会
偉大なるアメリカン・ソングライター、50年の全仕事を集成
「サウンド・オブ・サイレンス」「ボクサー」「明日に架ける橋」などサイモン&ガーファンクル時代の名作から、「僕とフリオと校庭で」「時の流れに」「グレイスランド」などソロ時代の傑作まで全203篇を収録した決定版・愛蔵版全詞集がついに登場。稀代のストーリーテラーにして詩人であるポール・サイモンの歌詞を文学作品として味わえる画期的新訳!
マーガレット・アトウッド「昏き目の暗殺者」
『昏き目の暗殺者 上 (ハヤカワepi文庫)』
マーガレット・アトウッド,鴻巣友季子
2019/09/28
早川書房
1945年、妹のローラは車ごと橋から転落して死んだ。あれは本当に事故だったのだろうか? 年老い孤独に暮らす姉アイリスは、釦工業で財をなした町いちばんの名家だった家族の歴史と姉妹の来し方を振り返っていく……。ローラの手になる小説『昏き目の暗殺者』、次々と亡くなっていく親族たちの死亡記事、そして老女の回想が織りなすある一族の波瀾の歴史。稀代の物語作家が圧倒的想像力で描くブッカー賞、ハメット賞受賞作。
マリアーナ・エンリケス「寝煙草の危険」
『寝煙草の危険』
マリアーナ・エンリケス,宮﨑真紀
2023/05/22
国書刊行会
寝煙草の火で老婆が焼け死ぬ臭いで目覚める夜更け、
庭から現れどこまでも付き纏う腐った赤ん坊の幽霊、
愛するロック・スターの屍肉を貪る少女たち、
死んだはずの虚ろな子供が大量に溢れ返る街……〈文学界のロック・スター〉〈ホラー・プリンセス〉エンリケスによる、12篇のゴシカルな恐怖の祭典がついに開幕!!!
マリー・ンディアイ「三人の逞しい女」
『三人の逞しい女』
マリー・ンディアイ,小野正嗣
2019/05/23
早川書房
〔仏最高峰ゴンクール賞受賞〕弁護士のノラは、長年会っていなかったアフリカ系の父のもとに帰郷するが、最愛の弟の姿が見えず……。アフリカからヨーロッパに渡ろうとするカディ・デンパは、数々の苦難に……。芥川賞作家の翻訳で贈る、フランス文学の極北!
マリーズ・コンデ「料理と人生」
『料理と人生』
マリーズ・コンデ,大辻都
2023/08/04
左右社
女中たちから料理を教わる台所が隠れ家だった娘時代、
4人の子育てに追われる日々、ギニア、ガーナ、セネガルで出会ったアフリカの味、
作家として名を成し、世界中を飛び回る日々に知った東京のヤキトリ、マグレブのタジン鍋。料理なんて召使いのすること──。
そんな母の言葉への反発が、文学への情熱と同じくらい熱い、料理への愛を気づかせてくれた──。
2018年ノーベル文学賞に替わるニュー・アカデミー賞を受賞した世界的黒人女性作家の最後の自伝的回想録。
マリリン・ロビンソン「ギレアド」
『ギレアド』
マリリン・ロビンソン,宇野元
2017/10/25
新教出版社
2005年ピューリツァー賞・全米批評家賞受賞小説 アイオワ州のギレアドという片田舎の町。 カルヴァンとバルトを愛読する老牧師が自らの死期を意識し、若い妻との間にもうけた幼い息子に手紙を綴る。南北戦争から冷戦期にいたる三代にわたる牧師一家の信仰の継承と屈折。帰郷した知己の青年と妻との関係。自らの揺れる心。隣人たちの人生――。 「私はこの本の虜になった」バラク・オバマ。
ミシェル・ウエルベック「セロトニン」
『セロトニン』
ミシェル・ウエルベック,関口涼子
2019/09/26
河出書房新社
巨大化企業モンサントを退社し、農業関係の仕事に携わる46歳のフロランは、恋人の日本人女性ユズの秘密をきっかけに“蒸発者”となる。ヒッチコックのヒロインのような女優クレール、図抜けて敏捷な知性の持ち主ケイト、パリ日本文化会館でアートの仕事をするユズ、褐色の目で優しくぼくを見つめたカミーユ…過去に愛した女性の記憶と呪詛を交えて描かれる、現代社会の矛盾と絶望。
