ルリユール叢書の本(2023)
「ガリバー」クロード・シモン
『ガリバー (ルリユール叢書)』
エクロード・シモン,芳川泰久
2023/12/26
幻戯書房
『フランドルへの道』『ファルサロスの戦い』『農耕詩』など、前衛的、実験的小説作品を発表した〈ヌーヴォー・ロマン〉の代表作家であり、ノーベル文学賞作家である、クロード・シモン――シモン独自の書法で紡がれた、第二次大戦末期の、とある日曜日の出来事の〈居場所のなさ〉をめぐる初期の長編小説。本邦初訳。
「戦争」ルイ゠フェルディナン・セリーヌ
『戦争 (ルリユール叢書)』
ルイ゠フェルディナン・セリーヌ,森澤友一朗
2023/11/27
幻戯書房
20世紀のスキャンダル作家セリーヌの死後60年の時を経て発見され、「21世紀の文学史的事件」と国内外で話題を呼んだ幻の草稿群のひとつ、『戦争』――『夜の果てへの旅』に続いて執筆された未発表作品にして、第一次大戦下の剥き出しの生を錯乱の文体で描き出した自伝的戦争小説が本邦初訳で登場!
「ドイツの歌姫 他五篇」ラーザ・ラザーレヴィチ
『ドイツの歌姫 他五篇 (ルリユール叢書)』
ラーザ・ラザーレヴィチ,栗原成郎
2023/10/26
幻戯書房
森鷗外『舞姫』を彷彿させる、ドイツ留学したエリート医学生の西欧との出逢い、東欧との疎隔とその葛藤を描く自叙伝的作品『ドイツの歌姫』。古き良き民衆を大らかな共感と深い洞察で活写し、19世紀セルビアのリアリズム文学を確立したラザーレヴィチの中短編六篇を収録。本邦初訳。
「稜線の路」ガブリエル・マルセル
『稜線の路 (ルリユール叢書)』
ガブリエル・マルセル,古川正樹
2023/09/26
幻戯書房
人間に潜む根源的欺瞞を暴き出し、非現実を現実に変えてしまう秩序転倒の現代を告発し、在るべき世界秩序を啓示する――『形而上学日記』の哲学者・劇作家ガブリエル・マルセルの哲学思想を先導する〈筋書きの無い演劇〉にして、マルセル戯曲作品の頂点を極めた全四幕の悲劇。本邦初訳。
「シラー戯曲傑作選 ドン・カルロス」フリードリヒ・シラー
『シラー戯曲傑作選 ドン・カルロス: スペインの王子 (ルリユール叢書)』
フリードリヒ・シラー,青木敦子
2023/07/25
幻戯書房
「太陽の沈まぬ国」と謳われたフェリペ二世治下の盛期スペイン。王妃への秘密の恋に悩む王子ドン・カルロス、自由の国家の実現を目指すポーザ侯爵に、陰謀と策略をめぐらす宮廷の人々を交えて、友情劇、恋愛劇、政治劇が繰り広げられる。前期シラーの自由概念の到達点となった、全五幕の長大な歴史悲劇。
「シラー戯曲傑作選 メアリー・ステュアート」フリードリヒ・シラー
『シラー戯曲傑作選 メアリー・ステュアート (ルリユール叢書)』
フリードリヒ・シラー,津﨑正行
2023/08/29
幻戯書房
16世紀のスコットランド女王メアリーの生涯の〈最後の三日間〉を舞台に、カトリック対プロテスタントの宗教・政治的対立を描いて波紋を呼んだシラーの歴史劇。メアリーの「精神的自由」という理念のドラマを、古典主義規範によって理性と感性の調和として厳密に構成した、全五幕の傑作悲劇。
「乾杯、神さま」エレナ・ポニアトウスカ
『乾杯、神さま (ルリユール叢書)』
エレナ・ポニアトウスカ,鋤柄史子
2023/07/25
幻戯書房
メキシコ革命を兵士として生きた後、労働者として、変動するメキシコシティの地を這って生きるヘスサという女性は何者か――ジャーナリストの経験を活かし、一個人の証言を多声的な〈女性〉の物語へと昇華させた、セルバンテス賞受賞の女性作家によるルポルタージュ文学の傑作長編。本邦初訳。
「モン゠オリオル」ギ・ド・モーパッサン
『モン゠オリオル (ルリユール叢書)』
ギ・ド・モーパッサン,渡辺響子
2023/07/25
幻戯書房
