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- 「ハザール辞典」ミロラド・パヴィチ
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- 「皆勤の徒」 酉島伝法
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- 「重力の虹 (上)」トマス・ピンチョン
- 「99人の最終電車」井上夢人
- 「哀れなるものたち」アラスター・グレイ
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- 「ソヴィエト・ファンタスチカの歴史」ルスタム・カーツ
- 「死刑宣告」萩原恭次郎
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- 「ウィトゲンシュタインの愛人」デイヴィッド・マークソン
- 「ユビュ王」アルフレッド・ジャリ
- 「アベル・サンチェス」ミゲル・デ・ウナムーノ
- 日本の推理小説三大奇書
奇書、実験小説、前衛小説、不思議な本の一覧表
リンクはAmazon、スクロール可能、
作家名、出版社名などで並べ替えもできます。
一番右側に、参照元として、
Wikipedia、出版社HP、書評等のリンク。
本のタイトルと同じものは、
だいたい英語か日本語版のWikipediaです。
(まだ途中で、現在400弱です)
奇書、実験小説、ヌーヴォー・ロマンを検索
『実験する小説たち』
木原善彦
彩流社
実験小説に特化した初のガイド本を手に、めくるめく実験小説の世界へ!
『愛書狂の本棚 異能と夢想が生んだ奇書・偽書・稀覯書』
エドワード・ブルック゠ヒッチング,高作自子
日経ナショナルジオグラフィック
「最上級の奇書の棚」に並ぶのはどんな本か? この本は、世界の「奇書」を集めた驚異の本棚だ。
「奇書・実験小説・特殊文体 wiki」
こちらのページを元に、
Wikipedia等でひとつひとつ答え合わせ。
作品ごとに「意識の流れ」とか、
「メタフィクション」とか、
キーワードをつけてくださっていたので、
それを元に、
あとは自力で調べていきました。
このページについて
奇書、実験小説、前衛小説、特殊文体、デザインが凝っている本などの不思議な本を集めました。装丁の雰囲気で、見た目が可愛い「ナチュラル」と、いかつい「ハード&ポップ」に分類しています。
「私の主観で選んでいるわけではない」という証明も兼ねて、ひとつひとつの作品に、選ばれる理由などが記されたWikipedia等へのリンクを添えました。ネタバレしているページもあるので、注意が必要ですが、いろいろお散歩してみてください。
あくまで、本のデザインとアイデア、技巧の素晴らしさから選んだものですので、内容の保証はできません。一応、「奇書」に分類されるようなものを集めているので、「乙女」という名のブログには、相応しくない作品も混じっているかも知れません。
でもそれは、私自身もまさに今、罠にはまっているような状態だということ。「表紙に惹かれて読んでみたら、えらい目に遭った」という体験を、楽しんでいただけたらと思います。

ポストモダン作家、潜在的文学工房ウリポ、ヌーヴォー・ロマン、SFのニューウェーブの作家ほか、実験小説関連の作家と翻訳家、書評家も一覧表にしたい。作家ごとの本紹介や書評も掲載したいけど、これは実験小説ではなくポストモダンとかのジャンル別でまとめた方がいいのかな。
もう一つのページでは、青空文庫や、国会図書館デジタルコレクションをまとめている方のリンク集などの今すぐ読める実験小説、実験小説関連の用語集も作りたい。
気になる奇書、実験小説、不思議な本「ナチュラル」
まだ全然、途中ですからね!
「石の扉」レオノーラ・キャリントン
『石の扉: キャリントン中・短篇集』
レオノーラ・キャリントン,野中雅代
国書刊行会
《2025年4月8日、シュルレアリスム叢書[第2回配本]》
シュルレアリスム×メキシコ魔術
エルンストと出会いシュルレアリストになり、メキシコに渡り独自のシュルレアリスムを発展させたキャリントン。「〈石の扉〉よ、私を通して、外に出して」とリフレインする少女――占星術・錬金術・魔術が渾然となり、死者の国からハンガリー王を探す魂の遍歴の壮大なメタフィクション「石の扉」ほか、不気味で、残酷で、夢、ブラック・ユーモアの奇妙な世界20篇。
短篇集『七頭目の馬』の戯曲を除く全篇に、「砂の駱駝」「グレゴリー氏の蝿」「ジェミマと狼」を付加し、抄録の「石の扉」を完全版とした日本版オリジナル編集。13篇は本邦初紹介。読み応えある詳細解説65頁、キャリントンの挿絵5葉添え。
↑楽天ブックスさんには、
こんな写真もありました。
「パリの最後の夜」フィリップ・スーポー
『パリの最後の夜』
フィリップ・スーポー,谷昌親
国書刊行会
《2025年4月8日、シュルレアリスム叢書[第1回配本]》
『ナジャ』と並ぶ、
謎めいたファムファタル1920年代の夜のパリ。謎の女ジョルジェットにいざなわれた語り手は、セーヌ河岸で犯罪を目撃する……。ジュルジェットはパリだ、パリの夜そのもの。幻想・神秘・偶然は、この娼婦のファムファタルの圏内でうごめく――
『ニック・カーター』を愛読していたスーポーが綴る犯罪小説は、読者を闇の迷宮へと誘う。『ナジャ』と比べて味わいたい、パリとパリの女の驚異を描いたシュルレアリスム小説。初訳短篇『オラス・ピルエルの旅』『ニック・カーターの死』を併録。読み応えある詳細解説111頁添え。
「ナジャ」アンドレ・ブルトン
『ナジャ (岩波文庫)』
アンドレ・ブルトン,巖谷國士
岩波書店
《自動記述の手法に従って、思いのままに書き綴った作品。作中では文章による情景描写の代わりに、ナジャによるデッサンを初めとして、多数の人物写真や風景写真が用いられている。》→(Wikipedia)
「私は誰か?」シュルレアリスム運動の最盛期,1928年に発表されたブルトンの代表作は,自分への問いかけから始まる.実際に出会った人物,おこった出来事,発せられた言葉を,克明に記録するというこの新しい「小説」は発表当初より賛辞にかこまれ,35年後,「著者による全面改訂版」としてふたたび世に送り出された.
