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- 第153回「寝煙草の危険」マリアーナ・エンリケス
- 第151回「コインロッカー・ベイビーズ」村上龍
- 第150回「オリンピア」デニス・ボック
- 第149回「十六の言葉」ナヴァー・エブラーヒーミー
- 第148回「魔法の夜」スティーヴン・ミルハウザー
- 第147回「塵に訊け」ジョン・ファンテ
- 第146回「野球場」村上春樹
- 第146回「中国行きのスロウボート」村上春樹
- 第145回「ハリケーンの季節」フェルナンダ・メルチョール
- 第144回「歩くこと、または飼いならされずに詩的な人生を生きる術」トマス・エスペダル
- 第143回「奥歯を噛みしめる 詩がうまれるとき」キム・ソヨン
- 第142回「そっと 静かに」ハン・ガン
- 第141回「若い芸術家の肖像」ジェイムズ・ジョイス
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「文学ラジオ空飛び猫たち」の紹介本一覧表
↑本のリンクはAmazon、スクロール可能。放送回からそのままポッドキャストが聴けるXのポストなどへ飛べます。のちに文庫化した作品は、出版社や表紙の雰囲気が変わらないもののみ、一部変更しています。
Xでポストを検索
海外文学のススメ from:radiocatwings
↑こちらからも、これまで紹介した本を確認できます。このリンクだと、シンプルにタイトルを確認できて便利です。リポストやコメント、あとで聴くためのブックマークの際にご活用ください。
「文学ラジオ空飛び猫たち」のこと
海外文学の楽しみ方っていろいろある。私自身はミステリーが好きではあるのだけれど、それとは別に、これから読んでいきたいと思うような本がある。そんな本が揃っていているのが、「文学ラジオ空飛び猫たち」というポッドキャスト番組。
「文学ラジオ空飛び猫たち」は、毎週月曜日の朝7時に配信している、ダイチさんとミエさんのポッドキャスト番組。オンラインで知り合い番組を始めたというふたりは、海外文学と猫が好き。やや硬派な文学作品についての感想を、読書会をするような感じでゆるく話す様子は、なんとなく、休日の午後を思わせる。
note「文学ラジオ空飛び猫たち」
【第0回/自己紹介】文学作品を紹介するpodcast番組を始めました。
名前の由来は、村上春樹さんが翻訳したアーシュラ・K・ル・グウィンの『空飛び猫』から。素敵な文学作品を教えてもらえること、生の感想が聞けることの良さはもちろんのこと、BGMとして流していられるような、ゆったりした空気がいい。ふたりの人柄のせいか、そこまで押しが強く感じられないところにも好感が持てる。
初回の放送を聴いてもらえばわかる通り、本の趣味が同じというわけではない。そのふたりがお互いに本をおすすめし合い、お互いに影響されて、今まで読んだことのない新しい作家の本を読む。リスナー云々の前に、このふたりの間で、読書会が開かれている。
以前は、東京と京都という離れた土地で暮らしていたふたり。オンラインでラジオ番組をはじめたものの、1周年を迎えても対面を果たせず、初めて対面でのライブトークができたのは、配信100回記念でのこと(番外編 第20回)。ひとつひとつは本の紹介、でも聴き方によっては、「文学ラジオ空飛び猫たち」としての活動の広がりとともに、ふたりの変化や成長みたいなものを感じとることができる。
note「文学ラジオ空飛び猫たち」
【初めての方へ】声で届ける文学!Podcast番組「文学ラジオ空飛び猫たち」おすすめエピソード特集
ゆるりとした回が多めな番組だけれど、中には「三体」の回など、テンションがやや高めになる回もある。話が止まらないふたり。落ち着いた印象だった、ミエさんも楽しげだ。ちょっといけない楽しみ方なのかもしれないが、個人的には、ミエさんの発言に少し困惑するダイチさん、という状況が好きだったりする。
その状況がさっそく訪れそうなのが、この年末年始。ふたりが選んだのは、柴田元幸さんが翻訳したポール・オースターの鈍器本『4321』でも、今年文庫化が話題になったガブリエル・ガルシア=マルケスの『百年の孤独』でもなく、あの作家の本を紹介するという。しかも年末と年始の2回とも。
ヒントは、昨年惜しくも亡くなられた「コ」で始まるアメリカの大物作家さん(ミエさんが大好きなのだそう)。その責めたチョイスに、これを書いている「2024年海外文学ベスト5」の時点でもう、不安げなダイチさんが面白い。ちなみに12月23日(月)は番外編。その作家さんの紹介回は12月30日(月)と、1月6日(月)だそう。
