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- 「シガレット」ハリー・マシューズ
- 「ウィトゲンシュタインの愛人」デイヴィッド・マークソン
- 「愚か者同盟」ジョン・ケネディ・トゥール
- 「10:04」ベン・ラーナー
- 「私はゼブラ」アザリーン・ヴァンデアフリートオルーミ
- 「民のいない神」ハリ・クンズル
- 「J.G.バラードの千年王国ユーザーズガイド」J・G・バラード
- もっと木原善彦さんの本
- 木原善彦さんの読みもの、ラジオ
木原善彦さんの本と翻訳作品の一覧
作品名 | 作家名 | 翻訳者名 | 発売日 |
---|---|---|---|
失われたスクラップブック (ルリユール叢書) | エヴァン・ダーラ | 幻戯書房 | 2024/11/26 |
終わりのない日々 (エクス・リブリス) | セバスチャン・バリー | 白水社 | 2023/06/02 |
惑う星 | リチャード・パワーズ | 新潮社 | 2022/11/30 |
愚か者同盟 | ジョン・ケネディ・トゥール | 国書刊行会 | 2022/07/28 |
フランキスシュタイン : ある愛の物語 | ジャネット・ウィンターソン | 河出書房新社 | 2022/07/23 |
夏 (新潮クレスト・ブックス) | アリ・スミス | 新潮社 | 2022/06/30 |
春 (新潮クレスト・ブックス) | アリ・スミス | 新潮社 | 2022/03/28 |
冬 (新潮クレスト・ブックス) | アリ・スミス | 新潮社 | 2021/10/29 |
地上で僕らはつかの間きらめく (新潮クレスト・ブックス) | オーシャン・ヴオン | 新潮社 | 2021/08/26 |
私はゼブラ (エクス・リブリス) | アザリーン・ヴァンデアフリート オルーミ | 白水社 | 2020/09/26 |
ウィトゲンシュタインの愛人 | デイヴィッド・マークソン | 国書刊行会 | 2020/07/17 |
秋 (新潮クレスト・ブックス) | アリ・スミス | 新潮社 | 2020/03/25 |
オーバーストーリー | リチャード・パワーズ | 新潮社 | 2019/10/30 |
カーペンターズ・ゴシック | ウィリアム・ギャディス | 国書刊行会 | 2019/09/26 |
JR | ウィリアム・ギャディス | 国書刊行会 | 2018/12/21 |
両方になる (新潮クレスト・ブックス) | アリ・スミス | 新潮社 | 2018/09/27 |
10:04 (エクス・リブリス) | ベン・ラーナー | 白水社 | 2017/02/22 |
実験する小説たち 物語るとは別の仕方で | 木原善彦 | 彩流社 | 2017/01/23 |
オルフェオ | リチャード・パワーズ | 新潮社 | 2015/07/31 |
民のいない神 (エクス・リブリス) | ハリ・クンズル | 白水社 | 2015/02/13 |
これは小説ではない (フィクションの楽しみ) | デイヴィッド・マークソン | 水声社 | 2013/09/30 |
シガレット (エクス・リブリス) | ハリー・マシューズ | 白水社 | 2013/06/13 |
幸福の遺伝子 | リチャード・パワーズ | 新潮社 | 2013/04/26 |
ピンチョンの『逆光』を読む 空間と時間、光と闇 | 木原善彦 | 世界思想社 | 2011/06/22 |
逆光 (上) | トマス・ピンチョン | 新潮社 | 2010/09/30 |
逆光 (下) | トマス・ピンチョン | 新潮社 | 2010/09/30 |
UFOとポストモダン (平凡社新書) | 木原善彦 | 平凡社 | 2006/02/11 |
J.G.バラードの千年王国ユーザーズガイド | J・G・バラード | 白揚社 | 2003/06/01 |
トマス・ピンチョン 無政府主義的奇跡の宇宙 | 木原善彦 | 京都大学学術出版会 | 2001/01/01 |
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木原善彦さんのこと
翻訳家・木原善彦さんのこと。よく名前をお見かけしてはいたけれど、じっくりと向き合ったのは、姉妹ブログでアリ・スミスのまとめページを作ってから。彼女の四季四部作の表紙が可愛らしかったのが、そのページを作った理由。だから私の中では完全に、木原善彦さんは「アリ・スミスの人」だった。
このブログを始めて1ヶ月くらいたった頃、ひとりで海外文学の新刊をチェックできるようにと作ったページを、ある翻訳家さんにリポストしていただく機会があって、その流れで何人かの方にも、コメント込みでリポストしていただいた(北烏山編集室さん、ここで出会っていたのか)。そして、その中に木原善彦さんもいた。そこにつけられていたコメントは↓というもの。
これはありがたい!