Automatic writing – Wikipedia
自動書記はサイコグラフィーとも呼ばれ、意識的に書かずに文字を書き出すことができる超能力であると言われています。
シュルレアリストによる自動筆記
フランスの詩人でダダイストでもあったアンドレ・ブルトン〔……〕。彼は1924年「シュルレアリスム宣言」の起草によってシュルレアリスム(超現実主義)を創始したが、彼が宣言前後から行っていた詩作の実験がオートマティスム(自動記述)とも呼ばれている。これは眠りながらの口述や、常軌を逸した高速で文章を書く実験などだった。
「思い出すこと」ジュンパ・ラヒリ
『思い出すこと (新潮クレスト・ブックス)』
ジュンパ・ラヒリ,中嶋浩郎
新潮社
《詩集か、エッセイか、あるいは小説か。イタリア語による詩とその解題からなる、もっとも自伝的な最新作。たぶん注釈小説。》
創作と自伝のあわいに生まれた一冊の「詩集」。
円熟の域に達したラヒリによるもっとも自伝的な最新作。
ローマの家具付きアパートの書き物机から、「ネリーナ」と署名のある詩の草稿が見つかった。インドとイギリスで幼少期を過ごし、イタリアとアメリカを行き来して暮らしていたらしい、この母・妻・娘の三役を担う女性は、ラヒリ自身にとてもよく似ていた。――イタリア語による詩とその解題からなる、もっとも自伝的な最新作。
「オープン・シティ」テジュ・コール
『オープン・シティ (新潮クレスト・ブックス)』
テジュ・コール,小磯洋光
新潮社
《実質的な筋書きがない。「名目上は独立した」章で構成されているものの、句読点がないため「1つの途切れない段落で書かれたテキストのような雰囲気」を与えている。装画は三宅瑠人さん。》
マンハッタンを彷徨する精神科医。街の風景とざわめきが揺り起こす記憶。街路に刻まれた歴史の痕跡と人々の声ー。数々の賞に輝き「ゼーバルトの再来」と讃えられた、ナイジェリア系作家のデビュー長篇。
「子供時代」ナタリー・サロート
『子供時代 (ルリユール叢書)』
ナタリー・サロート,湯原かの子
幻戯書房
《ヌーヴォー・ロマン(新しい小説)作家による、対話体小説。》
ヌーヴォー・ロマン作家サロートが到達した、伝記でも回想でもない、まったく新しい「反-自伝小説」。
「私」と「あなた」の対話ではじまる、ことばとイマージュと記憶の物語。
円熟期の実験作。サロート43年ぶりに邦訳刊行!
ヌーヴォー・ロマン – Wikipedia
「新しい小説」の意。第二次世界大戦後のフランスで発表された前衛的な小説作品群を形容した呼称で、アンチ・ロマン(「反小説」の意)と呼ばれることもある。
クロード・シモンやナタリー・サロート、ミシェル・ビュトール等が代表的な作家とされ、広くはサミュエル・ベケット、マルグリット・デュラス等を含むこともある。
「HERE ヒア」リチャード・マグワイア
『HERE ヒア』
リチャード・マグワイア,大久保譲
国書刊行会
《紀元前から未来まで、ひとつの部屋を定点観測。ロバート・ゼメキス監督、トム・ハンクス主演で映画化→映画『HERE 時を越えて』公式サイト》
窓と作りつけの暖炉のほかには何もない部屋、左上には2014年という数字。ページをめくると、1957・1942・2007……と様々な年代の同じ空間が現れ、さらに異なった年代の断片が共存・混在していく。そして紀元前30億50万年から22175年まで、ある家族の記憶の数々が地球の歴史と一体となって圧倒的なビジュアルで奏でられていくーーリチャード・マグワイア『ヒア』はある部屋の一角の物語であり、地球の黎明期から遥かな未来まで、この空間で起こる無数の出来事の物語である。
「フィネガンズ・ウェイク」ジェイムズ・ジョイス
『フィネガンズ・ウェイク I・II』
ジェイムズ・ジョイス,柳瀬尚紀
河出書房新社
《「ジョイス語」と言われる独特の言語表現が見られる。また英語表現だけをとっても、意識の流れの手法が極限にまで推し進められ、言葉遊び、二重含意など既存文法を逸脱する表現も多い。》
『ユリシーズ』に続いて死の間際まで書き継がれ、20世紀最大の文学的事件とされる奇書の画期的全訳。ダブリン西郊の居酒屋を営む一家と、現実・歴史・神話が絡みあう重層的物語。
「紙の民」サルバドール・プラセンシア
『紙の民』
サルバドール・プラセンシア,藤井光
白水社
《段落ごとに人物が分かれ同時進行するメタフィクション》
上空から見下ろす作者“土星”の存在に気づき、自由意志を求めて立ち上がった登場人物たち。ページの上で繰り広げられる奇想天外な「対土星戦争」の行方は?メキシコ出身の鬼才による鮮烈な処女小説。
「人生使用法」ジョルジュ・ペレック
『人生使用法』
ジョルジュ・ペレック,酒詰治男
水声社
《潜在的文学工房ウリポのメンバー。「直交ラテン方陣」を10階建ての集合住宅に見立てて長編小説『人生使用法』の構想を得た。》
登場人物、1000人以上!パリ市中のアパルトマンでジグゾーパズルに没頭する英国人大富豪バートルブースや、建物を往き過ぎるさまざまな人物と各々の部屋に注がれた視線が織りなす奇想天外な人間喜劇。
「鏡の国のアリス」ルイス・キャロル
『鏡の国のアリス』
ルイス・キャロル,河合祥一郎
KADOKAWA
《ナンセンス詩『ジャバウォックの詩』など、文中には様々な言葉遊びやパロディがちりばめられている。》
美しい原画の装丁で、装い新たに甦る、永遠の名作童話決定版!
ある日、アリスが部屋の鏡を通り抜けると、そこにはおしゃべりする花々やたまごのハンプティ・ダンプティたちが集う不思議な国。そこでアリスは女王を目指すのだが……。大人も楽しめる、永遠の名作童話決定版!
