
素敵な本を作ってくれる出版社さん、
調べていくと、人が見えて、いろいろ楽しい。
だから、皆さんにもお裾分け。
出版社の方たちと、はじめまして。
仲良くできるきっかけを、
まずはHPと、表紙に惹かれる本などから。
本と人、人と人が出会う、
きっかけにしてもらえたらうれしいです。
- 海外文学と翻訳もの、出版社の一覧
- 楽天ブックスの出版社リスト
- Xのリスト「出版社、編集者と出版関係のひと」
- 海外文学、翻訳ものの出版社、気になる一冊
- あいんしゅりっと★「誘惑者」ヘルマン・ブロッホ
- 明石書店★「誰もが別れる一日」ソ・ユミ
- あかつき教育図書★「ひみつのビクビク」フランチェスカ・サンナ
- あかね書房★「どうだ いかすだろ!」アンソニー・ブラウン
- 亜紀書房★「外は夏」キム・エラン
- あけび書房★「異聞シャーロック・ホークス」吉本研作
- 朝日新聞出版★「シャーロック・ホームズ家の料理読本」ファニー・クラドック
- アストラハウス★「長恨歌」王安憶
- あすなろ書房★「庭をつくろう!」ゲルダ・ミューラー
- アチェロ★「ハトのしあわせうり」ダヴィデ・カリ、マルコ・ソマ
- アダチプレス★「ミルクとはちみつ」ルピ・クーア
- 雨雲出版★「雨雲の集まるとき」ベッシー・ヘッド
- 化学同人★「ティーカップ」レベッカ・ヤング、マット・オットリー
- きじとら出版★「船を見にいく」アントニオ・コック、ルーカ・カインミ
- 北烏山編集室★「オリンピア」デニス・ボック
- 共和国★「収容所のプルースト」ジョゼフ・チャプスキ
- 幻戯書房★「失われたスクラップブック」エヴァン・ダーラ
- 春秋社★「美は傷」エカ・クルニアワン
- 松柏社★「翻訳を産む文学、文学を産む翻訳」邵丹
- 水声社★「ジョルジュ・ペレック伝」デイヴィッド・ベロス
- 小鳥遊書房★「西洋文学にみる異類婚姻譚」山内淳
- ロクリン社★「バーバラ・レオニ・ピカード 7つの国のおとぎ話」バーバラ・レオニ・ピカード
海外文学と翻訳もの、出版社の一覧
翻訳ものだけでなく、
海外文学っぽいものも含みます。
出版社検索、新着順。
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(水声社さんは楽天ブックス)
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今現在の出版社数は、120ちょっと。
昨年の児童文学分はあとで追加します。
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こちらもおすすめ!
共和国の下平尾さんも出演されてます
楽天ブックスの出版社リスト
楽天ブックスには、出版社リストがあります。上の一覧表はAmazonの検索リンクになっているので、「楽天ブックスがいい!」という方は、ここから探してみてください。
50音順になっているページなのに、
ほとんど「その他」に放り込まれている。
Xのリスト「出版社、編集者と出版関係のひと」
リスト / X
「出版社、編集者と出版関係のひと」
個人的に集めていた
出版社さんや編集者さんのリストです。
海外文学だけでなく、暮らし本や、
ひとり出版社さんなども。
素敵な方がいっぱいいるので、
いろいろフォローしてみてください。
↑このページ作成のきっかけになった。
↑出版社一覧表はここから。
海外文学、翻訳ものの出版社、気になる一冊
たくさんあるので、すこしずつ。
あいんしゅりっと★「誘惑者」ヘルマン・ブロッホ
『誘惑者 上』
ヘルマン・ブロッホ,古井由吉
2024/11/22
あいんしゅりっと
ドイツ文学好き、今はひとりだけの出版社。ギュンター・グラス『猫と鼠』の表紙は猫。ブレヒト流のジュリアス・シーザーな小説も。ブロッホ『ウェルギリウスの死』は「ジョイスの影響を受けた意識の流れの手法」とのことなので、実験小説の一覧表にも入れておこう。
20世紀ドイツ文学を代表する作家であるヘルマン・ブロッホの死後に遺稿から編纂された長編小説をドイツ文学者・古井由吉が翻訳した言語芸術の最高峰ともいえる名作を復刊。本作の訳業は古井由吉が作家への道を歩むきっかけのひとつに。
山間部の山村で素朴に生活を営む人々。その村に都会から「誘惑者」が流れつき、しだいに村は「誘惑者」の妄想に浸透されていく。語り手である田舎医師を通して描かれる、村人たちの空疎な熱狂と荘厳なる自然。筑摩世界文學体系(1973年2月刊行)に収録の同名作品の復刊。コンパクトサイズ、1段組で読みやすく。
明石書店★「誰もが別れる一日」ソ・ユミ