ミハイル・シーシキンほか「ヌマヌマ」
『ヌマヌマ ; はまったら抜けだせない現代ロシア小説傑作選』
ミハイル・シーシキンほか,沼野充義,沼野恭子
2021/10/26
河出書房新社
恋愛、叙情、恐怖、SFなど、多様な作家の個性が響きあうアンソロジー。ビートフ、エロフェーエフ、トルスタヤ、ペレーヴィンら、現代ロシア文学紹介の第一人者たちが厳選した12の短篇。
ミラン・クンデラ「存在の耐えられない軽さ」
『存在の耐えられない軽さ (集英社文庫)』
ミラン・クンデラ,千野栄一
1998/11/20
集英社
苦悩する恋人たち。不思議な三角関係。男は、ひとりの男に特別な感情を抱いた。鮮烈でエロチック…。プラハの悲劇的政治状況下での男と女のかぎりない愛と転落を、美しく描きだす哲学的恋愛小説。
フィリップ・カウフマン監督、主人公トマシュにダニエル・デイ=ルイス、テレーザにジュリエット・ビノシュを迎え、1988年に映画公開された原作小説。
ミルチャ・カルタレスク「ノスタルジア」
『ノスタルジア』
ミルチャ・カルタレスク,住谷春也,高野史緒
2021/10/09
作品社
最初の一編から、恐ろしいほどの描写力が読者を襲う。これがカルタレスクなのだ。ゆっくりと締め上げて行くように緊張感の高まってゆく物語は、しかし、おおかたの予想とは違ったところに着地する。そう、それがカルタレスクだ。この本と出会った私たちは幸運なのである。──高野史緒
ノーベル文学賞の呼び声高い現代ルーマニア文学の旗手が放つ、ポストモダン文学の極致!
村上春樹「めくらやなぎと眠る女」
『めくらやなぎと眠る女』
村上春樹
2009/11/27
新潮社
本邦初登場の「蟹」は、名作「野球場」に登場した作中小説を、実際の作品として書き上げた衝撃の掌篇! ニューヨークで編集された英語版と同じ構成の自選短篇集。
余華「文城 夢幻の町」
『文城-夢幻の町』
余華,飯塚容
2022/10/20
中央公論新社
生まれたばかりの娘を置いて妻はどこへ消えたのか。清末民初の革命吹き荒れる中国を舞台に、現代中国を代表する作家・余華が描いた男と女の慟哭の物語。東山彰良氏感嘆。
柳美里「JR上野駅公園口」
『JR上野駅公園口 (河出文庫)』
柳美里
2017/02/07
河出書房新社
2020年「全米図書賞・翻訳文学部門」受賞作
一九三三年、私は「天皇」と同じ日に生まれたー東京オリンピックの前年、男は出稼ぎのために上野駅に降り立った。そして男は彷徨い続ける、生者と死者が共存するこの国を。高度経済成長期の中、その象徴ともいえる「上野」を舞台に、福島県相馬郡(現・南相馬市)出身の一人の男の生涯を通じて描かれる死者への祈り、そして日本の光と闇…。「帰る場所を失くしてしまったすべての人たち」へ柳美里が贈る傑作小説。
リュドミラ・ウリツカヤ「それぞれの少女時代」
『それぞれの少女時代 (群像社ライブラリー)』
リュドミラ・ウリツカヤ,沼野恭子
2006/07/01
群像社
体と心の変化に気づきながら、性への好奇心をもてあましぎみに、大人の世界に近づいていく、ちょっとおませな同級生の女の子たち。双子の姉を相手に手のこんだいじわるをしてみたり、あこがれの女の先生に花を贈るために体をつかってお金をかせいだり…そんな少女たちがスターリン時代末期のソ連で精一杯生きていた。いまロシアでもっとも愛されている女性作家ウリツカヤが、小さな物語をつむいで描く素顔の少女たち。
ロバート・クーヴァー「ユニヴァーサル野球協会」
『ユニヴァーサル野球協会 (白水Uブックス)』
ロバート・クーヴァー,越川芳明
2014/01/18
白水社
中年会計士ヘンリーの頭の中で日々繰り広げられる熱戦、ゲーム展開を決めるのはサイコロと各種一覧表だ。完全試合を達成した新人投手を悲劇が襲った時、虚構世界が現実を侵し始める。





コメント