note「文学ラジオ空飛び猫たち」
「2024年海外文学ベスト5」
彼らは、ごく当たり前のことをしているように言うけれど、こんなふうに、ふたりで毎週欠かさず配信をし続けるのって、かなりすごいこと(2020年6月から4年以上)。だから紹介作品が150冊以上にもなったわけで。自分たちにできることをコツコツ続けてきた、そういう真面目さみたいなところも、いいなと思いました。
海外の文学作品のおすすめを教えて欲しい、読書好きな方も、自分では普段手には取らないような本が読みたい方も、ふたりのやりとりを微笑ましく見て(聴いて)いたい方にも、おすすめなポッドキャスト番組。
「文学ラジオ空飛び猫たち通信」というニュースレターもあるようで(サポーター用の有料版も)、ページに飛んでみたら、「これから紹介する予定の本」が載っていました。そちらもぜひ。
theLetter
「文学ラジオ空飛び猫たち通信」
実は、このブログでも書評などと一緒におふたりのポッドキャストへのリンクを、こっそり貼らせていただいているのですが、過去のものなどは少し探しにくい(まあ、作品名を検索すれば出てくるのだけれど)。
ということで、「文学ラジオ空飛び猫たち」で紹介された本の一覧表を作りました。自分用に。ほんと、もう海外文学のおすすめを聞かれたら、この一覧表を提出したいくらい、表紙も内容も素敵な本ばかり。
こうして一覧表(↑上にあります)にすると、作家、翻訳家、出版社などの好みの傾向がわかって面白い。作家名や、放送回などで並べ替えできるようにもなっているので、便利に使っていただけたらと思います。
【追記】これ、アジア文学なども多かったりするから、文学ジャンル(国)の分類もつけたら面白いかも。でも字が小さくなり過ぎてしまうかな。できそうだったら項目を加えます。
ちなみに、私自身はまだ聴き始めたばかりの新米リスナー。このページを作りながらたくさん聴いたというだけなので、いろいろおかしいところがあったらごめんなさい。
「文学ラジオ空飛び猫たち」の関連サイト
「空飛び猫たち」のこと、関連動画、ラジオほか
ダイチさんのこと
ミエさんのこと
「文学ラジオ空飛び猫たち」ゲスト回一覧
ヨルさん 第123回
エリンギさん 番外編第10回 第49回
藤ふくろうさん 番外編第38回 番外編第39回
ほんのれんラジオ 番外編第58回
ねじまきラジオさん
番外編第12回 第59回 番外編第19回 第70回 番外編第33回 第111回 第151回 番外編第49回
ふっかー復活委員長さん 番外編第13回
東京小説読書会・ウラノさん 番外編第11回
阪大ビブリオバトル・大西さん、堀内さん
番外編第31回 番外編第32回
翻訳家・枇谷玲子さん
番外編第54回 第177回
翻訳家・吉田育未さん
番外編第22回 番外編第23回 第116回 番外編第35回 第171回 第172回
翻訳家・久保田祐子さん
第130回 番外編第41回
翻訳家・新田享子さん
番外編第47回 番外編第48回
↑Xのポストを検索しすぎて固まってしまったため、Spotify for Creatorsへのリンクです。
2024年「文学ラジオ空飛び猫たち」の紹介本
放送日 | 放送回 | タイトル |
---|---|---|
12月23日 | 番外編 第58回 | 「人文書ってどう読みますか?」(ゲスト:ほんのれんラジオ) |
12月16日 | 番外編 第57回 | 「2024年海外文学ベスト5」 |
12月09日 | 第178回 | 世界エッセイの金字塔『アフリカの日々』イサク・ディネセン著、横山貞子訳 |
12月02日 | 第177回 | 著者への特別インタビュー収録!デンマークを代表する作家の生涯と作品『ブリクセン/ディネセンについての小さな本』 |
11月25日 | 第176回 | 夢の中を覗くような読書体験『もうひとつの街』ミハル・アイヴァス著、阿部賢一訳 |
11月18日 | 第175回 | 海外文学好きにはたまらない競訳、ふたたび!『MONKEY vol. 34 特集 ここにもっといいものがある。』岸本佐知子+柴田元幸短篇競訳 |
11月11日 | 第174回 | 心を強くする詩集「独り 気高く 寂しく」アン・ドヒョン著、ハン・ソンレ訳 |
11月04日 | 番外編 第56回 | 「ハン・ガンのノーベル文学賞受賞特集+ヨーロッパ文芸フェスティバルのミニレポ」 |
10月28日 | 番外編 第55回 | 「リスナーからのお便り紹介回#10」 |