『誰もが別れる一日』
ソ・ユミ,金みんじょん,宮里綾羽
2024/09/13
明石書店
斎藤真理子さんが文章を寄せていた本。『韓国文学を旅する60章』などのエリア・スタディーズシリーズは、200巻記念でエリア・スタディーズ既刊地図というページができていた。吉田新一さんの『アメリカの絵本』『イギリスの絵本』もいい。
韓国文学界で大きな存在感を放つ作家ソ・ユミによる小説6編をまとめた待望の短編集。
6作品の主人公たちは貧困、失業、借金、離婚、夫の失踪、身近な死、母親との別れなどを経験し、以前とは違う状態に移る瞬間を経験する。変化は不可逆的で、人生は過去の自分との別れの蓄積だ。誰にでも訪れる不安と危機の断面を解剖し、時代と社会の病を敏感に捉え平凡な人間群像を暖かく包み込む、篤実なリアリズム小説。
あかつき教育図書★「ひみつのビクビク」フランチェスカ・サンナ
『ひみつのビクビク』
フランチェスカ・サンナ,なかがわちひろ
2019/04/02
あかつき教育図書
原題をこんなに可愛らしくした、翻訳が素敵。ビアトリクス・ポターの伝記絵本『ピーターラビットのふるさとをまもりたい』、『エマおばあちゃん、山をいく』は、あの『グランマ・ゲイトウッドのロングトレイル』(山と渓谷社)の67歳でアパラチアン・トレイル踏破した女性の絵本。
ちいさなビクビクはわたしだけのひみつのともだち。ビクビクはいつもそばにいて、わたしをまもってくれる。だけど、このくににひっこしてきたら、ビクビクはどんどんおおきくなって…。あたらしい生活にふみだす子どもたちをおうえんする絵本。
あかね書房★「どうだ いかすだろ!」アンソニー・ブラウン
『どうだ いかすだろ!』
アンソニー・ブラウン,山下明生
1985/03/01
あかね書房
アンソニー・ブラウンさんの絵本、色もキレイだし、お話もユニーク。絵の中にいろいろなものが潜んでいるみたい。ジョン・バーニンガム『いつもちこくのおとこのこ』(谷川俊太郎訳)もユーモラス。繊細な、しもかわらゆみさんの絵本『イソップねずみのイソップものがたり』も。
ジェレミーはサムに、いろんなものを見せびらかしますが…。対照的な二人の少年のやりとりをユーモアたっぷりに描く。
亜紀書房★「外は夏」キム・エラン
『外は夏 (となりの国のものがたり3)』
キム・エラン,古川綾子
2019/06/21
亜紀書房
斎藤真理子さんのフィフティ・ピープルが入ってる、となりの国のものがたりシリーズなど韓国文学が充実。そして村井理子さんの本はエッセイのほか、亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズにも。ウェブマガジン「あき地」も好き。
汚れた壁紙を張り替えよう、と妻が深夜に言う。幼い息子を事故で亡くして以来、凍りついたままだった二人の時間が、かすかに動き出す(「立冬」)。
いつのまにか失われた恋人への思い、愛犬との別れ、消えゆく千の言語を収めた奇妙な博物館など、韓国文学のトップランナーが描く、悲しみと喪失の七つの光景。
韓国「李箱文学賞」「若い作家賞」受賞作を収録。
あけび書房★「異聞シャーロック・ホークス」吉本研作
『異聞シャーロック・ホークス』
吉本研作
2024/05/01
あけび書房
あけび書房さんで刊行された本の中で、ひときわ異彩を放っていたこの本、翻訳ものとかではないのかもしれないけど、なんだか面白そう。著者は、日本シャーロック・ホームズクラブ(JSHC)関西支部のホームズ仏滅会会員の方。表紙も素敵。
世のシャーロッキアンたちが驚嘆し賛嘆の声が巻き起こった、正典に忠実でありながら、ホークスと異論に満ちたファン垂涎の禁断の書。
朝日新聞出版★「シャーロック・ホームズ家の料理読本」ファニー・クラドック
『シャーロック・ホームズ家の料理読本【復刻版】 (朝日文庫)』
ファニー・クラドック,成田篤彦
2024/05/10
朝日新聞出版
ホームズの可愛い一面が見られる、と誰かがつぶやいてた。柴田元幸さんの『ガリバー旅行記』、小川公代さんの『世界文学をケアで読み解く』、チョ・ナムジュ『ミカンの味』。韓国エッセイ『なかなかな今日』も可愛い。
かつてシャーロック・ホームズが暮らす下宿の賄い方兼家政婦であったハドスン夫人が、引退後に彼とワトスンの好物のレシピを思い出とともに綴る。朝食・スープから魚料理・禽獣類の料理、臓物料理にお酒のレシピまで。
下宿を訪れる警部たちや、ベーカー街遊撃隊のあの子も登場し、パスティーシュ小説のようでありつつ、ヴィクトリア朝全盛期の豊かな食文化・風俗の貴重な記録としても楽しめる!