『鏡の国のアリス』に出てくる
ジャバウォックの詩 – Wikipedia
『ジャバウォックの詩』の中にある幾つかの英単語は、キャロル自身によって作成されたかばん語(または混成語、複数の語のそれぞれの一部を組み合わせて作られた語)。実は、Wikipediaで全文読めるようになっている。しかも英語の原文も。
「アウステルリッツ」W・G・ゼーバルト
『アウステルリッツ(新装版)』
W・G・ゼーバルト,鈴木仁子
白水社
《多くの写真、段落分けがないこと、脱線した文体、事実とフィクションの混合、非常に長く複雑な文で有名。》
多くの写真を挿み、小説とも、エッセイとも、旅行記とも、回想録ともつかない、独自の世界が創造される。全米批評家協会賞、ハイネ賞、ブレーメン文学賞など多数受賞、「二十世紀が遺した最後の偉大な作家」による最高傑作。
多和田葉子氏の解説「異言語のメランコリー」を巻末に収録。
「牡猫ムルの人生観」E・T・A・ホフマン
『牡猫ムルの人生観』
E・T・A・ホフマン,酒寄進一
東京創元社
『ネコのムル君の人生観(上) (光文社古典新訳文庫)』
ホフマン,鈴木芳子
光文社
《牡猫ムルの回想録に、架空の音楽家クライスラーの伝記がはさみ込まれているという二重構造の物語(二重小説)。》
猫のムルは生まれたての子猫の時、稀代の知識人にして奇術師アブラハム氏によって、橋の下から拾いあげられ、大切に育てられた。アブラハム氏の家にいるあいだにムルは、氏が書き物をするそば近くに陣取って、読み書きを習得したのだった。そして、自らの人生を回想する原稿を書き始めたが、羽根ペンで書いては、近くにあった一冊の本、『楽長ヨハネス・クライスラーの伝記』のページをちぎり、吸取紙や下敷きとして原稿にはさんだのだった。
いざ、原稿を出版する運びとなった折、印刷所が、はさまれた『クライスラー伝』をうっかりそのまま組み込んで印刷してしまったというのが、本書である。つまり、牡猫ムルが自らの人生を語っている文章のそこここに、音楽家クライスラーの伝記が、はさみ込まれているという二重構造の物語(二重小説)なのである。
猫が主人公の動物小説であり、怪奇小説であり、犯罪小説であり恋愛小説でもあるという贅沢なこの物語は、当初は全三巻を予定していたのだが、著者ホフマンの死によって、第二巻で未完のまま終わっている。訳者あとがき=酒寄進一
Lebens-Ansichten des Katers Murr – Wikipedia
構造的には、ケーター・ミュールはゲーテの小説ヴィルヘルム・マイスターの「レーリャレ」に似ていますが、フリードリヒ・ニコライの「魔術師のセバルドゥス・ノタンカー」やローレンス・スターンの「トリストラム・シャンディ」にも似ています。
「ならずものがやってくる」ジェニファー・イーガン
『ならずものがやってくる (ハヤカワepi文庫)』
ジェニファー・イーガン,谷崎由依
早川書房
《パワーポイントのようなフォーマットの章、二人称で書かれた章と、複数のプラットフォームで展開される。多くの批評家は、イーガンの構造に関する実験に感銘を受けた。》
ふと目に留まった見知らぬ人の鞄と、そこからのぞく財布。サーシャはこらえきれず財布に手を伸ばすが…。
問題を抱える若い女性と、その上司の元パンクロッカーからはじまる物語は、過去と未来を行き来しながら、二人が人生の軌跡を交えた人々につながっていく。あふれる詩情と優れた構成で描かれる、さまざまな生の落胆と希望。世界的ベストセラーとなったピュリッツァー賞、全米批評家協会賞受賞作。
「鬼怒楯岩大吊橋ツキヌの汲めども尽きぬ随筆という題名の小説」西尾維新
『鬼怒楯岩大吊橋ツキヌの汲めども尽きぬ随筆という題名の小説』
西尾維新
講談社
《ヒグチユウコさんの装画が可愛い、題名28文字、段落の中に改行がないとか、段落と段落の間に空行がないとか》
西尾維新が描く前代未聞の猫・小説!
鬼怒楯岩大吊橋ツキヌは脳外科医・犬走キャットウォーク先生の飼い猫の面倒を見るペットシッターとして働き始める。しかしその猫には秘密があって……。
実験小説的には、リポグラムで執筆された、
『りぽぐら!』がおすすめ。
(リポグラムとは、特定の語または特定の文字を使わないという制約のもと書かれた作品のこと。)
「エクスタシーの湖」スティーヴ・エリクソン
『エクスタシーの湖』
スティーヴ・エリクソン,越川芳明
筑摩書房
《マジックリアリズム。原書の実験的なレイアウトを邦訳版でも再現。》
突然ロサンジェルスの中心部に現われた巨大な湖。息子を救うために湖底へと潜っていく主人公クリスティンの物語と、2017年西海岸のゲリラ隊の物語が絡み合う。原書の実験的なレイアウトを邦訳版でも再現。北米のマジックリアリスト、エリクソンのカオス的な想像力が炸裂。
「捜査・浴槽で発見された手記」スタニスワフ・レム
『捜査・浴槽で発見された手記 (スタニスワフ・レム・コレクション)』
スタニスワフ・レム,久山宏一,芝田文乃
国書刊行会
《20世紀SF最高の作家の一人。アンチミステリ、メタ推理小説ともいうべき作品『捜査』。『浴槽で発見された手記』は遠い未来を舞台にしたカフカ風の小説、疑似SF的不条理小説ともいうべき作品。》
イギリス各地の墓地で起こる死体消失事件、スコットランド・ヤードのグレゴリー警部補は真相解明に乗り出すが、捜査は難航を極める…メタ推理小説『捜査』、地球文明崩壊後、地下遺跡から奇跡的に発見された1篇の手記に記されていた驚くべき記録ー疑似SF的不条理小説『浴槽で発見された手記』、レムの多彩さをうかがわせる異色作2篇を収録。
「不思議の国のアリス」ルイス・キャロル
『不思議の国のアリス (角川文庫)』
ルイス・キャロル,河合祥一郎
KADOKAWA
《本文には、多数のナンセンスな言葉遊びが含まれている。》
ある昼下がり、アリスが土手で遊んでいると、チョッキを着た兎が時計を取り出しながら、生け垣の下の穴にぴょんと飛び込んで……個性豊かな登場人物たちとユーモア溢れる会話で展開される、児童文学の傑作。
「リンカーンとさまよえる霊魂たち」ジョージ・ソーンダーズ
『リンカーンとさまよえる霊魂たち』
ジョージ・ソーンダーズ,上岡伸雄
河出書房新社
《霊魂たちによる会話と、虚実が入り混じったリンカーンに関する過去の文献の引用から構成される。》
戦時の大統領リンカーンが、急逝した愛息ウィリーの記憶にひたるため夜の墓地を訪れる。そこには自らの死を受け入れられず、彼岸と此岸の間をさまよう霊魂たちがいた。たくさんの目と鼻と手をもつベヴィンズ、素っ裸で巨大なペニスを屹立させたヴォルマン、最後の審判を恐れる牧師トーマス…。現世の妄執を抱えて生きる(?)彼らがリンカーンに触れる時、感動的でユーモラスな途方もない物語が動きはじめる。まったく新しい形式に奇想と興奮を詰めこんだ、現代アメリカ最高の短編作家、驚愕の初長編。全米ベストセラー、ブッカー賞受賞の超話題作!!!