※なお「乙女」なのは管理者さんであって、海外文学新刊をチェックしたい人なら誰でもきっと重宝すると思います。木原善彦さんのXより
ブログの名前に乙女とつけたことについては、話すと長くなりそうなので割愛するとして、表紙が素敵な本を集めているだけなんですよと弁明し、そんなコメントをするあなたが一番乙女な表紙の本を出しているのに何を言っているんですか。と、そのときはそう思ったものだ(まあ、乙女じゃない海外文学もあるよ、言いたかっただけなのだろうが)。
結論から言うと、木原善彦さんは全然乙女じゃなかった(ご本人が乙女かどうかは未確認)。アリ・スミスの本のような、水沢そらさんのメルヘンチックな表紙はかなりレアだったのだ。ブックデザインに詳しい方ならわかると思うが、国書刊行会から黒い水戸部功デザインの本を出すような人、しかも940ページの鈍器本だ。
翻訳した作家の並びもすごい。トマス・ピンチョン、リチャード・パワーズ、ウィリアム・ギャディス、セバスチャン・バリー、ハリー・マシューズ…そして、エヴァン・ダーラ。オーシャン・ヴオンの表紙は素敵だけれど、他はだいぶ手強そうに見える。
でも、本の厚さやデザインに怯む気持ちを押し込めて、説明文やレビュー、書評なんかを読んでみると、とても面白そうではあるの。
「一軒の古いゴシック式洋館を舞台に」(『カーペンターズ・ゴシック』)とか、「遊歩(フラヌール)」小説(『10:04』)とか、「11歳の少年JRが巨大コングロマリットを立ち上げて株式市場に参入」(『JR』)とか、「空想科学冒険少年スパイ超能力探偵SM陰謀ミステリ歴史」(『逆光』)とか。
中でも気になったのが、ジャネット・ウィンターソンの『フランキスシュタイン ある愛の物語』。幼い子を亡くしたばかりで生命の禁忌に触れる怪物を夢想する、メアリー・シェリー(フランケンシュタイン作者)の時代と、若きトランスジェンダーの医師ライ・シェリー、そして気鋭の人工知能研究者ヴィクター・スタインが暮らす現代の英国が交互に進むというお話。
これは愉快で真面目な、時空を超えた大騒ぎ。
──マーガレット・アトウッド
ジャネット・ウィンターソンさん自身は、2019年のブッカー賞ロングリストに選出されたような人。だからテーマとしては真面目だけれど、それを重く感じさせない軽妙さと面白さ、トランスするような感覚になる読み心地が魅力みたい。マーガレット・アトウッドさんも、↑こう言っているし、これはお気に入り入り決定だ。
そして新刊、エヴァン・ダーラの『失われたスクラップブック』。ルリユール叢書おなじみの表紙の作家イラストには目隠し。訳者の木原善彦さんのお話によると、《本名、年齢ともに不詳のアメリカの作家》とのこと。
木原善彦さんの『実験する小説たち』(←この本も面白そう)でも紹介されていて、楽しみにしていた人も多いと思われるこの作品。「ポスト・ギャディスと目される謎の作家」「ピリオドなし」「大長編の奇書」とキーワードだけでも、どんな本だ、とページをめくってみたくなる。
実はこのエヴァン・ダーラさん、リチャード・パワーズが正体ではないかと噂されたことがあるらしい。木原善彦さんの訳者解題には、このように書いてある。
2012年、私は『幸福の遺伝子』を翻訳する際、作者であるパワーズに質問を送ったのだが、そのメールに「あなたが賛辞を寄せていたエヴァン・ダーラの『失われたスクラップブック』はとても素晴らしかった」という一言を添えたところ、彼からの返事の中に「本人にそう伝えておきます」という言葉があった。
これ、リチャード・パワーズ自身が別名義で書いているのに、「本人にそう伝えておきます」と言っているとしたら…かなり面白い。
初めは、謎のポスト・ポスト・モダン作家の作品として読む。そして二度目は、リチャード・パワーズの本と併読して、いろいろ考えを巡らせながら。そんな読み方をしてみるのも楽しそうだ。
実験小説って聞くとワクワクする♪という人だけでなく、なんかコワい……、何を読んだらいいのかわからない、食わず嫌い、というあなたにも贈ります。
【追記】木原善彦さん著の『実験する小説たち』は、読みたい本を増やして困らせる、ブックガイドとしても読める本。エヴァン・ダーラ『失われたスクラップブック』やジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』、円城塔『これはペンです』など16作品の実験小説の読みどころのほか、各章ごとのタイプ別におすすめ作品リストも掲載。