レジャーと治療、自然のスペクタクル、社交と娯楽、投機と事業、源泉所有権をめぐる資本所有者たちのたくらみと諍い、恋愛と姦通――温泉リゾート「モン゠オリオル」を舞台に種々様々な人間たちの「感情」が絡み合う、モーパッサンが描く一大〈人間喜劇〉。
幻戯書房編集部
ギ・ド・モーパッサン『モン゠オリオル』訳者解題
「昼と夜 絶対の愛」アルフレッド・ジャリ
『昼と夜 絶対の愛 (ルリユール叢書)』
アルフレッド・ジャリ,佐原怜
2023/06/26
幻戯書房
アポリネール、ブルトン、レーモン・クノー、イヨネスコ、ボリス・ヴィアンら20世紀フランスの前衛作家たちに多大な影響を与えた、不条理の作家アルフレッド・ジャリ――兵役体験における生と存在を夢幻的に描く『昼と夜』、催眠術によって新しい世界を創造しようとする『絶対の愛』の小説2篇を収録。
幻戯書房編集部
アルフレッド・ジャリ『昼と夜 絶対の愛』訳者解題
「シャーンドル・マーチャーシュ」ジュール・ヴェルヌ
『シャーンドル・マーチャーシュ: 地中海の冒険 (上) (ルリユール叢書)』
ジュール・ヴェルヌ,三枝大修
2023/05/18
幻戯書房
「逃げるんだ、マーチャーシュ! 生きて、裏切り者に鉄槌をくだせ!」 ハンガリー独立運動の道半ばにして斃れた仲間たちから「裁き」の使命を託されたシャーンドル・マーチャーシュ伯爵。果たして彼は、奸智に長けた仇敵たちを捕らえることができるのか?――――『海底二万里』『八十日間世界一周』を凌駕し、ジュール・ヴェルヌの小説シリーズ〈驚異の旅〉の中でも最大級のスケールを誇る、狂瀾怒濤の海洋冒険物語。上巻は、全五部のうち第三部第四章までを収録。エッツェル版挿絵全点を掲載した新訳決定版。
幻戯書房編集部
ジュール・ヴェルヌ『シャーンドル・マーチャーシュ 地中海の冒険 [上・下]』訳者解題
産経ニュース
【書評】息もつかせぬ冒険譚 『シャーンドル・マーチャーシュ』ジュール・ヴェルヌ著、三枝大修訳
「恋の霊 ある気質の描写」トマス・ハーディ
『恋の霊: ある気質の描写 (ルリユール叢書)』
トマス・ハーディ,南協子
2023/02/28
幻戯書房
斬新な構成、独特な心理描写で、彫刻家である主人公の、三代にわたる女性への愛情が赤裸に描かれる――唯美主義、ダーウィニズムの思想を取り込み、〈性愛と芸術〉の関係を探究し続けた英国ヴィクトリア朝の詩人・小説家トマス・ハーディが最後に著したロマンス・ファンタジー。
幻戯書房編集部
トマス・ハーディ『恋の霊 ある気質の描写』訳者解題
ルリユール叢書の本(2022)
「聖ヒエロニュムスの加護のもとに」ヴァレリー・ラルボー
『聖ヒエロニュムスの加護のもとに (ルリユール叢書)』
ヴァレリー・ラルボー,西村靖敬
2022/12/27
幻戯書房
ジョイス、ホイットマン、バトラーら英米文学から中南米文学、伊文学まで〈世界文学の仲介者〉として多言語の文芸を翻訳したコスモポリタン作家ヴァレリー・ラルボー──聖ヒエロニュムスの論考を筆頭に、500余名の文人をめぐり翻訳の理念、原理、技法がエッセイで説き明かされる翻訳論の白眉。本邦初訳。
「ピェール 黙示録よりも深く」ハーマン・メルヴィル
『ピェール: 黙示録よりも深く (上) (ルリユール叢書)』
ハーマン・メルヴィル,牧野有通
2022/11/29
幻戯書房
理想と現実に引き裂かれる曖昧なる人間の愚かさを見つめ、キリスト教社会の欺瞞、西欧社会の偽善を炙り出す――『白鯨』の著者メルヴィルが世界の破滅絵図【ピクチュアレスク】として描いた大長編の問題作。全二十六の書のうち、イザベル登場によりピェールの反逆の人生の火蓋が切られる〈第十二の書〉までを収録。
「ストロング・ポイズン」ドロシー・L・セイヤーズ
『ストロング・ポイズン (ルリユール叢書)』
ドロシー・L・セイヤーズ,大西寿明
2022/10/03
幻戯書房