10月21日 | 第173回 | エジプト初ノーベル文学賞作家の群像劇「ミダック横町」ナギーブ・マフフーズ著、香戸精一訳 |
10月14日 | 第172回 | 哀歌(クイネ)と共鳴した人生(ゲスト:翻訳者 吉田育未さん)「喉に棲むあるひとりの幽霊 (後編)」デーリン・ニグリオファ著、吉田育未訳 |
10月07日 | 第171回 | 18世紀アイルランドの詩人とリンクしていく感情(ゲスト:翻訳者 吉田育未さん)「喉に棲むあるひとりの幽霊 」(前編)デーリン・ニグリオファ著、吉田育未訳 |
09月30日 | 第170回 | 人生を通過した数々の文学から見えてくるもの「本の栞にぶら下がる」斎藤真理子著 |
09月23日 | 第169回 | 文学によって人生を見直す父と娘「リーディング・リスト」レスリー・シモタカハラ著、加藤洋子訳 |
09月16日 | 第168回 | 新しいチェコスロヴァキアに乾杯!「剃髪式」ボフミル・フラバル著、阿部賢一訳 |
09月09日 | 第167回 | 台湾とベルリンを舞台に自己を解放する物語「二階のいい人」陳思宏著、白水紀子訳 |
09月02日 | 番外編 第54回 | 「どうして北欧言語の翻訳家に?」(ゲスト:翻訳家 枇谷玲子さん ) |
08月26日 | 第166回 | コペンハーゲン三部作を翻訳者と語る「結婚/毒」トーヴェ・ディトレウセン著、枇谷玲子訳 |
08月19日 | 第165回 | 彼女が人生の中で覚えていること「スイマーズ」ジュリー・オオツカ著、小竹由美子訳 |
08月12日 | 第164回 | チベットの都会で強く生きる女性たちの物語「花と夢」ツェリン・ヤンキー著、星泉訳 |
08月05日 | 番外編 第53回 | 「リスナーからのお便り紹介回#9」 |
07月29日 | 第163回 | 自分の人生は決して悪くなかった「ある一生」ローベルト・ゼーターラー著、浅井晶子訳 |
07月22日 | 第162回 | 究極の愛についての小説であることを願う「別れを告げない」ハン・ガン著、斎藤真理子訳 |
07月15日 | 第161回 | 傷ついた者たちへの鎮魂曲「少年が来る」ハン・ガン著、井出俊作訳 |
07月08日 | 第160回 | 映画と原作を比較②:原作は映画と全然違う「関心領域」マーティン・エイミス著、北田絵里子訳 |
07月01日 | 第159回 | 映画と原作を比較①:映画は見終わってから始まる「映画 関心領域 」ジョナサン・グレイザー監督作品 |
06月24日 | 第158回 | 現代に突きつける戦時下の空白だった物語「姉妹のように」クロエ・コルマン著、岩津航訳 |
06月17日 | 番外編 第52回 | 文学ラジオ4周年突破!「直近のお知らせと振り返り」 |
06月10日 | 第157回 | ダメ男の暴走劇「死んでから俺にはいろんなことがあった」リカルド・アドルフォ著、木下眞穂訳 |
06月03日 | 第156回 | 空白と対峙したとき人はどうするか?「母を失うこと 大西洋奴隷航路をたどる旅」サイディヤ・ハートマン著、榎本空訳 |
05月27日 | 第155回 | 中国のスティーヴン・キングがついに来た!「幽霊ホテルからの手紙」蔡駿著、舩山むつみ訳 |
05月20日 | 第154回 | 埋められない溝を見事に描いた台湾グルメ小説「台湾漫遊鉄道のふたり」楊双子著、三浦裕子訳 |
05月13日 | 番外編 第51回 | 今年も的中なるか!?「第十回日本翻訳大賞を予想する」 |
05月06日 | 番外編 第50回 | 「リスナーからのお便り紹介回#8」 |
04月29日 | 第153回 | ホラーは人間の本質を描く「寝煙草の危険」マリアーナ・エンリケス著、宮崎真紀訳 |
04月22日 | 第152回 | 第152回 あの話題作を原作と比較!「Netflix版ドラマ 三体」 |
04月15日 | 番外編 第49回 | 「おもしろい本の見つけ方」(ゲスト:ねじまきラジオさん ) |
04月08日 | 第151回 | 今も色褪せない破壊的な物語「コインロッカー・ベイビーズ」村上龍 著(ゲスト:ねじまきラジオさん) |
04月01日 | 第150回 | 家族の眩い日々と苦難の物語「オリンピア」デニス・ボック著、越前敏弥訳 |
03月25日 | 第149回 | 言葉を翻訳することで解放されていく「十六の言葉」ナヴァー・エブラーヒーミー著、酒寄進一訳 |
03月18日 | 番外編 第48回 | 「ZINEと書評講座の裏話、ポッドキャスト、創作に役立つ類語辞典」(ゲスト:翻訳家 新田享子さん ) |