アストラハウス★「長恨歌」王安憶
『長恨歌』
王安憶,飯塚容
2023/08/30
アストラハウス
【飯塚容(いいづか・ゆとり)って、素敵なお名前。】
600ページ超えの大作、表紙も素敵。ノーベル文学賞候補作家・余華の『兄弟』や『ハリネズミ・モンテカルロ食人記』、紀行エッセイ『冬牧場』も気になる。アストラハウスさんからハリー・ポッターの名前が出てくるとは思わなかった。
「ミス上海の死」を描いた、中国文学の記念碑的作品、待望の邦訳!茅盾文学賞受賞
上海の街を舞台に、美しき主人公・王琦瑶(ワン・チーヤオ)の青春から死に至る四十年を描く長編小説。
1940年代の虚栄の繁華、50〜60年代の困窮と苦難、そして80 年代のロマン的悲劇まで、恋多き主人公の
人生を通して、上海という街の繁栄と虚栄が描かれる傑作。
あすなろ書房★「庭をつくろう!」ゲルダ・ミューラー
『庭をつくろう!』
ゲルダ・ミューラー,ふしみみさを
2015/03/24
あすなろ書房
こういう街の風景の細かい描写、好き。自由研究で自分だけの国を作る『ウエズレーの国』、同じ作者の『種をまく人』、村上春樹さんの翻訳絵本。エルサ・ベスコフの絵本や『パンツ・プロジェクト』(三辺律子訳)は表紙が好き。
日本アニメーション
アニメ『ロミオの青い空』を公式YouTubeで全話無料配信!
5月11日(日)までの期間限定。原作小説『黒い兄弟(上)』『黒い兄弟(下)』リザ・テツナー,酒寄進一もこの機会に。
ちいさな園芸家の「庭づくり」の1年間を描いた傑作絵本「ぼくの庭ができたよ」を
改訂して再刊行した絵本です。
春、バンジャマンの引っ越してきた家には、広い庭がありました。
でも、ずっと空き家だったので、庭は荒れほうだい。さあ、家族みんなで庭づくりをはじめよう!
ガーデニングにも役立つ楽しい絵本です。
アチェロ★「ハトのしあわせうり」ダヴィデ・カリ、マルコ・ソマ
『ハトのしあわせうり』
ダヴィデ・カリ,マルコ・ソマ,山下愛純
2024/10/27
アチェロ
世界観が素敵、出版一作目にした気持ちがわかる。HPを見たら、あの化学同人の有名な絵本を手掛けた編集プロダクションで、2024年10月から出版を始めたそう。モノクロ版画『ホシムクドリがうたう歌』は、大人の絵本な感じ。キノコカエルも可愛い。信頼と実績のアチェロさん、今後が楽しみ。
一台のふるびたトラックが、ガタゴトはしってきます。
やってきたのは、ハトのしあわせうり。
「うそでしょ、しあわせなんてうってるの?」「もちろんです! おおきいびんに ちいさいびん、ファミリーパックもございます」ウズラの奥さんも、ミソサザイのおねえさんも、自分のために、だれかのために、こぞってびんをおかいあげ。
でも、みんなが手に入れたいしあわせって、いったいなに?そのとき、びんがひとつ落ちました。ネズミのおとうさんがひろいあげ、ふたをあけてみると…それはちょうど今、ほしいと思っていたものでした。世界で数々の賞を受賞するダヴィデ・カリとマルコ・ソマが、とらえどころのない「しあわせ」をえがく。
■■(株)アチェロ、出版第一作目
アダチプレス★「ミルクとはちみつ」ルピ・クーア
『ミルクとはちみつ』
ルピ・クーア,野中モモ
2017/11/17
アダチプレス
野中モモさん翻訳でこのタイトルは、もう。『花椿』の元編集者・林央子さん翻訳の『エレンの日記』。著者エレン・フライスはフランスの雑誌『Purple』の創刊編集長。京都の出版社さんで、『わたしの服の見つけかた』など、ファッション関係が多い。
これは詩によって 生き抜いた旅 これは21年にわたる 血と汗と涙 これはあなたの手の中にある 私の心 これは 傷つけること 愛すること 壊れること 癒やすこと(本書より)