アガサ・クリスティらと、1920~30年代の〈探偵小説の黄金期〉を牽引した女性作家ドロシー・L・セイヤーズ――探偵らしさと男らしさの狭間で存在の不安に揺れ動く男性探偵の危うさに焦点を当てた、〈ピーター・ウィムジィ卿〉シリーズの重要な転換期となる奇妙な探偵小説。
幻戯書房編集部
ドロシー・L・セイヤーズ『ストロング・ポイズン』訳者解題
翻訳ミステリー大賞シンジケート
謎解きミステリのグッド・オールド・デイズ~H・H・ホームズ『九人の偽聖者の密室』ほか(執筆者:ストラングル・成田)
「三つの物語」スタール夫人
『三つの物語 (ルリユール叢書)』
スタール夫人,石井啓子
2022/08/29
幻戯書房
ナポレオンとの政治的対立から追放されながら、個人の自由と寛容を重んじ、政治的リベラリズムを貫き通したスタール夫人――奴隷制度廃止宣言の翌年に刊行された、三角貿易の拠点セネガル、アンティル諸島、ル・アーヴルを舞台にした三人のヒロインたちによる「愛と死」の理想を描く中編小説集。本邦初訳。
「詩人の訪れ 他三篇」シャルル・フェルディナン・ラミュ
『詩人の訪れ 他三篇 (ルリユール叢書)』
シャルル・フェルディナン・ラミュ,笠間直穂子
2022/07/26
幻戯書房
土地固有のかたちとフランス語の多様性を追求し続けたスイス・ロマンドの国民作家C・F・ラミュ──ラヴォー地域の村落を理想郷として描く詩的小説の表題作、故郷の地勢から発する文学を決意した「存在理由」、「手本としてのセザンヌ」「ベルナール・グラッセへの手紙」を収録。本邦初訳。
「みつばちの平和 他一篇」アリス・リヴァ
『みつばちの平和 他一篇 (ルリユール叢書)』
アリス・リヴァ,正田靖子
2022/07/25
幻戯書房
20世紀スイスロマンド文学を代表する女性作家アリス・リヴァ――告白体の軽快な「女性の文体」で〈女の生〉を赤裸々に綴った、時代に先駆けたフェミニズム小説の表題作と、名もなき者たちの沈黙に言葉を与える詩的散文『残された日々を指折り数えよ』の2篇を収録。本邦初訳。
「魔法の指輪 ある騎士物語」フリードリヒ・ド・ラ・モット・フケー
『魔法の指輪: ある騎士物語 (上) (ルリユール叢書)』
フリードリヒ・ド・ラ・モット・フケー,池中愛海,鈴木優,和泉雅人
2022/05/26
幻戯書房
『ウンディーネ――水の妖精』の詩人が書いた大ベストセラー小説が、210年の時を超えて蘇る!――『指輪物語』『ナルニア国物語』の先駆となった冒険ファンタジー小説の原像。汎ヨーロッパのヴィジョンを夢幻に繰り広げた、力と美の奔出する中世騎士道絵巻。本邦初訳。原著全3部中、第1部から第2部前半までを収録(全2巻)。
「運河の家 人殺し」ジョルジュ・シムノン
『運河の家 人殺し (ルリユール叢書)』
ジョルジュ・シムノン,森井良,瀬名秀明
2022/04/26
幻戯書房
〈メグレ警視〉シリーズの作家が、人間であることの病いをどこまでも灰色に、〝イヤミス〟以上にほろ苦く描く――シムノン初期の、「純文学」志向の〈硬い小説〉の傑作2篇がついに本邦初訳で登場! シムノン研究家の顔をもつ小説家・瀨名秀明による、決定版シムノン「解説」を収録。
幻戯書房編集部
ジョルジュ・シムノン『運河の家 人殺し』訳者あとがき(text by 森井良)
ALL REVIEWS
『運河の家 人殺し』(幻戯書房) – 著者:ジョルジュ・シムノン 翻訳:森井 良 – 若島 正による書評
翻訳ミステリー大賞シンジケート
ジョルジュ・シムノン『運河の家 人殺し』(執筆者・森井良)
夢が形に~レオ・ブルース『レオ・ブルース短編全集』ほか(執筆者:ストラングル・成田)
第37回『運河の家』(執筆者・瀬名秀明)
第55回『殺人者』(執筆者・瀬名秀明)
Spotify
走ることについて語ること/フレンチ・ミステリの翻訳 – 森のクマさんのポッドキャスト(約46分)
