PR

春秋社「アジア文芸ライブラリー」/ツェリン・ヤンキー『花と夢』ほか、アジアの今を映し出す珠玉の小説たち

記事内に広告が含まれています。
春秋社「アジア文芸ライブラリー」/ツェリン・ヤンキー『花と夢』ほか、アジアの今を映し出す珠玉の小説たち

アジア文芸ライブラリーのこと


いま、アジアの文学を読む意味とは 〈アジア文芸ライブラリー〉刊行開始によせて|じんぶん堂
「文学を通じてアジアのこれからを考える」をテーマとして、シリーズ〈アジア文芸ライブラリー〉(春秋社刊)の刊行が始まった。性産業に従事する4人の女性の共同生活を描くチベットの小説、ツェリン・ヤンキー著『...

わたしたちの暮らすアジアのいままでとこれからを考えるために、春秋社では新たなシリーズ〈アジア文芸ライブラリー〉を立ち上げます。アジアの歴史・文化・社会をテーマとして、文学的に優れた作品を邦訳して刊行します。

#アジア文芸ライブラリー ができるまで|あらきさんの編集覚え書き


 佐野裕哉さんによる装丁も美しい、春秋社「アジア文芸ライブラリー」。このブログを始めたころ、SNSで流れてきたのが第61回日本翻訳文化賞のニュースで、シリーズ1冊目の『花と夢』を翻訳した星泉さんが受賞したことを知りました。おめでとうございます。お祝いには少し遅くなってしまったけれど、私なりにまとめてみます。

 このシリーズを始めたのは、編集者の荒木駿さん(ひとり編集部)。note「あらきさんの編集覚え書き」では、荒木さんのこれまでの経験などもたっぷり書かれた「アジア文芸ライブラリー」を始めるまでの経緯のほか、編集後記なども読むことができる。読むとお人柄も見えてくる。

私たちは人間としてつながり続けるために、言葉を紡ぎ、また誰かが書いた言葉を読む。時代や地域を超えても、それは変わらない。まずは、隣人の言葉に耳を傾けることからはじめよう。

いま、アジアの文学を読む意味とは 〈アジア文芸ライブラリー〉刊行開始によせて|じんぶん堂


 記念すべき1冊目のツェリン・ヤンキー『花と夢』 は、「斎藤真理子さんが選ぶ「暴力」を記録する文学」(朝日新聞デジタル)の一冊として、ハン・ガンの本などとともに名前が挙がっていた作品だけあって、表紙のイメージからすると、テーマは重め。私自身は、まだこの作品を読んでいない者のひとりなのだけれど、このページを作るにあたって読んだ、海外サイトの英語版についてのレビューを読んで衝撃を受けました。

 それを読んだあと、冒頭部分をAmazonで試し読みしたところ、全然そんなことを感じさせない平和な日常が描かれていて(とても読みやすい)、この冒頭のような光景が彼女たちにも再び訪れて欲しいと、願わずにはいられませんでした。この本の編集後記には注意書きもあったので、その辺は覚悟しておいた方がいいと思います。

家父長制やミソジニー、搾取、農村の困窮などの犠牲となり、傷を抱えながら生きる女性たちの姿を慈愛に満ちた筆致で描き出す。チベット発、シスターフッドの物語。


 個人的に作品選びを信頼している、ポットキャスト番組「文学ラジオ空飛び猫たち」でも紹介されている『花と夢』。実際に本を読んだ生の声が聞けるので、興味がある方は、そちらを聴いてから本を読むのもいいかもしれない。

 「文学ラジオ空飛び猫たち」は、ダイチさんとミエさんが、海外文学を中心に紹介する番組で、おふたりのゆったりとした空気と、人柄のせいかそこまで押しが強く感じられないところにも好感が持てる。ツェリン・ヤンキーの『花と夢』は、本日12月16日にUPされた「2024年海外文学ベスト5」にも選ばれた作品。気になる方はそちらも合わせて聴いてみてください。

 書評については、ALL REVIEWSの長瀬海さんのものが読みやすかった。先ほどの海外のものは、ちょっと生々し過ぎました(一応本の下にリンクを貼っておきます)。

見本が!! 出ました!!! 美しい!!!!
「生涯で出会った最高の作品」という人もいる、怪奇幻想文学の傑作です。

araki.s.(@asn5x)さん / X


 最新刊のエカ・クルニアワン『美は傷』(太田りべか訳)は、菅野まり子さんの装画が素敵な本。《 世界35カ国以上で刊行されたマジックリアリズム文学の傑作 》だそうで、そちらも楽しみ。