楽天ブックスでは、この16作品の実験小説の作品名が並んだ目次を公開。Amazonでは、Kindleのサンプルがたっぷり読めるようになっているので、さっそく私も読んでみます。
木原善彦さんの新刊
「失われたスクラップブック」エヴァン・ダーラ
『失われたスクラップブック』
エヴァン・ダーラ,木原善彦
2024/11/26
幻戯書房
《 584ページ 》
“ポスト・ギャディス”と目され、リチャード・パワーズが正体とも噂された、トマス・ピンチョン以上に謎めく、ポスト・ポストモダン作家エヴァン・ダーラ――“読まれざる傑作”として話題となった、ピリオドなしの、無数にして無名の語りで綴られる大長編の奇書がついに本邦初訳で登場!
幻戯書房編集部
エヴァン・ダーラ『失われたスクラップブック』訳者解題(text by 木原善彦)
幻戯書房NEWS
【装幀確定】11月の新刊2〈ルリユール叢書〉にいよいよエヴァン・ダーラ『失われたスクラップブック』が登場です
YouTube「アサヒ 音楽と文学は色ガラス」
正体不明のポスト・ポストモダン作家が描くエコフィクションの傑作(約39分)
Bandit Magazine
SNSを予見する「散漫さ」――Evan Daraの『The Lost Scrapbook』
Evan Dara – Wikipedia(英語)
The Lost Scrapbook – Wikipedia(英語)
「ジェイムズ」パーシヴァル・エヴェレット
『James: Shortlisted for the Booker Prize 2024 (English Edition)』
(Kindle版/英語)
Percival Everett
2024年全米図書賞フィクション部門受賞作
こちらの本の翻訳が、2025年刊行予定。
Percival Everett – Wikipedia(英語)
Amazon Prime Video
「アメリカン・フィクション」
パーシヴァル・エヴェレットの小説『イレイジャー』が原作。主演ジェフリー・ライト、監督・脚本はコード・ジェファーソン。
Youtube「Late Night with Seth Meyers」
Percival Everett Explains Why He Hopes His Book James Gets Banned(英語/約8分)
テレビ番組に出演したパーシヴァル・エヴェレットさん。
「終わりのない日々」セバスチャン・バリー
『終わりのない日々 (エクス・リブリス)』
セバスチャン・バリー,木原善彦
2023/06/02
白水社
語り手は、十九世紀半ばの大飢饉に陥ったアイルランドで家族を失い、命からがらアメリカ大陸に渡ってきたトマス・マクナルティ。頼るもののない広大な国でトマスを孤独から救ったのは、同じ年頃の宿無しの少年ジョン・コールだった。美しい顔立ちに幼さの残る二人は、ミズーリ州の鉱山町にある酒場で、女装をして鉱夫たちのダンスの相手をする仕事を見つける。初めてドレスに身を包んだとき、トマスは生まれ変わったような不思議な解放感を覚える。やがて体つきが男っぽくなると、二人は食いっぱぐれのない軍隊に入り、先住民との戦いや南北戦争をともに戦っていくーー。
木原善彦さんの気になる一冊
「実験する小説たち」木原善彦
『実験する小説たち』
木原善彦
2017/01/23
彩流社
気鋭のピンチョン研究者にして現代アメリカ小説の翻訳も精力的に手がける“目利き”がいざなう“実験小説”ガイド!
登場人物がいて、順序だったあらすじがあって……といういわゆる「普通の小説」の枠組みや手法をあえて壊したり、ずらしたり、逸脱したりしながら、小説のさらなる表現の可能性を広げるために「創作上の実験的な試み」がなされた「実験小説」。
実験小説って聞くとワクワクする♪という人だけでなく、なんかコワい……、何を読んだらいいのかわからない、食わず嫌い、というあなたにも贈ります。
実験小説のさまざまなタイプを切り口に、主な作品の読みどころと、一連のおすすめ作品リストを掲載。実験小説に特化した初のガイド本を手に、めくるめく実験小説の世界へ!