「文体練習」レーモン・クノー
『文体練習』
レーモン・クノー,朝比奈弘治
朝日出版社
《潜在的文学工房ウリポのメンバー。1つのストーリーを99通りの文体で描く。》
フーガの技法、ことばの手法
ある日、バスの中で起こった他愛もない出来事が99通りもの変奏によって変幻自在に書き分けられてゆく。
20世紀フランス文学の急進的言語革命を率いたクノーによる究極の言語遊戯が遂に完全翻訳された。前人未到のことば遊び。
フランスの潜在的文学工房「ウリポ(Oulipo)」
ウリポ – Wikipedia
発起人ル・リヨネー、レーモン・クノーは師範格。アルフレッド・ジャリ、レーモン・クノー、レーモン・ルーセルらの文学を理想とし、言語遊戯的な技法の開発を通して新しい文学の可能性を追求した。
「エドウィン・マルハウス」スティーヴン・ミルハウザー
『エドウィン・マルハウス (河出文庫)』
スティーヴン・ミルハウザー,岸本佐知子
河出書房新社
《伝記文学のパロディ。架空の人物の伝記の形で架空の作家。エドウィン・マルハウス少年の生涯を友人、ジェフリー・カートライトが書いている。》
十一歳で夭逝した天才作家の評伝を親友が書く。捨てられた遊園地、マンガ、アニメ映画、少女への恋……。ダークで狂熱的なコドモの世界を、幾重もの仕掛けで描いた傑作。
「すべての美しい馬」コーマック・マッカーシー
『すべての美しい馬 (ハヤカワepi文庫)』
コーマック・マッカーシー,黒原敏行
早川書房
《引用符(日本語では鉤括弧)がない》
1949年。祖父が死に、愛する牧場が人手に渡ることを知った16歳のジョン・グレイディは、自分の人生を選びとるために親友と愛馬と共にメキシコへ越境した。途中で年下の少年を一人、道連れに加え、三人は予想だにしない運命の渦中へと踏みこんでいく。至高の恋と苛烈な暴力を鮮烈に描く永遠のアメリカ青春小説。
「響きと怒り」ウィリアム・フォークナー
『響きと怒り』
ウィリアム・フォークナー,桐山大介
河出書房新社
《意識の流れなど多くの叙述スタイルを採用》
家を去った放縦な長女への三兄弟の激しい想いを軸に破滅の宿命を負うアメリカ南部の名家の悲劇を描く、痛ましくも美しい愛と喪失の物語。
「アブサロム、アブサロム!」ウィリアム・フォークナー
『アブサロム、アブサロム! (上) (岩波文庫)』
『アブサロム、アブサロム! (下) (岩波文庫)』
ウィリアム・フォークナー,藤平育子
岩波書店
《1983年のギネス世界記録によると、「文学上最も長い文章」は『アブサロム、アブサロム!』の一文で、1,288語から成る。この記録はその後破られた。》
九月の午後、藤の咲き乱れる古家で、喪服姿のローザが語り出す半世紀前の一族の悲劇。1833年ミシシッピに忽然と現れたヘンリー・サトペンは、無一物から農場主にのし上がり、ローザの姉と結婚、二人の子を得る。そのサトペン一族はなぜ非業の死に滅びたのか? 南部の男たちの血と南部の女たちの涙が綴る一大叙事詩。(全2冊)
「煙滅」ジョルジュ・ペレック
『煙滅』
ジョルジュ・ペレック,塩塚秀一郎
水声社
《フランス語版では「e」の文字を使わない、リポグラム(文字落とし)。塩塚秀一郎さん翻訳の日本語版は「い」を使っていない。》
“い”段がない!?失踪した男と失踪した“文字”をめぐる、前代未聞のミステリー。
「シガレット」ハリー・マシューズ
『シガレット (エクス・リブリス)』
ハリー・マシューズ,木原善彦
白水社
《潜在的文学工房ウリポのメンバー。精緻なパズルのごとき、超絶技巧の傑作長篇。実験小説に見えない実験小説。》
ニューヨーク近郊に暮らす上流階級13人の複雑な関係が、時代を往来しながら明かされる。絵画、詐欺、変死をめぐる謎…その背後でいったい何が起きていたのか?実験的文学者集団「ウリポ」の鬼才による、精緻なパズルのごとき構成と仕掛け!