03月11日 | 番外編 第47回 | 「『翻訳者、豊崎由美と読んで書く』紹介回」(ゲスト:翻訳家 新田享子さん ) |
03月04日 | 第149回 | 眠れない夜に「魔法の夜」スティーヴン・ミルハウザー著、柴田元幸訳 |
02月26日 | 第148回 | ビートニクの先駆けによる名作長編「塵に訊け」ジョン・ファンテ著、栗原俊秀訳 |
02月12日 | 第147回 | 魔女を殺したのは何か?「ハリケーンの季節」フェルナンダ・メルチョール著、宇野和美訳 |
02月05日 | 第146回 | 歩くことは、最高の社交だ「歩くこと、または飼いならされずに詩的な人生を生きる術」トマス・エスペダル著、枇谷玲子訳 |
01月22日 | 第146回 | 詩人の感性に触れるエッセイ集「奥歯を噛みしめる 詩がうまれるとき」キム・ソヨン著、姜信子監訳、 奥歯翻訳委員会訳 |
01月15日 | 第145回 | 作家が書けなかった時期に綴ったエッセイ集「そっと 静かに」ハン・ガン、古川綾子訳 |
01月08日 | 第144回 | 芸術家を目指す若者の苦難の道のり「若い芸術家の肖像」ジェイムズ・ジョイス著、丸谷才一訳 |
01月01日 | 番外編 第46回 | 2023年総まとめ回!「2023年の振り返り&ポッドキャストウィークエンドの思い出」 |
第178回「アフリカの日々」イサク・ディネセン
『アフリカの日々 (河出文庫)』
イサク・ディネセン,横山貞子
河出書房新社
北欧の高貴な魂が始原の大地に出会うとき、奇跡のようなエッセイが生まれる。天性のひらめきをもつ料理人カマンテ、美しきガゼルのルル、時代から追放されたイギリス人デニス、見事な踊り手でもある土地の古老たち。風と合体し、土地の匂いに同化したものだけが、ここでは生きていられる。世界文学の金字塔。
第177回「ブリクセン/ディネセンについての小さな本」スーネ・デ・スーザ・シュミット=マン
『ブリクセン/ディネセンについての小さな本』
スーネ・デ・スーザ・シュミット=マン,枇谷玲子
子ども時代
カレン・ブリクセン/イサク・ディネセンという主に二つの作家名で知られ、英語とデンマーク語の二言語で作品を発表した女性作家についてのブックガイド。『アフリカの日々』や『冬の物語』、『バベットの晩餐会』をはじめとする作品には何が描かれていたのか?ギーオウ・ブランデス賞受賞作。
第176回「もうひとつの街」ミハル・アイヴァス
『もうひとつの街 (河出文庫)』
ミハル・アイヴァス,阿部賢一
白水社
語 プラハの古書店で見つけた菫色の本に誘われ“もうひとつの街”に迷い込んだ“私”。地下礼拝堂の怪しい儀式、鐘楼を泳ぐ巨大なサメ、ジャングルと化す図書館、民族叙事詩を朗誦する鳥…。街の秘密を探るうち、“私”はこの異形の楽園に魅了されー。現代チェコ文学の鬼才による、幻惑と陶酔の悪魔的冒険譚。
第175回「MONKEY vol. 34」岸本佐知子、柴田元幸ほか
『MONKEY vol. 34 特集 ここにもっといいものがある。』
柴田元幸,岸本佐知子,ブレイディみかこ,坂口恭平,川上弘美,古川日出男
スイッチ・パブリッシング
10月15日発売の今号は、「ここにもっといいものがある。 岸本佐知子+柴田元幸 短篇競訳」と題した、岸本佐知子と柴田元幸が選んで訳した海外文学作品特集の第2弾です。第1弾の『MONKEY vol. 23 特集 ここにいいものがある。』(2021年2月刊)では、二人がセレクトした6作家8作品を掲載。同特集はその後、『アホウドリの迷信現代英語圏異色短篇コレクション』(2022年9月刊)として単行本化されました。その際に二人が「またこの企画をやりたい」と語っていた特集が、満を持して復活します。今号でも、二人がセレクトした充実のラインナップをお届け。
また、姉妹ユニットとして活躍しているアーティスト髙田安規子・政子が表紙と特集ページ全てのアートワークを担当し、物語の世界観をアートで表現しています。
加えて、ブレイディみかこ、古川日出男、川上弘美、岸本佐知子という豪華ラインナップの執筆陣による連載も続きます。
第174回「独り 気高く 寂しく」アン・ドヒョン
『独り 気高く 寂しく』
アン・ドヒョン,ハン・ソンレ
オークラ出版
韓国を代表する詩人、アン・ドヒョン。光州事件以降、文学より切実なことがあまりに多かった時代。詩の力、言葉の力で、心を守り抜こうとした、いまなお、読み継がれる詩集が待望の翻訳刊行。世界を席巻した韓国ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』で朗読された「練炭一つ」を収録!