 著者のエカ・クルニアワンさんは、インドネシア人作家として初めてブッカー国際賞にノミネートされた方だそう。海外サイトの別の本のレビューでは《 エカ クルニアワンはインドネシア文学のクエンティン タランティーノ 》とも評されていました(Google翻訳)。


アジア文芸ライブラリーの本

「花と夢」ツェリン・ヤンキー

花と夢 (アジア文芸ライブラリー)
ツェリン・ヤンキー,星泉
2024/04/18
春秋社
第61回(2024年)日本翻訳文化賞受賞作
記念すべきシリーズ第1作
《フラッシュバックなどの恐れのある方はご注意ください。》

ラサのナイトクラブで働きながら場末のアパートで身を寄せ合って暮らす四人の女性たちの共同生活と、やがて訪れる悲痛な運命・・・・・・。家父長制やミソジニー、搾取、農村の困窮などの犠牲となり、傷を抱えながら生きる女性たちの姿を慈愛に満ちた筆致で描き出す。チベット発、シスターフッドの物語。英国PEN翻訳賞受賞作。

装幀:佐野裕哉 装画:荻原美里

あらきさんの編集覚え書き
【編集後記】ツェリン・ヤンキー『花と夢』星泉訳 〈アジア文芸ライブラリー〉

じんぶん堂
チベットで性産業に従事する女性たちの背景――『花と夢』が描く現代のラサと信仰

ALL REVIEWS
『花と夢』(春秋社) – 著者:ツェリン・ヤンキー 翻訳:星 泉 – 長瀬 海による書評

note「長瀬海」
「週刊金曜日」(2024年6月7日号)にツェリン・ヤンキー『花と夢』(星泉訳、春秋社)の書評を書きました。

Youtube「【本屋のYouTube】双子のライオン堂書店」
【インタビュー】「チベットの女性作家が描く〈いま、ここ〉を探る。」『花と夢』ツェリン・ヤンキー (翻訳:星泉/案内人:長瀬海)(約26分)

Spotify「荻上チキ・Session~発信型ニュース・プロジェクト」
<チベット文学の魅力>倉本さおり×星泉と語る(約29分)

Spotify「文学ラジオ空飛び猫たち」
第164回 チベットの都会で強く生きる女性たちの物語「花と夢」ツェリン・ヤンキー著(約57分)


<書評>花と夢:北海道新聞デジタル

図書新聞Web
自責でも他責でもなく――理不尽な世界で正気を保つための言葉ととも 奥瀬陽平

アジア書堂
書籍レビュー「花と夢(アジア文芸ライブラリー)」

日本経済新聞
書評『花と夢』ツェリン・ヤンキー著 チベットの女たち 業と光明

沖縄タイムス+プラス
[読書]小説 花と夢 ツェリン・ヤンキー著、星泉訳 女性たちの悲劇 細やかに

SERNYA:花と夢
SERNYA:『花と夢』が刊行されました

第61回日本翻訳文化賞受賞(星泉) | Linguistic Dynamics Science 3 (LingDy3)

PEN Translates awards announced – English PEN(英語)


Cha
[FIRST IMPRESSIONS] “Four Women Migrant Workers: TSERING YANGKYI’S The Flowers of Lhasa” by David W. Landrum(英語)

[REVIEW] “The Losers of China’s Sexual Revolution: Tsering Yangkyi’s The Flowers of Lhasa” by Kevin McGeary(英語)
英語版についての海外サイトの書評も読み応えがあります。

《 英語の書評やインタビューは、ブラウザ翻訳やGoogle翻訳を使えば読めますので、ぜひ。 》

「美は傷」エカ・クルニアワン

美は傷 (アジア文芸ライブラリー)
エカ・クルニアワン,太田りべか
2025/01/08
春秋社
近日発売予定

三月のある週末の夕暮れ時、デウィ・アユは死後二十一年にして墓場からよみがえった――。
オランダ植民地時代末期にジャワ島南部の架空の港町ハリムンダに生まれた娼婦デウィ・アユとその一族を襲った悲劇。植民地統治、日本軍による占領、独立、政変と弾圧といった暴力の歴史を軸に、伝説、神話、寓話などが渦巻く奇想天外な大河小説。世界35カ国以上で刊行されたマジックリアリズム文学の傑作。