「放浪者 あるいは海賊ペロル」ジョウゼフ・コンラッド
『放浪者 あるいは海賊ペロル (ルリユール叢書)』
ジョウゼフ・コンラッド,山本薫
2022/04/01
幻戯書房
若くして祖国を離れ、他郷での船乗り体験から作家へと転身、複数の言語と文化を越境しながら、政治小説、海洋小説の名作を世界文学に残した〝二重の生を持つ人〟コンラッド――ナポレオン戦争期の南仏・地中海の、老練の船乗りの帰郷と静かな戦いを描く、知られざる歴史小説。本邦初訳。
「ルツィンデ 他三篇」フリードリヒ・シュレーゲル
『ルツィンデ 他三篇 (ルリユール叢書)』
フリードリヒ・シュレーゲル,武田利勝
2022/01/28
幻戯書房
「精神と官能」「男と女」――色鮮やかな生の無限の混沌を、あふれる機知とイロニーでもって、めくるめくアラベスクへと織りあげたマニエリスム小説の傑作『ルツィンデ』のほか、文学と哲学、そして愛をめぐるフリードリヒ・シュレーゲルの初期批評3篇を収録。
自分の愛とか君の愛とか、僕にはもう言えないよ。ふたつの愛はお互いに等しく、完全にひとつ。愛と、それに応える愛とは同じってこと。これこそ結婚、つまり僕たちの精神の永遠の統一、永遠の結合だ。
ルリユール叢書の本(2021)
「復讐の女/招かれた女たち」シルビナ・オカンポ
『復讐の女/招かれた女たち (ルリユール叢書)』
シルビナ・オカンポ,寺尾隆吉
2021/11/26
幻戯書房
ボルヘスやビオイ・カサーレスに高く評価され、「アルゼンチン文学の秘宝」とも称された短編小説の名手シルビナ・オカンポは、日常生活に隠された不思議から奇想天外な物語を引き出した。幻想的リアリズムの頂点をなす怪奇短編集『復讐の女』と『招かれた女たち』の全78篇を収録。本邦初訳。
「シラー戯曲傑作選 ヴィルヘルム・テル」フリードリヒ・シラー
『シラー戯曲傑作選 ヴィルヘルム・テル (ルリユール叢書)』
フリードリヒ・シラー,本田博之
2021/10/25
幻戯書房
14世紀初頭、代官の圧政に苦しむスイス三州の民衆は、独立を求めて同盟し蜂起する――盟友の文豪ゲーテとの交遊を通じて構想された、〝弓の名手〟の英雄ヴィルヘルム・テル伝説、スイスの史実を材に、民衆の精神的自由を力強く活写した、劇作家シラーの不朽の歴史劇。
「修繕屋マルゴ 他二篇」フジュレ・ド・モンブロン
『修繕屋マルゴ 他二篇 (ルリユール叢書)』
フジュレ・ド・モンブロン,福井寧
2021/09/30
幻戯書房
偽善社会をこき下ろし、ディドロに「心臓に毛が生えている」と評された、人相不明の諷刺作家フジュレ・ド・モンブロン――エロティックな妖精物語『深紅のソファー』と遊女の成り上がりの物語『修繕屋マルゴ』、奔放不羈な旅人の紀行文学『コスモポリット(世界市民)』を収録。
「部屋をめぐる旅 他二篇」グザヴィエ・ド・メーストル
『部屋をめぐる旅 他二篇 (ルリユール叢書)』
グザヴィエ・ド・メーストル,加藤一輝
2021/09/30
幻戯書房
フランス革命の只中、18世紀末のトリノで、世界周游の向こうを張って42日間の室内旅行を敢行、蟄居文学の嚆矢となったグザヴィエ・ド・メーストル「部屋をめぐる旅」――その続編「部屋をめぐる夜の遠征」、および「アオスタ市の癩病者」の小説3篇と、批評家サント゠ブーヴによる小伝を収録。
「魂の不滅なる白い砂漠」ピエール・ルヴェルディ
『魂の不滅なる白い砂漠: 詩と詩論 (ルリユール叢書)』
ピエール・ルヴェルディ,平林通洋,山口孝行
2021/07/27
幻戯書房
シュルレアリスムの先駆的存在と知らしめた〈イマージュ〉から孤高の存在へと歩を進めた詩人ルヴェルディ――初期から晩年に至る30篇の「詩」、本邦初訳「詩と呼ばれるこの情動」他「詩論」4篇、E・グリッサンのルヴェルディ論を付したルヴェルディ詩学の核心に迫る精選作品集。