第173回「ミダック横町」ナギーブ・マフフーズ
『ミダック横町』
ナギーブ・マフフーズ,香戸精一
作品社
ミダック横町が過ぎ去りし時代の偉大なる遺産で、かつてはカイロの街に真珠のごとく光り輝いたであろうことは間違いない。カイロの下町に生きる個性豊かな人々の姿を軽妙に描く、ノーベル文学賞作家による円熟の傑作長編、本邦初訳!
第171回、第172回「喉に棲むあるひとりの幽霊」デーリン・ニグリオファ
『喉に棲むあるひとりの幽霊』
デーリン・ニグリオファ,吉田育未
作品社
恋をした。その人は18世紀の詩人だったーー。
殺害された夫の死体を発見した貴婦人アイリーン・ドブ・ニコネル(18世紀アイルランドに実在)は、その血を手ですくって飲み、深い悲しみから哀歌(クイネ)を歌った。アイリーン・ドブの詩は何世紀にもわたって旅をし、3人の子どもと夫とともに暮らす、ある母親のもとにたどり着く。家事、育児、度重なる引っ越しの両立に疲れ果てた彼女は、自身の人生と共鳴するアイリーン・ドブの世界に夢中になり、やがて彼女の日常を詩が侵食し始めるーー。
他者の声を解放することで自らの声を発見していく過程を描き、《ニューヨーク・タイムズ》ほか各紙で話題となった、日記、哀歌、翻訳、詩人たちの人生が混交する、異色の散文作品(オートフィクション)。
第170回「本の栞にぶら下がる」斎藤真理子
『本の栞にぶら下がる』
斎藤真理子
岩波書店
『82年生まれ、キム・ジヨン』など、数々の話題作の翻訳を手がける著者が綴った、珠玉の読書エッセイ。文学に刻まれた朝鮮と日本の歴史をたどり、埋もれた詩人や作家に光を当て、人間が疫病や戦争に向き合ってきた経験をひもとくなど、韓国文学に止まらない古今の本を取り上げながら、その普遍性を今に開く25篇。
第169回「リーディング・リスト」レスリー・シモタカハラ
『リーディング・リスト』
レスリー・シモタカハラ,加藤洋子
北烏山編集室
日系カナダ人4世の著者の手による自伝小説(オートフィクション)。本書の著者であり主人公でもあるレスリー・シモタカハラは、名門ブラウン大学で文学博士号を取得、カナダの田舎の大学で文学を講じている。だが、学生から〈史上最悪の教授〉と揶揄され、転職も恋愛も失敗、精神的にひどく追いつめられてトロントの実家へ帰郷。定年退職した父のために作った「リーディングリスト」=読むべき本リストに添って、日系カナダ人としての両親や祖父母の人生をたどり、自分自身の生と死を見つめる日々を送ることになる。
本書は13章から成りたっており、各章のタイトルがすべて、リストの作品名、つまり英米加の文学作品の名前になっている。たとえば、ソロー『森の生活』、ウォートン『歓楽の家』、ジョイス『ダブリナーズ』、ウルフ『ダロウェイ夫人』、ナボコフ『ロリータ』、ハメット『マルタの鷹』など。この13作品はすべて翻訳が出ていて、日本語で読むことができる。
解説・倉本さおり(書評家)
第168回「剃髪式」ボフミル・フラバル
『剃髪式 (フラバル・コレクション)』
ボフミル・フラバル,阿部賢一
松籟社
ボヘミア地方ヌィンブルクのビール醸造所を舞台に、建国間もないチェコスロヴァキアの「新しい」生活を、一読したら忘れられない魅力的な登場人物たちに託していきいきと描き出す。「ビール醸造所で育った」作家が自身の母親を語り手に設定して書き上げた意欲作。
第167回「二階のいい人」陳思宏
『二階のいい人 (台湾文学コレクション3)』
陳思宏,白水紀子
早川書房
ベルリンに住む弟のもとに滞在することになった台湾の高校教師。疎遠だった弟とぎこちなく交流しながら、彼女は持ってきた亡き母のノートをめくる。美容師だった母は、自宅の二階でひそかに営んでいたもう一つの「仕事」の顧客、「いい人」たちについて書き記していたのだった…。『亡霊の地』の注目作家が放つ新たな傑作。
第166回「結婚/毒」トーヴェ・ディトレウセン
『結婚/毒――コペンハーゲン三部作』
トーヴェ・ディトレウセン,枇谷玲子
みすず書房
自らの経験の全てを題材として、女性のアイデンティティをめぐる葛藤をオートフィクション/回想記として世に出したトーヴェ。自分に正直にあろうとする人間の生きるむずかしさを、文学と人生で表した。
ナチス・ドイツの影が迫り来る時代のコペンハーゲンを舞台に描かれる、記念碑的三部作を一巻にして贈る。
第165回「スイマーズ」ジュリー・オオツカ
『スイマーズ (新潮クレスト・ブックス)』
ジュリー・オオツカ,小竹由美子