装幀:佐野裕哉 装画:菅野まり子

「インドネシアを語る小説を書きたいという衝動があった。サルマン・ラシュディが『真夜中の子供たち』でインドを語り、ギュンター・グラスが『ブリキの太鼓』でドイツを語ったように。」(著者インタビューより)

「高雄港の娘」陳柔縉

高雄港の娘 (アジア文芸ライブラリー)
陳柔縉,田中美帆
2024/10/31
春秋社

日本統治時代に台湾南部の港町・高雄で生まれた孫愛雪。戦後の政治的弾圧で父と夫は国を去り、やがて愛雪も夫を追って日本へ渡る。「良妻賢母」の価値観を教え込まれた愛雪は、その通りに家の仕事をこなし、台湾独立運動に奔走する夫を支えながら、自らも実業家として道を切り拓き強く生きた。そして晩年、家族を陥れた意外な真実を知る……。
数々の歴史ノンフィクションを手掛けた陳柔縉ならではの、歴史の細部まで描き込んだ生き生きとした筆致。実在の人物・郭孫雪娥をモデルとしつつ、虚構を交えながら女性の視点で台湾の現代史を問い直す歴史小説。

装幀:佐野裕哉 装画:原倫子

蔡英文・前総統推薦!
「この小説は、高雄港を舞台とし、女性の視点を通して現代台湾の100年にわたる流転が丁寧に描かれている。 ぜひご一読を!」――蔡英文氏Facebookより

「わたしたちが起こした嵐」ヴァネッサ・チャン

わたしたちが起こした嵐 (アジア文芸ライブラリー)
ヴァネッサ・チャン,品川亮
2024/07/02
春秋社

1945年、日本占領下のマラヤでは少年たちが次々と姿を消し始める……。日本軍のスパイに協力した主婦セシリーと、その家族に起こった数々の悲劇を虚実を交えながら圧倒的な筆力で描く。20ヶ国以上で刊行決定、発売前から話題を呼んだ衝撃のデビュー作。

「南光」朱和之

南光 (アジア文芸ライブラリー)
朱和之,中村加代子
2024/05/20
春秋社

ライカを手に変わりゆく台湾を写し続けたひとりの写真家がいた。日本統治時代の台湾に生まれ、法政大学カメラ部でライカと出会った南光ことトウ騰輝。モダン都市・東京と戦争と戦後の動乱、台湾写真史を鮮やかに描きだす。巻末に南光による写真12点を掲載。歴史小説の名手・朱和之が南光の残した写真をもとに、たぐいまれな想像力で写真家の人生と台湾写真史を描き出す。羅曼・羅蘭百萬小説賞受賞作。

あらきさんの編集覚え書き
【編集後記】朱和之『南光』中村加代子訳〈アジア文芸ライブラリー〉

『南光』(朱和之著/中村加代子訳)についての書評・記事・イベントの一覧

web春秋 はるとあき
「日本」と「台湾」を生きた写真家・鄧南光の生涯/朱和之『南光』〈アジア文芸ライブラリー〉(中村加代子訳) | Close-up! この一冊

じんぶん堂
日本統治時代の台湾に生まれた写真家・鄧南光の生涯

WEB本の雑誌
シャッター音が聞こえ、物語はつづく – 新刊めったくたガイド(文=石川美南)

Book Bang -ブックバン-
日本の統治から中国国民政府に替わる台湾の社会状況をフィルムを通して描く(レビュアー:大竹昭子)

若作りの老人を「老い損なった」と評するのが面白い 川本三郎「私が選んだ本ベスト5」夏休みお薦めガイド

アジア書堂
書籍レビュー「南光(アジア文芸ライブラリー)」

毎日新聞
激動の台湾と歩んだ写真家に光 鄧南光モデルの小説、日本語訳出版

今週の本棚:川本三郎・評 『南光』=朱和之・著、中村加代子・訳

<書評>南光:北海道新聞デジタル

OKAPI閱讀生活誌
經歷日本戰敗、228、白色恐怖,一個敏銳的攝影之心能如何讓自己飛行?──專訪朱和之《南光》- 本月大人物(中国語)
朱和之さんのインタビュー。

中央社 CNA
走進朱和之的小說暗房 看見鄧南光鏡頭下的美麗光影 | 文化+

Youtube「春秋社」
『南光』春秋社アジア文芸ライブラリー #台湾 #カメラ #本

アジア文芸ライブラリーににまつわる読みもの、ラジオ、動画

コメント

タイトルとURLをコピーしました