父や恋人との苦い経験の先に見つけた、甘くて大切なもの――。愛、喪失、トラウマ、虐待、癒し、そして女性であることの意味を正直な言葉で描き、20代の女性を中心に深い共感を呼ぶ、若き作家によるデビュー詩集。その作品は「すべての女性が読むべき詩人」(ハフポスト)、「同世代の声」(USAトゥデイ)と評されている。「ニューヨーク・タイムズ」のベストセラーリストで1位を獲得し100万部を突破、30ヶ国語に翻訳されている。
雨雲出版★「雨雲の集まるとき」ベッシー・ヘッド
『雨雲の集まるとき』
ベッシー・ヘッド,横山仁美
2025/05/16
雨雲出版
いつも楽しませていただいてる雨雲ラジオのhitomiさん、念願のベッシー・ヘッド『雨雲の集まるとき』がついに出版!ベッシー・ヘッドは翻訳家の斎藤真理子さんや、くぼたのぞみさんもおすすめされてる南アフリカ出身の重要作家。ベッシー・ヘッドの翻訳出版に至るまでの話を書いたエッセイ『雨風の村で手紙を読む』、『水面をすべるモコロのように』もあります。
「人間がもっとも必要としているのは、他の生命との関わりあいだ。もしかすると、ユートピアもただの木々なのかもしれない。もしかすると」
南アフリカ出身の重要作家ベッシー・ヘッドが、亡命先ボツワナで発表した1968年の長編第一作、待望の邦訳。アパルトヘイトの抑圧から逃れ、自由を求めて国境を越えた青年マカヤは、ボツワナ農村の開発に関わりながら、差別や抑圧、人間の善悪を目の当たりにする。貧困、開発、宗教、民主主義、ジェンダー、部族主義と向き合い、鋭い筆致で人間の本質を描いたアフリカ文学の傑作。
化学同人★「ティーカップ」レベッカ・ヤング、マット・オットリー
『ティーカップ』
レベッカ・ヤング,マット・オットリー,さくまゆみこ
2023/09/01
化学同人
見惚れる美しさ。『鳥をつくる』と同じマット・オットリーの絵。水の描き方がいい。テリー・ファン&エリック・ファン『海とそらがであうばしょ』が人気。『リジーと雲』、ねずみたちがカップに入った金魚を運ぶ『ひみつのさくせん』 も可愛い。HPには絵本&図鑑カタログも。
あるところに、ふるさとでくらせなくなった男の子がいました。ティーカップにふるさとの土を入れて、ボートで海にこぎ出します… ウクライナをはじめ、海外からの難民・避難民のニュースが増える昨今。本書の出版には、ふるさとを離れて暮らさざるをえない人たちのことを考えるきっかけになれば、という翻訳者の思いもこめられています。ページをめくるたび、広大な景色が入れ替わり、空や海の表情、その美しさに魅せられる一冊。
きじとら出版★「船を見にいく」アントニオ・コック、ルーカ・カインミ
『船を見にいく』
アントニオ・コック,ルーカ・カインミ,なかのじゅんこ
2016/07/11
きじとら出版
こういう少年っぽい趣味のものって好き。この絵本のために出版社を立ち上げたという『きょうは、おおかみ』は、ヴァージニア・ウルフ姉妹のオマージュ絵本。『世界のまんなかの島 ~わたしのオラーニ~』ほか「いたばし国際絵本翻訳大賞」受賞作が多い。
ぼくはよく、船を見にいく。船はじっと、とまってるわけじゃない。ゆっくりと、いきをしながらねむっているんだ……
造船所の船を見に、少年は港を訪れる。船は生きている、そして何度でも生まれかわる――。はたらく人々の力強さ、世界の大きさを感じる絵本。
◆第22回いたばし国際絵本翻訳大賞(イタリア語部門)受賞作品◆
北烏山編集室★「オリンピア」デニス・ボック
記憶と鎮魂のファミリー・ヒストリー
第2次世界大戦をきっかけにドイツからカナダへ移住した家族を描く連作短編集。静かで平和に見える一族の生と死が詩情豊かに語られる。点景としてのオリンピック、断片としての家族の歴史。
――レニ・リーフェンシュタールが編集したあとの映像から、この話を語ることはできないだろう。何マイルにも及ぶサブプロットや暗示的な映像が切り刻まれて黒いリボンに何度もまとめられ、忘れ去られた。