新潮社
わたしたちはどんな痛みからも解き放たれる。泳いでいる、そのときだけは。過食、リストラ、憂鬱症ーー地下の市民プールを愛し、通いつめる人達は、日常では様々なことに悩み苦しんでいる。そのうちのひとり、アリスは認知症になり、娘が会いに来ても誰なのかわからなくなって、ついに施設に入ることになる。瞬時にきえてしまうような、かけがえのない人生のきらめきを捉えた米カーネギー賞受賞作。
第164回「花と夢」ツェリン・ヤンキー
『花と夢 (アジア文芸ライブラリー)』
ツェリン・ヤンキー,星泉
春秋社
ラサのナイトクラブで働きながら場末のアパートで身を寄せ合って暮らす四人の女性たちの共同生活と、やがて訪れる悲痛な運命・・・・・・。家父長制やミソジニー、搾取、農村の困窮などの犠牲となり、傷を抱えながら生きる女性たちの姿を慈愛に満ちた筆致で描き出す。チベット発、シスターフッドの物語。英国PEN翻訳賞受賞作。
装幀:佐野裕哉 装画:荻原美里
第163回「ある一生」ローベルト・ゼーターラー
『ある一生 (新潮クレスト・ブックス)』
ローベルト・ゼーターラー,浅井晶子
新潮社
20世紀初頭、幼くして母を亡くし、アルプスの農場主のもと過酷な労働をしいられて育ったアンドレアス・エッガーはある日、雪山で瀕死のヤギ飼いと出会い、「死ぬときには氷の女に出会う」と告げられるー。生まれてはじめての恋、山肌に燃える文字で刻まれた愛の言葉。危険と背中合わせのロープウェイ建設事業に汗を流す、つつましくも幸せな日々に起こったある晩の雪崩。そして、戦争を伝えるラジオ。時代の荒波にもまれ、誰に知られることもなく生きた男の生涯。その人生を織りなす瞬くような時間。恩寵に満ちた心ゆすぶられる物語。
第162回「別れを告げない」ハン・ガン
『別れを告げない (エクス・リブリス)』
ハン・ガン,斎藤真理子
白水社
4・3事件を生き延びたインソンの母親が、夢でうなされないように布団の下に糸鋸を敷いて寝ていた部屋にも入る。夢とも現実ともつかない中でインソンがあらわれ、鳥を仲立ちにして静かに語り合う。そこで初めてキョンハはインソンがこの4年間ここで何をし、何を考えていたかを知る。認知症が進んだ母親の壮絶な介護、そして、母親が命ある限りあきらめず追い求めた真実への執念も…。韓国人として初のメディシス賞受賞作。
第161回「少年が来る」クオン
『少年が来る (新しい韓国の文学 15)』
ハン・ガン,井手俊作
クオン
1980 年5月18 日、韓国全羅南道の光州を中心として起きた民主化抗争、光州事件。戒厳軍の武力鎮圧によって5月27日に終息するまでに、夥しい数の活動家や学生や市民が犠牲になった。抗争で命を落とした者がその時何を想い、生存者や家族は事件後どんな生を余儀なくされたのか。その一人一人の生を深く見つめ描き出すことで、「韓国の地方で起きた過去の話」ではなく、時間や地域を越えた鎮魂の物語となっている。
第161回「関心領域」マーティン・エイミス
第96回アカデミー賞2部門受賞!「今世紀最も重要な映画」と評された『関心領域』の原作小説――おのれを「正常」だと信じ続ける強制収容所のナチ司令官、司令官の妻との不倫をもくろむ将校、死体処理の仕事をしながら生き延びるユダヤ人。おぞましい殺戮を前に露わになる人間の狂気、欲望、そして──。諷刺と皮肉を得意とする作家エイミスが描きだす、ホロコーストという「鏡」に映し出された人間の本質。
第158回「姉妹のように」クロエ・コルマン
『姉妹のように』
クロエ・コルマン,岩津航
早川書房
著者クロエの親族だったコルマン三姉妹は、幼くしてナチの強制収容所で亡くなり、その人生の物語は空白のまま。クロエは生存者や資料をあたるうちに、彼女たちと実の姉妹だったかのような別の三姉妹の存在を知る。第2回「日本の学生が選ぶゴンクール賞」受賞作
第157回「死んでから俺にはいろんなことがあった」リカルド・アドルフォ
『死んでから俺にはいろんなことがあった』
リカルド・アドルフォ,木下眞穂
書肆侃侃房
郵便配達をしていた俺は故郷の「くに」から逃げてきた。妻のカルラと幼い息子とともに「島」で不法滞在している。買い物をした帰りに乗っていた地下鉄が故障で止まってしまい、右も左もわからない場所で降ろされてしまった一家。なんとか家にたどり着こうとあれこれ画策するが、やることなすことすべてが裏目に出て━━。周囲から存在を認められず、無視され続ける移民の親子は、果たしてどうなるのか?