「世界でいちばん透きとおった物語」杉井光
『世界でいちばん透きとおった物語 (新潮文庫)』
杉井光
新潮社
《電子書籍化絶対不可能、紙の本でしか体験できない感動》
大御所ミステリ作家の宮内彰吾が死去した。宮内は妻帯者ながら多くの女性と交際し、そのうちの一人と子供までつくっていた。それが僕だ。「親父が『世界でいちばん透きとおった物語』という小説を死ぬ間際に書いていたらしい。何か知らないか」宮内の長男からの連絡をきっかけに始まった遺稿探し。編集者の霧子さんの助言をもとに調べるのだがー。予測不能の結末が待つ、衝撃の物語。
「中二階」ニコルソン・ベイカー
『中二階 (白水Uブックス)』
ニコルソン・ベイカー,岸本佐知子
白水社
《脚注の付いた超スローモーション小説(注釈小説)、木原善彦『実験する小説たち』より》
中二階のオフィスへエスカレーターで戻る途中のサラリーマンがめぐらす超ミクロ的考察。靴紐が左右同時期に切れるのはなぜか。牛乳の容器が瓶からカートンに変わったときの素敵な衝撃。ミシン目を発明した人間への熱狂的賛辞等々、これまで誰も書こうとしなかった愉快ですごーく細かい小説。
「心変わり」ミシェル・ビュトール
『心変わり (岩波文庫)』
ミシェル・ビュトール,清水徹
作品社
《主人公に二人称代名詞「きみ」を採用した小説作品》
「きみ」は早朝の列車に乗り込む。ローマに住む愛人と離婚してパリで同棲しようと申し出るために。2人で探索したローマの遺跡群をはじめ、さまざまな楽しい期待や思い出が車中の「きみ」に浮ぶ。だが、旅の疲労とともに決意は暗く変わり… 1950年代フランス文壇に二人称の語りで颯爽と登場したルノードー賞受賞作。
「スプーンリバー詞花集」エドガー・リーマスターズ
『スプーンリバー詞花集』
エドガー・リーマスターズ,岸本茂和
朝日出版社
《212人の別々の登場人物が含まれており、彼らの人生、喪失、死に方について244の説明。多くの詩には相互参照が含まれている。》
アメリカ中西部の田舎町「スプーンリバー」。人びとが「丘」と呼ぶ、この町の共同墓地から244の墓碑銘が語りかける、人生のうらみつらみ、愛の喪失、政治的離反、セックスにがんじがらめの人間模様。1915年、アメリカでベストセラーとなって以来、今日まで読み継がれているマスターズの代表作、本邦初の完訳版。
「アフリカの印象」レーモン・ルーセル
『アフリカの印象 (平凡社ライブラリー)』
レーモン・ルーセル,岡谷公二
平凡社
《アナグラム(言葉遊び)。ブルトンが「現代における最も偉大な催眠術師」と呼んだルーセルの代表作。》
ブルトンが熱讃し、レリスが愛し、フーコーがその謎に魅せられた、言葉の錬金術師レーモン・ルーセル。言語遊戯に基づく独自の創作方法が生み出す驚異のイメージ群は、ひとの想像力を超える。-仔牛の肺臓製レールを辷る奴隷の彫像、大みみずがチターで奏でるハンガリー舞曲、一つの口で同時に四つの歌をうたう歌手、人取り遊びをする猫等々、熱帯アフリカを舞台に繰りひろげられる奇想の一大スペクタクルー。
「スローターハウス5」カート・ヴォネガット・ジュニア
『スローターハウス5 (ハヤカワ文庫 SF)』
カート・ヴォネガット・ジュニア,和田誠,伊藤典夫
早川書房
《ポストモダンのメタフィクション小説》
時の流れの呪縛から解き放たれたビリー・ピルグリムは、自分の生涯の未来と過去とを往来する、奇妙な時間旅行者になっていた。大富豪の娘と幸福な結婚生活を送り……異星人に誘拐されてトラルファマドール星の動物園に収容され……やがては第二次世界大戦でドイツ軍の捕虜となり、連合軍によるドレスデン無差別爆撃を受けるビリー。時間の迷路の果てに彼が見たものは何か? 著者自身の戦争体験をまじえた半自伝的長篇。
「アメリカ大陸のナチ文学」ロベルト・ボラーニョ
『アメリカ大陸のナチ文学 (ボラーニョ・コレクション)』
ロベルト・ボラーニョ,野谷文昭
白水社
《架空の文学事典。作家たちは架空の人物ではあるが、全員が実際の文学の世界に注意深く位置づけられている。》
極右の人種主義者、狂信的なファシストたちの奇妙な文学的営為。存在しない文学の存在しない作者たちの人生と作品に捧げられた、おぞましくもどこか切なく滑稽な「悪党列伝」。初期を代表する傑作。
「ウェルギリウスの死」ヘルマン・ブロッホ
『ウェルギリウスの死 上』
ヘルマン・ブロッホ,川村二郎
あいんしゅりっと
《ジョイスの影響を受けた意識の流れの手法を織り交ぜた重層的、複合的な文体で描き出した長編小説。》
20世紀ドイツ文学の記念碑的小説復刊!古代ローマの大詩人ウェルギリウスの死の直前の18時間を描いたヘルマン・ブロッホの畢生の大作。
詩人ウェルギリウスは、アテナイからローマへの帰国の途中ブルンディシウムの港で熱病に侵され、死の思いに耽り詩人としての自分に思い及び、やがて未完の大作『アエネーイス』についてある決断をすることに。現実と非現実、過去と現在と未来、意識と超意識が内的独白で融解していく。
1977年発行集英社版『世界の文学』に収録の同書名の復刊し、解説(原田義人)を追加。
気になる奇書、実験小説、不思議な本「ハード&ポップ」
「缶詰サーディンの謎」ステファン・テメルソン
『缶詰サーディンの謎』
ステファン・テメルソン,大久保譲
国書刊行会
《ドーキー・アーカイヴは、気になるので一覧表に》
チェスタトン×ウィトゲンシュタイン÷ゴンブローヴィチ=テメルソン
炸裂する黒いプードル爆弾、二人のダンシング・ガールズ、
天才少年の秘められた数式ノート、そして缶詰サーディンの謎……
ポーランドの前衛作家による奇妙奇天烈な哲学ノヴェル!★若島正+横山茂雄責任編集〈ドーキー・アーカイヴ〉第8回配本
〈意味による支配の打倒を標榜するこの珍妙無類なノンセンス哲学
SFミステリ奇想小説の行間を読んではいけない〉若島正
「裸のランチ」ウィリアム・バロウズ
『裸のランチ (河出文庫)』
ウィリアム・バロウズ, 鮎川信夫
河出書房新社
《カットアップ技法→テキストをランダムに切り刻んで新しいテキストに作り直す、偶然性の文学技法。》
《フォールドイン→直線的なテキストが印刷された異なる2枚の紙をそれぞれを2つに裁断し、くっつけてから、できたものを通して読む。》
デイヴィッド・クローネンバーグ監督
により映画化→4Kリマスター版
2025年5月8日、河出書房新社より
『裸のランチ (河出文庫)』
【改訳・新組版】が発売予定。