幻戯書房編集部
ピエール・ルヴェルディ『魂の不滅なる白い砂漠 詩と詩論』訳者解題(text by 平林通洋、山口孝行)
WEB本の雑誌
比類なき円錐小説ベルンハルト『推敲』に大満足! – 新刊めったくたガイド
「過去への旅 チェス奇譚」シュテファン・ツヴァイク
『過去への旅 チェス奇譚 (ルリユール叢書)』
シュテファン・ツヴァイク,杉山有紀子
2021/06/28
幻戯書房
無情な現実に引き裂かれる男女の合間をドラマティックに物語る、本邦初訳の未完小説『過去への旅』。作者の生涯最後の日々に完成した、チェスをめぐる孤独と狂気の心理を克明に描く『チェス奇譚』。ツヴァイクの生涯を貫く〈内的自由〉の思想を映した二つの傑作中編。
「ヘンリヒ・シュティリング自伝」ユング゠シュティリング
『ヘンリヒ・シュティリング自伝: 真実の物語 (ルリユール叢書)』
ユング゠シュティリング,牧原豊樹
2021/05/26
幻戯書房
貧困に負けず学問を続けて大成する、独学者の数奇な人生行路を描いた18世紀ドイツの自伝文学。「疾風怒濤」運動の中心人物ゲーテ、観相学者ラヴァーター、思想家ヘルダーらとの親交から生まれた、〈ヴィルヘルム・マイスター〉よりも大衆に読まれた教養小説。本邦初訳。
「ニルス・リューネ」イェンス・ピータ・ヤコブセン
『ニルス・リューネ (ルリユール叢書)』
イェンス・ピータ・ヤコブセン,奥山裕介
2021/05/26
幻戯書房
退屈な生のいつ終わるともない寂寞のなか、空想が光輝の花を振り撤いた。夢みるような気分が胸内にただよい、生気あふれる芳香で心を誘い、蝕んだ。香りには、生気に渇えた胸さわぎの甘やかな毒が潜んでいた。
生の豊穣と頽落、夢想の萌芽、成熟から破綻までを絢爛なアラベスクとして描きだした、世紀末デカダンスに先駆ける“幻滅小説”。リルケ、トーマス・マン、ヘッセ、ツヴァイク、ホーフマンスタール、ムージル、ジョイス、ルルフォを魅了した19世紀デンマーク文学の傑作長編。
幻戯書房編集部
イェンス・ピータ・ヤコブセン『ニルス・リューネ』訳者解題(text by 奥山裕介)
WEB本の雑誌
血と情念が燃え上がるヨクナパトーファ・サーガの原点 – 新刊めったくたガイド
じんぶん堂
デンマーク詩人が紡いだプレパラートの中の言葉 ――ふたたび世界に出逢うまで
産経ニュース
【ビブリオエッセー】言葉の標本箱のような 「ニルス・リューネ」イェンス・ピータ・ヤコブセン著 奥山裕介訳(幻戯書房ルリユール叢書)
「ミルドレッド・ピアース」ジエイムズ・M・ケイン
『ミルドレッド・ピアース: 未必の故意 (ルリユール叢書)』
ジエイムズ・M・ケイン,吉田恭子
2021/03/26
幻戯書房
『郵便配達は二度ベルを鳴らす』の著者ケインの、映画・ドラマ化されたノワール文学の傑作。大恐慌の巨大都市郊外で、役立たずの夫を追い出した「独居妻(グラス・ウィドウ)」が奮闘する愛と金と逸脱の物語。米国大衆の夢と欲望を描くロサンゼルス都市小説の古典。本邦初訳。彼女が罪を犯したとすれば、その唯一の罪は、この娘をあまりに思いを込めて愛し過ぎたことだった。
幻戯書房編集部
ジェイムズ・M・ケイン『ミルドレッド・ピアース 未必の故意』訳者解題(text by 吉田恭子)
翻訳ミステリー大賞シンジケート
女だって完璧ってわけじゃない~ジェイムズ・M・ケイン『ミルドレッド・ピアース』他(執筆者:ストラングル・成田)
乱読クライム・ノヴェル第六十七回 ジェイムズ・M・ケイン『殺人保険』(執筆者:小野家由佳)
「仮面の陰に あるいは女の力」ルイザ・メイ・オルコット
『仮面の陰に あるいは女の力 (ルリユール叢書)』
ルイザ・メイ・オルコット,大串尚代
2021/02/26
幻戯書房
あの『若草物語』の作者オルコットが扇情小説を書いていた?!