――ぼくたち家族の才能は永遠のものだと思っていた。
装釘 宗利淳一
共和国★「収容所のプルースト」ジョゼフ・チャプスキ
『収容所のプルースト』
ジョゼフ・チャプスキ,岩津航
2018/01/27
共和国
面白いけれど、とても真面目で、ジーン・セバーグ好きな下平尾直さんによる、その元夫ロマン・ガリの本2冊も気になりつつ、こちらの本に。この状況で記憶だけを頼りにあの大作を語るという奇跡のような作品。紹介動画が話題になった『バッサ・モデネーゼの悪魔たち』はミステリーみたいな実話。
1939年のナチスとソ連による相次ぐポーランド侵攻。このときソ連の強制収容所に連行されたポーランド人画家のジョゼフ・チャプスキ(1896 – 1993)は、零下40度の極寒と厳しい監視のもと、プルースト『失われた時を求めて』の連続講義を開始する。その2年後にチャプスキは解放されるが、同房のほとんどが行方不明となり、「カティンの森」事件の犠牲になるという歴史的事実の過程にあって、『失われた時を求めて』はどのように想起され、語られたのか? 現存するノートをもとに再現された魂の文学論にして、この長篇小説の未読者にも最適なガイドブック。
* 「カティンの森」事件……第二次世界大戦中にソ連の内務人民委員部によって2 万人以上に及ぶポーランド軍将校、官吏、聖職者らが虐殺された事件。アンジェイ・ワイダ監督による映画『カティンの森』(2007)でも知られる。
幻戯書房★「失われたスクラップブック」エヴァン・ダーラ
『失われたスクラップブック』
エヴァン・ダーラ,木原善彦
2024/11/26
幻戯書房
カラフルなトリコロールの表紙が並ぶとうれしい、ルリユール叢書。あのピンク色の本が好きだけれど、読みたいのはやっぱり木原善彦さん翻訳のこの本。ひとり編集部の中村健太郎さんによる、巻末の作家年譜の充実ぶり。刊行点数がもう60冊だということにも驚かされる。
“ポスト・ギャディス”と目され、リチャード・パワーズが正体とも噂された、トマス・ピンチョン以上に謎めく、ポスト・ポストモダン作家エヴァン・ダーラ――“読まれざる傑作”として話題となった、ピリオドなしの、無数にして無名の語りで綴られる大長編の奇書がついに本邦初訳で登場!
『オックスフォード 英単語由来大辞典』
グリニス・チャントレル,澤田治美
2015/12/12
柊風舎
辞書好き、図鑑マニアにはたまらない出版社、柊風舎さん。『オックスフォード 英単語由来大辞典』は表紙も素敵で面白そう。他にも、『イタリア・ルネサンス美術大図鑑』や『世界の小説大百科 死ぬまでに読むべき1001冊の本』、『魔法と錬金術の百科事典』、『ビジュアル版 最新ファンタジー百科』、『国別 世界食文化ハンドブック』、『ナマハゲを知る事典』や『江戸幕府諸役人御用番名鑑』なんかもあって楽しい。
12,000語の〈ライフヒストリー〉。
英単語の由来についての興味深い話に触れながら、語義の変遷から語形成・文法事項・成句・複合語にいたるまで、英単語の背景にある歴史・文化・思想をひもとく。
春秋社★「美は傷」エカ・クルニアワン
『美は傷 (アジア文芸ライブラリー)』
エカ・クルニアワン,太田りべか
2025/01/08
春秋社
日本翻訳文化賞受賞のツェリン・ヤンキー『花と夢』はチベット、この『美は傷』はインドネシアのマジックリアリズム小説と、次はどんな国の本?と楽しみな「アジア文芸ライブラリー」。ひとり編集部・荒木駿さんのnote「あらきさんの編集覚え書き」も色々ためになる。
三月のある週末の夕暮れ時、デウィ・アユは死後二十一年にして墓場からよみがえった――。