『Let Me Hang You』
ウイリアム・S・バロウズ
ギズモードさんによると、バロウズの『裸のランチ』朗読音声とのこと。
クローネンバーグが映画化したW・バロウズの代表作にして、ケルアックやギンズバーグなどビートニク文学の中でも最高峰作品、待望の文庫化。麻薬中毒の幻覚や混乱した超現実的イメージが全く前衛的な世界へ誘う。
「トリストラム・シャンディ」ローレンス・スターン
『トリストラム・シャンディ 上 (岩波文庫 赤)』
ローレンス・スターン,朱牟田夏雄
河出書房新社
《メタフィクション的な仕掛け、意識の流れの手法を先取り、荒唐無稽、奇抜そのもの、一貫したストーリーは欠如。真っ黒に塗り潰されたページも。夏目漱石によって初めて紹介され、『吾輩は猫である』に影響を与えたとされる。》
プルーストやジョイス、ウルフ等の“意識の流れ派”の源流とも先駆的作品ともいわれる本書だが、内容・形式ともに奇抜そのもので、話しは劈頭から脱線また脱線、独特の告白体を駆使して目まぐるしく移り変る連想の流れは、いつか一種不思議なユーモアの世界をつくり出し、我々はただ流れに身を任せ漂うばかりである。1760〜1767年。
「両方になる」アリ・スミス
『両方になる (新潮クレスト・ブックス)』
アリ・スミス,木原善彦
新潮社
《どちらから読むか?木原善彦『実験する小説たち』より》
15世紀イタリアに生きたルネサンスの画家と、母を失ったばかりの21世紀のイギリスの少女。二人の物語は時空を超えて響き合い、男と女、絵と下絵、事実と虚構の境界をも鮮やかに塗り替えていく。そして再読したとき、物語はまったく別の顔を見せるー。未だかつてない楽しさと驚きに満ちた長篇小説。コスタ賞、ベイリーズ賞、ゴールドスミス賞受賞作。
「耳ラッパ 幻の聖杯物語」レオノーラ・キャリントン
『耳ラッパ: 幻の聖杯物語』
レオノーラ・キャリントン,野中雅代
工作舎
《シュルレアリスム画家であり、幻想小説家でもあるレオノーラ・キャリントンによる代表作。》
風の老女マリアンは不思議な耳らっぱを手にして老人ホームへ。そこには個性豊かな仲間と奇想天外な冒険が待っていた。魂の遍歴を描く女性シュルレアリストが贈る、92歳のアリスの幻想譚。
「ゴーレム100」「虎よ、虎よ!」「破壊された男」アルフレッド・ベスター
『ゴーレム100』
アルフレッド・べスター,渡辺佐智江
国書刊行会
『虎よ、虎よ! (ハヤカワ文庫SF)』
アルフレッド・べスター,中田耕治
早川書房
『破壊された男 (ハヤカワ文庫SF)』
アルフレッド・べスター,伊藤典夫
早川書房
《タイポグラフィほか、右2つの装画は寺田克也さん》
ベスター、最強にして最狂の伝説的長篇。未来都市で召喚された新種の悪魔ゴーレム100をめぐる魂と人類の生存をかけた死闘――軽妙な語り口とタイポグラフィ遊戯が渾然一体となったベスターズ・ベスト! 解説・山形浩生

ちなみに、作品社noteの鯨井久志さんの連載「サイエンス・フィクションのなかの言語実験たち」の第2回は、アルフレッド・ベスター。タイポグラフィの翻訳の違い、すごく面白い。
「10:04」ベン・ラーナー
『10:04 (エクス・リブリス)』
ベン・ラーナー,木原善彦
白水社
《オートフィクションとメタフィクション》
《オースター、フランゼンが絶賛する期待の若手 小説の執筆に挑む詩人の、美しく愉快な語り》
「全ては今と変わらない――ただほんの少し違うだけで」
主人公の詩人を通じて語られる、「世界が組み変わる」いくつもの瞬間。身体感覚は失われ、過去と未来、事実と虚構(フィクション)……あらゆる境界が揺らめきだす。
オースター、フランゼンが才能を評価する米の若手作家による「遊歩(フラヌール)」小説。
「失われたスクラップブック」エヴァン・ダーラ
『失われたスクラップブック』
エヴァン・ダーラ,木原善彦
幻戯書房
《 ピリオドなしのポストポストモダン作家、木原善彦『実験する小説たち』より》
“ポスト・ギャディス”と目され、リチャード・パワーズが正体とも噂された、トマス・ピンチョン以上に謎めく、ポスト・ポストモダン作家エヴァン・ダーラ――“読まれざる傑作”として話題となった、ピリオドなしの、無数にして無名の語りで綴られる大長編の奇書がついに本邦初訳で登場!
「チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク」ジョン・スラデック
『チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク (竹書房文庫)』
ジョン・スラデック,鯨井久志
竹書房
《『チク・タク』×10、英国SF協会賞受賞作のロボット・ピカレスク》
もはやロボットを使うことは当たりまえになった。家事から医療、さらにロボットの製造まですべての分野でロボットが使役されている。人間の安全のためにロボットたちにはロボット三原則を遵守させる「アシモフ回路」が組み込まれていた。だが、チク・タクにはその回路が作動していなかった。
ペンキ塗りをしていたチク・タクは少女を殺し、その血で壁に絵を描く。おかしなことにその壁画が美術評論家に評価され、チク・タクは芸術家のロボットとして世の注目を集める。使役から解放され金を手に入れたチク・タクは、人間への“実験”(殺人、強盗、扇動などなど)を開始するー。奇才スラデックによる英国SF協会賞受賞作のロボット・ピカレスク。
SFにおける新しい波
ニュー・ウェーブ (SF) – Wikipedia
ニューウェーブは1964年にマイクル・ムアコックが編集長となった『ニュー・ワールズ』誌で始まったそう。代表的な作家はJ・G・バラード、ハーラン・エリスン、トマス・M・ディッシュなど。ジョン・スラデックも活躍。
「ハザール辞典」ミロラド・パヴィチ
『ハザール事典 女性版』
『ハザール事典 男性版』
ミロラド・パヴィチ,工藤幸雄
東京創元社
《ハザール人についての事典の形をとった小説。この小説で描かれている人物や出来事のほとんどは完全に架空のもの。「男性版」と「女性版」がある。》
歴史上から姿を消した謎の民族ハザールに関する事典の形をとった前代未聞の物語集。キリスト教、イスラーム教、ユダヤ教の交錯する45項目は、通して読むもよし、関連項目の拾い読みもよし、たまたま開いた項目を一つ読むもよし、読者の意のまま。男女両版の違いはわずか10行。どちらの版を選ばれますか?