なぜオルコットは、A. M. バーナードという男性作家名義で、かくも扇情的な小説作品群をいくつも発表していたのか?
英国の名家でガヴァネスが惹き起こす、19世紀米国大衆〈スリラー〉小説
幻戯書房編集部
ルイザ・メイ・オルコット『仮面の陰に あるいは女の力』訳者解題(text by 大串尚代)
好書好日
「仮面の陰に あるいは女の力」 別名義で書いた 抑圧への復讐譚 朝日新聞書評から
翻訳ミステリー大賞シンジケート
美しき闖入者・三態~ダフネ・デュ・モーリア『原野の館』他(執筆者:ストラングル・成田)
「フラッシュ ある犬の伝記」ヴァージニア・ウルフ
『フラッシュ: ある犬の伝記 (ルリユール叢書)』
ヴァージニア・ウルフ,岩崎雅之
2021/02/26
幻戯書房
19世紀の英国詩人エリザベス・バレット・ブラウニングの日常模様が、愛犬フラッシュの目を通して語られる、ユーモア溢れる伝記小説。英国版「吾輩は犬である」。ヴァージニア・ウルフが飼い犬に寄せたエッセイ「忠実なる友について」、エリザベス・バレットの詩「わが忠犬、フラッシュに寄す」も収録。
ルリユール叢書の本(2020)
「山の花環 小宇宙の光」ペタル二世ペトロビッチ゠ニェゴシュ
『山の花環 小宇宙の光 (ルリユール叢書)』
ペタル二世ペトロビッチ゠ニェゴシュ,田中一生,山崎洋
2020/10/26
幻戯書房
低き丘でも高みに立たば、
下の者より見ゆるは道理、
われもみなより多く見ゆべし――
幸せにして、また不幸なり。イスラム教改宗者の討伐という歴史的事件を材に、民衆の「哀しき人間の運命」を綴った、セルビア「第二の聖書」と目される一大詩篇『山の花環』。宇宙創造、人間の堕落と魂の救済を詠う『小宇宙の光』。セルビア文学の金字塔となった、ニェゴシュを代表する二大叙事詩。
「イェレナ、いない女 他十三篇」イボ・アンドリッチ
『イェレナ、いない女 他十三篇 (ルリユール叢書)』
イボ・アンドリッチ,田中一生,山崎洋,山崎佳代子
2020/10/26
幻戯書房
目にするものはすべて詩であり、手に触れるものはすべて痛みである。
不正義、不条理に満ちた世界で人びとはいかに生きるか。
歴史に翻弄される民族を見つめ、人類の希望を「橋」の
詩学として語り続けたノーベル文学賞作家アンドリッチ──
「橋」、短編小説八篇、散文詩『エクス・ポント(黒海より)』
と「不安」、エッセイ三篇を収録した精選作品集。
「ボスの影」マルティン・ルイス・グスマン
『ボスの影 (ルリユール叢書)』
マルティン・ルイス・グスマン,寺尾隆吉
2020/09/28
幻戯書房
メキシコで、銃以外の手段で大統領になることはできません。
オクタビオ・パス、カルロス・フエンテス、ホセ・エミリオ・パチェーコらラテンアメリカ文学の巨匠に激賞された政治家・作家マルティン・ルイス・グスマン――
作家みずから体験した1923年の政争、1927年セラーノ暗殺事件を題材に、首都メキシコシティで繰り広げられる、血なまぐさい政権抗争と人間の悲哀を描く〈メキシコ革命小説〉の白眉。本邦初訳。
「聖伝」シュテファン・ツヴァイク
『聖伝 (ルリユール叢書)』
シュテファン・ツヴァイク,宇和川雄,籠碧
2020/08/26
幻戯書房
その目はあまりにも死んだ兄の目に似ていた。あの時、逆賊のテントで、みずからの手で殺したあの兄の目に……
絶対平和主義を貫き、正しい生き方を求め、
最後には自死を選んだ伝記作家の名手ツヴァイク――
聖書、聖典を材に、時代の「証人」として
第一次大戦中から亡命時代に至る激動の時代に書き残した、
人類永遠の主題「戦争と平和」をめぐる四つの物語。
本邦初訳を含む新編新訳。
ツヴァイクの作品の多くは、無垢でありながら闇の領域に足を踏み入れてしまう人物の視点から語られている。わたしは常々、ツヴァイク自身は冒険をしないタイプの人、つまり彼が作品のなかで掘り下げて書いているのはあくまでも自分が興味をもった出来事で、彼自身の体験ではないのだと思っていた。だが事実はまったく逆のようだ。
―ウェス・アンダーソン
「子供時代」ナタリー・サロート
『子供時代 (ルリユール叢書)』
ナタリー・サロート,湯原かの子
2020/07/27
幻戯書房
ヌーヴォー・ロマン作家サロートが到達した、伝記でも回想でもない、まったく新しい「反-自伝小説」。
「私」と「あなた」の対話ではじまる、ことばとイマージュと記憶の物語。
円熟期の実験作。サロート43年ぶりに邦訳刊行!