第156回「母を失うこと」サイディヤ・ハートマン
『母を失うこと 大西洋奴隷航路をたどる旅』
サイディヤ・ハートマン,榎本空
晶文社
作家・研究者のサイディヤ・ハートマンが、かつて奴隷が旅をした大西洋奴隷航路を遡り、ガーナへと旅をする思索の物語。奴隷になるとはいかなることか?そして、奴隷制の後を生きるとはいかなることか?ガーナでの人々と出会い、途絶えた家族の系譜、奴隷貿易の悲惨な記録などから、歴史を剥ぎ取られ母を失った人々の声を時を超えてよみがえらせる、現代ブラック・スタディーズの古典的作品にして、紀行文学の傑作。
第155回「幽霊ホテルからの手紙」蔡駿
『幽霊ホテルからの手紙』
蔡駿,舩山むつみ
文藝春秋
〈中国のスティーヴン・キング〉と呼ばれる?疑小?(サスペンス小説)の第一人者にして、累計発行部数1千万部を超える大ベストセラー作家が放つ、巧緻を極めたサスペンスホラー!
第154回「台湾漫遊鉄道のふたり」楊双子
『台湾漫遊鉄道のふたり』
楊双子,三浦裕子
中央公論新社
炒米粉、魯肉飯、冬瓜茶……あなたとなら何十杯でも――。
結婚から逃げる日本人作家・千鶴子と、お仕着せの許婚をもつ台湾人通訳・千鶴。
ふたりは底知れぬ食欲と“秘めた傷”をお供に、昭和十三年、台湾縦貫鉄道の旅に出る。
「私はこの作品を過去の物語ではなく、現在こそ必要な物語として読んだ。
そして、ラストの仕掛けの巧妙さ。ああ、うまい。ただ甘いだけではない、苦みと切なさを伴う、極上の味わいだ。」
古内一絵さん大満足
第153回「寝煙草の危険」マリアーナ・エンリケス
『寝煙草の危険』
マリアーナ・エンリケス,宮﨑真紀
国書刊行会
寝煙草の火で老婆が焼け死ぬ臭いで目覚める夜更け、
庭から現れどこまでも付き纏う腐った赤ん坊の幽霊、
愛するロック・スターの屍肉を貪る少女たち、
死んだはずの虚ろな子供が大量に溢れ返る街……〈文学界のロック・スター〉〈ホラー・プリンセス〉エンリケスによる、12篇のゴシカルな恐怖の祭典がついに開幕!!!
第151回「コインロッカー・ベイビーズ」村上龍
『コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫)』
村上龍
講談社
1972年夏、キクとハシはコインロッカーで生まれた。母親を探して九州の孤島から消えたハシを追い、東京へとやって来たキクは、鰐のガリバーと暮らすアネモネに出会う。キクは小笠原の深海に眠るダチュラの力で街を破壊し、絶対の解放を希求する。毒薬のようで清々(すがすが)しい衝撃の現代文学の傑作が新装版に!
第150回「オリンピア」デニス・ボック
『オリンピア』
デニス・ボック,越前敏弥
北烏山編集室
記憶と鎮魂のファミリー・ヒストリー
第2次世界大戦をきっかけにドイツからカナダへ移住した家族を描く連作短編集。静かで平和に見える一族の生と死が詩情豊かに語られる。点景としてのオリンピック、断片としての家族の歴史。
――レニ・リーフェンシュタールが編集したあとの映像から、この話を語ることはできないだろう。何マイルにも及ぶサブプロットや暗示的な映像が切り刻まれて黒いリボンに何度もまとめられ、忘れ去られた。
――ぼくたち家族の才能は永遠のものだと思っていた。
装釘 宗利淳一
第149回「十六の言葉」ナヴァー・エブラーヒーミー
『十六の言葉』
ナヴァー・エブラーヒーミー,酒寄進一
駒井組
「誰しも人生で最初に覚える言葉がある。その言葉が見事に私を不意打ちにした。ちょうど、ここで取りあげる十六の言葉と同じように。その言葉から身を守ることは、ただの一度も成功したことがない。『ほかにも言語はあるんだぞ。おまえの母語だ。おまえがいま口にしているのがお前の言語だと思ったらまちがいだ』十六の言葉は繰り返しそういうメッセージを送りつけてきた。私は何度も何度もその十六の言葉を突きつけられてきた。」(プロローグより)
第148回「魔法の夜」スティーヴン・ミルハウザー
『魔法の夜』
スティーヴン・ミルハウザー,柴田元幸
白水社
《作家の神髄が凝縮された、魅惑の中篇! 》