「異常【アノマリー】」エルヴェ・ル・テリエ
『異常【アノマリー】 (ハヤカワepi文庫)』
エルヴェ・ル・テリエ,加藤かおり
早川書房
《フランスの潜在的文学工房ウリポの四代目会長、エルヴェ・ル・テリエよる小説内小説。》
殺し屋、売れない作家、軍人の妻、癌を告知された男。彼らが乗り合わせたのは偶然か、誰かの選択か。エールフランス006便がニューヨークに向けて降下をはじめたとき、異常な乱気流に巻きこまれる。約三カ月後、ニューヨーク行きのエールフランス006便。そこには彼らがいた。誰一人欠けることなく、自らの行き先を知ることなく。巧みなストーリーテリングと、人生をめぐる洞察が国際的な称賛をうける長篇小説。
「皆勤の徒」 酉島伝法
『皆勤の徒 (創元SF文庫)』
酉島伝法
東京創元社
《造語だらけの第2回創元SF短編賞受賞作》
【第34回日本SF大賞受賞】
巨大な鉄柱が支える甲板の上に、その“会社”は建っていた。語り手はそこで日々、異様な有機生命体を素材に商品を作る。社長は“人間”と呼ばれる不定形の大型生物だ。
甲板上と、その周りの泥土の海だけが語り手の世界であり、日々の勤めは平穏ではない──第2回創元SF短編賞受賞の表題作に始まる全4編。文庫化に際し、著者によるイラストを5点追加。本文イラスト=酉島伝法/解説=大森望

『シーシュポスの道』の前に、ニコルソン・ベイカーの『中二階』、ウィリアム・S・バローズの『裸のランチ』、アンブローズ・ビアスの『悪魔の辞書』を合わせたような、注釈の上に注釈を重ねたシュールな辞書小説を書いてみたのですが、その手法が『シーシュポスの道』の世界を描くのに役立ちました。(Google翻訳)
Weird Fiction Reviewに掲載された、デイヴィッド・デイヴィスさんによるインタビュー(英語)に、こう書いてあったけれど、酉島伝法さんのブログで読める注釈小説「棺詰工場のシーラカンス」のことかな。名前を挙げている本も、みんなこのページの一覧表に載ってる。
「棺詰工場のシーラカンス」
注釈の注釈による超現実詩小説
「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」ジョナサン・サフラン・フォア
『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』
ジョナサン・サフラン・フォア,近藤隆文
NHK出版
《ビジュアル・ライティング、木原善彦『実験する小説たち』より》
歴史的な悲劇から、
希望に溢れる神話が生まれた─全米ベストセラー、人気若手作家による9・ 11文学の金字塔、ついに邦訳。9歳の少年オスカーは、ある鍵にぴったり合う錠前を見つけるために、ママには内緒でニューヨークじゅうを探しまわっている。その謎の鍵は、あの日に死んだパパのものだった……。全米が笑い、感動して、心の奥深くから癒された、時代の悲劇と再生の物語。ヴィジュアル・ライティングの手法で編まれる新しい読書体験も話題に。
「重力の虹 (上)」トマス・ピンチョン
『重力の虹(上)』
トマス・ピンチョン,佐藤良明
新潮社
《400人以上の登場人物が登場し、互いに交差し絡み合う多くの異なる物語の筋が絡み合う。》
カテゴリーなど飛び越えて、物理数学工学などほんの序の口、神話に宗教、経済学に心理学、革命に暴力に陰謀史観、セックス・ドラッグ・ロックンロールのカウンター・カルチャーに女装や男色、ボンデージ、フェティッシュ鞭にロリータ超能力やら降霊術、自動書記に怪盗スパイに海賊アナキスト…天才作家の百科全書的な知の坩堝から立ち昇る、「虹」の彼方には何が見えるのかー?
「99人の最終電車」井上夢人
「99人の最終電車」
「最初のページ」や「最後のページ」がない、井上夢人さんによるハイパーテキスト小説。8年ほどかけて完結。
ちなみに、実験小説ということで言うと、井上夢人さんの『もつれっぱなし』は、対話体小説。
「…あたしね」「うん」「宇宙人みつけたの」「…………」。男女の会話だけで構成される6篇の連作短篇集。宇宙人、四十四年後、呪い、狼男、幽霊、嘘。厄介な話を証明しようとするものの、ことごとく男女の会話はもつれにもつれ――。
「哀れなるものたち」アラスター・グレイ
『哀れなるものたち (ハヤカワepi文庫)』
アラスター・グレイ,高橋和久
早川書房
《書簡体小説、ゴシックホラー小説『フランケンシュタイン』をポストモダンに再解釈した物語》
エマ・ストーン主演で映画化
『哀れなるものたち』
19世紀末、グラスゴー。異端の科学者バクスターは驚異の手術に成功する。身投げした女性に胎児の脳を移植して蘇生させたのだ。その女性――成熟した肉体と無垢な精神をもつベラは、バクスターの友人マッキャンドルスら男たちを惹きつける。彼らの思いをよそに、ベラは旧弊な街を飛び出し、旅するなかで急速な成長をとげる。そのとき、彼女が知った真実とは? 知的な仕掛けと奇想によって甦るゴシック小説の傑作。映画化原作
「青い脂」ウラジーミル・ソローキン
『青い脂 (河出文庫)』
ウラジーミル・ソローキン,望月哲男,松下隆志
河出書房新社
《ロシア文豪クローン、造語まみれの文体。》
7体の文学クローンの身体に溜まる謎の物質「青脂」。スターリンとヒトラーがヨーロッパを二分する一九五四年のモスクワに、その物体が送りこまれる。巨頭たちによる大争奪戦の後、エロ・グロ・ナンセンスな造語に満ちた驚異の物語は、究極の大団円を迎える。20世紀末に誕生した世界文学の新たな金字塔!!
「ソヴィエト・ファンタスチカの歴史」ルスタム・カーツ
『ソヴィエト・ファンタスチカの歴史』
ルスタム・カーツ(ロマン・アルビトマン),梅村博昭
共和国
《学術書のような体裁の偽書。反革命的メタメタフィクション。》
「 月の科学的・軍事的利用は、プロレタリア国家の今後の課題のひとつである」──スターリン
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革命後のソ連文学史は、ファンタスチカ(SF+幻想文学)による権力闘争の歴史だった! 粛清、雪どけ、そしてペレストロイカまで。本国ロシアでは社会学者や報道関係者が「事実」として引用した、教科書にぜったい載ってはならない反革命的メタメタフィクション、まさかの日本語版刊行!
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・マヤコフスキーは文学グループ〈赤い月面人〉の同人だった。
・スターリンが愛した言葉は「月を制するものが全世界を制する」。
・ソルジェニーツィンの『イワン・デニーソヴィッチ』は月面開発の物語。
・1968 年の「プラハの春」はアポロ計画がきっかけで勃発した。
・『雨月物語』の上田秋成がソ連の「要注意人物」に認定される。
……そのほか、見てきたような〈世紀の発見〉を多数収録!