幻戯書房編集部
ナタリー・サロート『子供時代』訳者解題(text by 湯原かの子)
ALL REVIEWS
『子供時代』(幻戯書房) – 著者:ナタリー・サロート 翻訳:湯原 かの子 – 堀江 敏幸による書評
「颱風」レンジェル・メニヘールト
『颱風 (ルリユール叢書)』
レンジェル・メニヘールト,小谷野敦
2020/07/27
幻戯書房
パリの日本人コロニーを舞台にした〈ジャポニズム・フィクション〉として、20世紀初頭、欧米各地の劇場を席捲、「黄禍論」の議論を呼んだドラマ。「台風」現象としてセンセーションを巻き起こした、ハンガリーの劇作家レンジェルの代表作。
「アルフィエーリ悲劇選 フィリッポ サウル」ヴィットーリオ・アルフィエーリ
『アルフィエーリ悲劇選 フィリッポ サウル (ルリユール叢書)』
ヴィットーリオ・アルフィエーリ,菅野類
2020/04/27
幻戯書房
若きスタンダールとバイロンを熱狂させた異形の才能。18世紀イタリア最大の劇作家アルフィエーリー王家の親子の確執を描いた『フィリッポ』、正気と狂気の狭間をゆれ動く古の王『サウル』の傑作悲劇二篇を収録。本邦初訳。
「断想集」ジャコモ・レオパルディ
『断想集 (ルリユール叢書)』
ジャコモ・レオパルディ,國司航佑
2020/04/27
幻戯書房
日常生活において、何より許されざるものと考えられているのは不寛容である。実際、不寛容以上に許容されていないものはない。
イタリア人に最も愛された大詩人にして、
ショーペンハウアー、ニーチェ、ベンヤミン、カミュ、
夏目漱石、芥川龍之介、三島由紀夫ら東西の文人に影響を与えた
19世紀イタリアの思想家・哲学者レオパルディ──
実存主義に先駆けた、「人間と事物の本性」をめぐる
遺作の哲学散文集。
「独裁者ティラノ・バンデラス」バリェ゠インクラン
『独裁者ティラノ・バンデラス: 灼熱の地の小説 (ルリユール叢書)』
バリェ゠インクラン,大楠栄三
2020/02/26
幻戯書房
衛兵の交代に目を光らす彼の横顔は、司祭の蝶ネクタイをつけ黒いサングラスをかけた髑髏[どくろ]のようだ。
ウナムーノらスペイン〈98年世代〉の作家バリェ゠インクランが
独自の小説技法「エスペルペント」で描き出した、
いびつで歪んだグロテスクな現実世界――
ガルシア゠マルケス、フエンテスら世界文学者に継承される
〈独裁者小説〉の先駆的作品。本邦初訳。
「従弟クリスティアンの家で 他五篇」テーオドール・シュトルム
『従弟クリスティアンの家で 他五篇 (ルリユール叢書)』
テーオドール・シュトルム,岡本雅克
2020/01/23
幻戯書房
地上の暗さと夜空の暗い深淵との間には、解きがたい謎をはらんで微睡んでいる人間の生が横たわっていた。
抒情から叙事へ――
詩的写実主義の作家シュトルムの転換期を代表する
人間個人の心理に肉迫する表題作のほか、
「三色すみれ」「人形つかいのポーレ」
「森のかたすみ」「静かな音楽家」「荒野の村」
五つの短篇小説を収録。
ルリユール叢書の本(2019)
「ドクター・マリゴールド 朗読小説傑作選」チャールズ・ディケンズ
『ドクター・マリゴールド: 朗読小説傑作選 (ルリユール叢書)』
チャールズ・ディケンズ,井原慶一郎
2019/12/05
幻戯書房
それで、その医者への感謝と敬意を込めて、その生まれた子どもはドクターと名づけられたわけよ。それがこの俺さ。ドクター・マリゴールド。ディケンズみずから朗読する「クリスマス・キャロル」「バーデル対ピクウィック」など人気を博した、〝声に出して読みたい〟ディケンズの代表的朗読作品5編を収録。