百貨店のマネキン、月下のブランコ、屋根裏部屋のピエロと目覚める人形など、作家の神髄が凝縮。眠られぬ読者に贈る、魅惑の中篇!「月の光線の下、マネキンの隠れた生が目覚めていく。指にかすかな震えが生じる。片方の手首がわずかに曲がる。サングラスの奥で、瞼がゆっくり閉じて開く。」(本文より)
《月の光でお読みください。》
第147回「塵に訊け」ジョン・ファンテ
『塵に訊け』
ジョン・ファンテ,栗原俊秀
未知谷
30年代の頽廃、ビートニクの先駆所は照りつける太陽と視界を奪う砂漠の塵が舞うロサンゼルスーワラチを履いたメキシコ娘カミラ作家志望のイタリア系アルトゥーロ差別される者どうしの共感が恋に震え、疾駆し、うなり、転げる生80年の再刊で沸騰した名著の新訳。
第146回「野球場」村上春樹
『野球場 (「回転木馬のデッドヒート(講談社文庫)」に収録)』
村上春樹
講談社
「それはメリー・ゴーラウンドによく似ている。それは定まった 場所を定まった速度で巡回しているだけのことなのだ。どこにも行かないし、降りることも乗りかえることもできない。誰をも抜かないし、誰にも抜かれない」人生という回転木馬の上で、人は仮想の敵に向けて熾烈なデッド・ヒートをくりひろげる。事実と小説とのあわいを絶妙にすくいとった、村上春樹の8つのスケッチ。
第146回「中国行きのスロウボート」村上春樹
第145回「ハリケーンの季節」フェルナンダ・メルチョール
『ハリケーンの季節』
フェルナンダ・メルチョール,宇野和美
早川書房
とある村で、〈魔女〉の死体が見つかる。彼女は村の女たちに薬草を処方し、堕胎もしてやっていた。彼女を殺したのは一体誰か–。暴力と貧困がはびこる現代メキシコの田舎を舞台に狂気と悲哀を描き、名だたる文学賞候補となった西語圏文壇新星による傑作長篇
第144回「歩くこと、または飼いならされずに詩的な人生を生きる術」トマス・エスペダル
『歩くこと、または飼いならされずに詩的な人生を生きる術』
トマス・エスペダル,枇谷玲子
河出書房新社
通りを、アスファルトを、山道を、海岸沿いを、並んで、ひとりで、知覚を冴え渡らせ、無と化し、鳥の声に耳を澄ませ、寡黙に、饒舌に、物悲しく、意気揚々と、自由を求めー歩く。自分の人生を、主体的に歩き続けるとはどういうことだろう?古今東西の作家、音楽家、思想家たちの言葉に触れながら思策を深める渉猟の記録。現代ノルウェー文学の金字塔的作品、ついに邦訳!!
第143回「奥歯を噛みしめる 詩がうまれるとき」キム・ソヨン
『奥歯を噛みしめる 詩がうまれるとき』
キム・ソヨン,姜信子,奥歯翻訳委員会
かたばみ書房
世界の終末を描く『沈んだ世界』『結晶世界』、スピルバーグ監督が映画化した『太陽の帝国』などで知られるSF界の異才J・G・バラード。ミステリー・現代小説ファンからも広く熱狂的な支持を集めるそのバラードが、30年にわたって発表してきた書評とエッセイが初めて一冊になりました。
第142回「そっと 静かに」ハン・ガン
『そっと 静かに (新しい韓国の文学 18)』
ハン・ガン,古川綾子
クオン
「歌は翼を広げて、私たちの生の上へと滑り出す。歌がなくて、その翼で生の上へと滑空する瞬間すらもなかったら、私たちの苦しみはどれほど重さを増すだろうか」――本文より
ハン・ガンが「書きたいのに、書けなかった」と回想する時期に生まれた本書には、音楽との出会い、さまざまな思い出にまつわる歌、著者自身がつくった歌について綴られている。著者の繊細な感性に触れるエッセイ集の初邦訳。
巻末にはオリジナルアルバムの音源情報も収録!
第141回「若い芸術家の肖像」ジェイムズ・ジョイス
『若い藝術家の肖像 (集英社文庫 ヘリテージシリーズ)』
ジェイムズ・ジョイス,丸谷才一
集英社
あの難解とされた名作はこんなにも面白かった! 鮮やかな丸谷流新解釈が冴える『ユリシーズ』へと繋がるジョイスの半自伝的小説。英文学者丸谷才一の研究・翻訳の集大成、読売文学賞受賞作、文庫化。
次ページ…2023年「文学ラジオ空飛び猫たち」の紹介本
ただいま、追加作業中。
2023年のタイトル一覧表はできました。
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