「死刑宣告」萩原恭次郎
『死刑宣告』
萩原恭次郎
2004/04/15
日本図書センター
《タイポグラフィ、アバンギャルドな詩集。萩原恭次郎は、岡本潤や壺井繁治らと詩誌「赤と黒」を創刊、また前衛美術雑誌「MAVO」(マヴォ)を村山知義らとともに創刊。》
装甲弾機、凸凹の皺、夏の日の恋、踏切り番の薔薇の花、静物は欠伸をする、女の唇は虚偽に割れてゐるなど、詩83篇を収録した詩集。大正14年長隆舎書店刊の初版本を底本に、デザインを模した装丁で再刊。
死刑宣告 – Wikisource
↑こちらで全文読めます。
でも、文字の向きなどは再現できない。
露台より初夏街上を見る – Google 画像検索
回転したような文字も、記号も
かなりアバンギャルド
「死刑宣告」より – Asymptote(日本語)
from Death Sentence – Asymptote(英語)
Hagiwara Kyojiro
英語版も個性的。翻訳されたSho Sugitaさんは、
萩原恭次郎の友人、平戸廉吉の詩集の
翻訳もされてる。
山崎佳代子『ダダと詩人たち』|web太陽
萩原恭次郎『死刑宣告』を読む、『赤と黒』から『死刑宣告』へほか
スーパーグローバル大学創成支援「Waseda Ocean 構想」
イベント報告:Dr. Kevin Michael Smith講演「The Sound of Sight: Vision and Dissonance in Japanese Futurist Poetry/目の響:日本未来派の詩における視覚と不協和音」
大正11年に上京し、岡本潤や壺井繁治らと詩誌「赤と黒」を創刊、また前衛美術雑誌「MAVO」(マヴォ)を村山知義らとともに創刊し、中心的な人物として活動を行った。
「テラ・ノストラ」カルロス・フエンテス
『テラ・ノストラ (フィクションの楽しみ)』
カルロス・フエンテス,本田誠二
水声社
《森見登美彦が選んだ究極の「奇書」55冊》
スペイン王家のフェリペ2世や狂女フアナなどの実在の人物たちと、ドン・キホーテやドン・フアンなどの架空の登場人物たちを斬新な手法で錯綜させ、イベロアメリカ全体に影響を及ぼす征服者の悲劇を、旧世界・新世界・別世界の3部構成で物語る世紀の叙事詩!メキシコを代表する作家が残した畢生の大作、待望の完訳!
「ウィトゲンシュタインの愛人」デイヴィッド・マークソン
『ウィトゲンシュタインの愛人』
デイヴィッド・マークソン,木原善彦
国書刊行会
《アメリカ実験小説の最高到達点》
地上から人が消え、最後の一人として生き残ったケイト。彼女はアメリカのとある海辺の家で暮らしながら、終末世界での日常生活のこと、日々考えたとりとめのないこと、家族と暮らした過去のこと、生存者を探しながら放置された自動車を乗り継いで世界中の美術館を旅して訪ねたこと、ギリシアを訪ねて神話世界に思いを巡らせたことなどを、タイプライターで書き続ける。
「ユビュ王」アルフレッド・ジャリ
『ユビュ王』
アルフレッド・ジャリ,竹内健
現代思潮新社
《「merdre(くそったれ)」という語で始まる破壊的・前衛的な作品。不条理演劇の先駆とされる。》
「糞ッタレ!!」――極附ユビュ登場。御存知ユビュ親爺のお目見得。世紀末から今世紀劈頭にかけて響き渡った異才ジャリの呪詛と痛罵と哄笑の渦巻。図版多数収載。装丁:赤瀬川原平
「アベル・サンチェス」ミゲル・デ・ウナムーノ
『アベル・サンチェス (ルリユール叢書)』
ミゲル・デ・ウナムーノ,富田広樹
幻戯書房
《対話体小説》
「永遠に憎悪するために、永遠に生きるのだと考えて私は戦慄した。それは地獄であった。」
20世紀スペインを代表する情熱の哲学者が
現代に甦らせたカインとアベルの物語。
魂の闇の臨床記録。
日本の推理小説三大奇書
「ドグラ・マグラ」夢野久作
『ドグラ・マグラ(上) (角川文庫)』
夢野久作
1976/10/13
KADOKAWA
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昭和10年1月、書き下ろし作品として松柏館書店から自費出版された。〈日本一幻魔怪奇の本格探偵小説〉〈日本探偵小説界の最高峰〉〈幻怪、妖麗、グロテスク、エロテイシズムの極〉という宣伝文句は、読書界の大きな話題を呼んだ。
常人では考えられぬ余りに奇抜な内容のため、毀誉褒貶が相半ばしている。〈これを書くために生きてきた〉と著者みずから語り、十余年の歳月をかけて完成された内容は、狂人の書いた推理小説という異常な状況設定の中に、著者の思想、知識を集大成する。
「黒死館殺人事件」小栗虫太郎
『黒死館殺人事件・完全犯罪 (角川文庫)』
小栗虫太郎
2023/01/24
KADOKAWA
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日本3大ミステリの一つにあげられる傑作!
黒死館と呼ばれる降矢木家の城館は、過去に変死事件が続いた不吉な館として知られていた。数か月前、当主の算哲までもが不可解な自殺を遂げ、その後も屋敷の住人が次々と襲われてゆく。博覧強記の探偵、法水麟太郎は、神学、呪術、占星術、数学、化学、文学などあらゆる知識を縦横に駆使して事件を解決に導いてゆく――
(「黒死館殺人事件」)。日本三大奇書の一つと言われる本作のほか、小栗虫太郎名義でのデビュー作「完全犯罪」も収録。
「虚無への供物」中井英夫
『虚無への供物』
中井英夫
2004/04/15
講談社
昭和二十九年の洞爺丸沈没事故で両親を失った蒼司(そうじ)・紅司(こうじ)兄弟、従弟の藍司(あいじ)らのいる氷沼(ひぬま)家に、さらなる不幸が襲う。密室状態の風呂場で紅司が死んだのだ。そして叔父の橙二郎(とうじろう)もガスで絶命――殺人、事故?駆け出し歌手・奈々村久生(ななむらひさお)らの推理合戦が始まった。
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