幻戯書房編集部
チャールズ・ディケンズ『ドクター・マリゴールド 朗読小説傑作選』刊行記念/収録作「ひいらぎ旅館の下足番」朗読音声公開
【出版物紹介】編訳書『ドクター・マリゴールド 朗読小説傑作選』|井原慶一郎
国立大学法人 鹿児島大学
研究一直線 イギリスの国民的作家ディケンズについての研究 法文学部 法経社会学科 教授 井原慶一郎
Youtube「keiichiro ihara」
ディケンズ朗読台本集 ①「クリスマス・キャロル」名場面集7
ディケンズ朗読台本集 ②「ひいらぎ旅館の下足番」名場面集
「アムール・ジョーヌ」トリスタン・コルビエール
『アムール・ジョーヌ (ルリユール叢書)』
トリスタン・コルビエール,小澤真
2019/11/26
幻戯書房
中原中也の愛した呪われた詩人コルビエールと海の男の子守唄……
中也はコルビエールに何を見たのか。解答は、その詩のなかに。
アンドレ・ブルトンをしてシュールリアリズムの先駆けと言わしめた、名高き『黄色い恋』の、本邦初となる全訳完全版
幻戯書房編集部
トリスタン・コルビエール『アムール・ジョーヌ』訳者解題(text by 小澤真)
『呪われた詩⼈たち』『アムール・ジョーヌ』刊⾏記念対談(前編)
『呪われた詩⼈たち』『アムール・ジョーヌ』刊⾏記念対談(後編)
「呪われた詩人たち」ポール・ヴェルレーヌ
『呪われた詩人たち (ルリユール叢書)』
ポール・ヴェルレーヌ,倉方健作
2019/11/26
幻戯書房
コルビエール、ランボー、マラルメらを世に知らしめ、
同時代人の蒙を開き、次代に甚大な影響をもたらした
詩人ヴェルレーヌによる画期的評論。鈴木信太郎訳(1951年)以来の新訳であり、原書初版の初の完全翻訳。
幻戯書房編集部
ポール・ヴェルレーヌ『呪われた詩人たち』訳者解題(text by 倉方健作)
『呪われた詩⼈たち』『アムール・ジョーヌ』刊⾏記念対談(前編)
『呪われた詩⼈たち』『アムール・ジョーヌ』刊⾏記念対談(後編)
「マクティーグ」フランク・ノリス
『マクティーグ (ルリユール叢書)』
フランク・ノリス,高野泰志
2019/09/26
幻戯書房
突如その男の内側に住む獣が身をもたげ、目を覚ました。
ゾラをも凌ぐアメリカ自然主義の、最高の宿命小説。
怪物シュトロハイムに映画『グリード』を
作らせた、ノワール文学の先駆的作品!
「アベル・サンチェス」ミゲル・デ・ウナムーノ
『アベル・サンチェス (ルリユール叢書)』
ミゲル・デ・ウナムーノ,富田広樹
2019/06/26
幻戯書房
「永遠に憎悪するために、永遠に生きるのだと考えて私は戦慄した。それは地獄であった。」
20世紀スペインを代表する情熱の哲学者が
現代に甦らせたカインとアベルの物語。
魂の闇の臨床記録。
「フェリシア、私の愚行録」ネルシア
『フェリシア、私の愚行録 (ルリユール叢書)』
ネルシア,福井寧
2019/06/24
幻戯書房
「私をこんな馬鹿な女にした神々が悪いのです。」
好事家泣かせの遊蕩三昧!! 不道徳の廉で禁書となった、
ほしいままにする少女の、18世紀フランスの
痛快無比な〈反恋愛〉リベルタン小説。本邦初訳。
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