オランダ植民地時代末期にジャワ島南部の架空の港町ハリムンダに生まれた娼婦デウィ・アユとその一族を襲った悲劇。植民地統治、日本軍による占領、独立、政変と弾圧といった暴力の歴史を軸に、伝説、神話、寓話などが渦巻く奇想天外な大河小説。世界35カ国以上で刊行されたマジックリアリズム文学の傑作。
装幀:佐野裕哉 装画:菅野まり子
「インドネシアを語る小説を書きたいという衝動があった。サルマン・ラシュディが『真夜中の子供たち』でインドを語り、ギュンター・グラスが『ブリキの太鼓』でドイツを語ったように。」(著者インタビューより)
松柏社★「翻訳を産む文学、文学を産む翻訳」邵丹
『翻訳を産む文学、文学を産む翻訳: 藤本和子、村上春樹、SF小説家と複数の訳者たち』
邵丹
2022/04/08
松柏社
このタイトルと表紙気になってた。小川公代さんの『ゴシックと身体』、インパクトのある表紙の『バベルをこえて』、コンラッド像が覆される『評伝ジョウゼフ・コンラッド』。Webマガジンは小川公代さん×小林エリカさんのゴシックの話が興味深かったです。
村上春樹という作家の文化的ルーツの一つには1970年代の翻訳文化がある。この時代の「新しさ」の視点から「新しい翻訳」「新しい形」で出版された実際の翻訳書や若者文化の勃興のもとで誕生した「新たな」文化空間を、藤本和子、SF小説の翻訳家たちの翻訳を通して丹念に辿る。翻訳という行為の壮大な可能性が見えてくる。
▶︎津野海太郎、藤本和子、巽孝之、柴田元幸、岸本佐知子、伊藤夏実、くぼたのぞみ(以上敬称略)といった翻訳家、SF評論家、編集者の方々に著者がインタビューした内容も収録。
水声社★「ジョルジュ・ペレック伝」デイヴィッド・ベロス
『ジョルジュ・ペレック伝 言葉に明け暮れた生涯』
デイヴィッド・ベロス,酒詰治男
2014/03
水声社
水声社の倉庫番さんの「(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)”peko」可愛い絵文字リポストもうれしい、水声社さん。ウリポのレーモン・クノー、ジョルジュ・ペレック、ヌーヴォー・ロマンのアラン・ロブ=グリエ、ラテン文学・マジックリアリズムのホセ・ドノソなど、ラインナップが凄すぎて声が出る。
(水声社さんの本はAmazonで販売していません)
『物の時代』、『煙滅』、『W』、『人生使用法』など、革新的作品を発明した小説家ジョルジュ・ペレック。フランス防衛のために闘った父親の戦死、アウシュビッツ=ビルケナウでの母親の死に終世とり憑かれることになった苦悩。滑稽かつ憎みがたき謙虚な生活、芸術と戯れる日々…不遜にして博識なるペレックの文学作品の誕生に迫る。1994年「ゴンクール伝記賞」を受賞した、ジョルジュ・ペレック評伝の決定版!
小鳥遊書房★「西洋文学にみる異類婚姻譚」山内淳
人魚姫 妖精 魔女 女神 『美女と野獣』
吸血鬼 狼男 クトゥルフ神話……
「人と異類との境界線」を問うことで、人間の定義を再考する。
異類との恋愛・結婚が描かれた摩訶不思議な西洋文学の旅へご招待。
ロクリン社★「バーバラ・レオニ・ピカード 7つの国のおとぎ話」バーバラ・レオニ・ピカード
『バーバラ・レオニ・ピカード 7つの国のおとぎ話』
バーバラ・レオニ・ピカード,安藤紀子
2023/01/26
ロクリン社
表紙が素敵過ぎて以前ツイートした本だった。イラストがすっごく好みな『ラ・フォンテーヌ寓話』とは最後まで悩んだ。バーバラ・クーニーの『クリスマス』あの『こびとづかん』のロクリン社さんなので『南米妖怪図鑑』みたいな本もある。
姫と王子と王様と。愛する人をみつけだす、それぞれの物語。どんな時もけしてあきらめず、前に進んだ者たちが手にした「幸せ」とは?「おとぎ話」の名手がつづった、古くて新しい7つの短編童話。
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