木原善彦さんの翻訳作品
「秋」アリ・スミス
『秋 (新潮クレスト・ブックス)』
アリ・スミス,木原善彦
2020/03/25
新潮社
【刊行順だと秋→冬→春→夏】
分断が進む世界で小説に何ができるのか。新時代の希望を描く「EU離脱後」小説。EU離脱に揺れるイギリスのとある施設で眠る謎の老人と、彼を見舞う若い美術史家の女。かつて隣人同士だった二人の人生は、六〇年代に早世した女性アーティストを介して再び交錯し――不協和音が響く現代に、生きることの意味を改めて問いかける。『両方になる』で読者を驚かせた著者による、奇想とユーモアに満ちた話題作。
「冬」アリ・スミス
『冬 (新潮クレスト・ブックス)』
アリ・スミス,木原善彦
2021/10/29
新潮社
不協和音の時代に生まれるメロディを描く、21世紀のクリスマス・キャロル。年末の帰省で母に紹介するはずだった恋人と大喧嘩した男が、代わりに移民の女性を連れてきた。だが、実業家を引退し孤独に暮らすその母は、すっかり塞ぎ込んでいる。そこで息子は、母とは正反対の性格の伯母を呼び寄せた。水と油の人々の化学反応は、クリスマスをどう彩るのか。英のEU離脱が背景の「四季四部作」冬篇。
「春」アリ・スミス
『春 (新潮クレスト・ブックス)』
アリ・スミス,木原善彦
2022/03/28
新潮社
いくら国境が隔てても、人の心はそれを飛び越える。分断を描く四部作の春篇。一人は、長年相棒だった脚本家を喪い悲嘆に暮れる老演出家。もう一人は、移民収容施設で心を殺して働く若い女。絶望を抱え、それぞれ北の国にたどり着いた二人は、不思議な力を持つ少女との出会いを通じ、人生の新しい扉を開ける。EU離脱に揺れ移民排斥が進むイギリスを描く、奇想溢れるシリーズ第三作。
「夏」アリ・スミス
『夏 (新潮クレスト・ブックス)』
アリ・スミス,木原善彦
2022/06/30
新潮社
ブレグジットからパンデミックへ。苦悩深まる世界の新たな希望を描く最終巻。私が自分の人生の主人公だとしても、私たちはこの星で生きる資格がない。感染症の流行が始まった英国で、環境破壊に心を痛める少女が海岸で出会ったのは、母の形見の丸い石を届ける途中の男とその相棒。少女も家族と一緒に彼らの旅に加わりーーEU離脱をきっかけに始まった不協和音だらけの交響曲、祈りに満ちた最終楽章。
「両方になる」アリ・スミス
『両方になる (新潮クレスト・ブックス)』
アリ・スミス,木原善彦
2018/09/27
新潮社
15世紀イタリアに生きたルネサンスの画家と、母を失ったばかりの21世紀のイギリスの少女。二人の物語は時空を超えて響き合い、男と女、絵と下絵、事実と虚構の境界をも鮮やかに塗り替えていく。そして再読したとき、物語はまったく別の顔を見せるー。未だかつてない楽しさと驚きに満ちた長篇小説。コスタ賞、ベイリーズ賞、ゴールドスミス賞受賞作。
「地上で僕らはつかの間きらめく」オーシャン・ヴオン
『地上で僕らはつかの間きらめく (新潮クレスト・ブックス)』
オーシャン・ヴオン,木原善彦
2021/08/26
新潮社
読み書きできない母に綴った僕の真実ーー。ベトナム系詩人の才能迸る初小説。幼い僕を連れ、母は祖母と共に太平洋を渡った。戦争に人生を狂わされた祖母と、新天地アメリカでの生活に翻弄される母。二人の苦難は少年の僕にも影を落とすが、ある年上の少年との出会いによって、僕は初めて、生きる歓びを知るーー。アメリカ文学の新たな才能による痛みと美しさに満ちた自伝的長篇。
「フランキスシュタイン」ジャネット・ウィンターソン
『フランキスシュタイン : ある愛の物語』
ジャネット・ウィンターソン,木原善彦
2022/07/23
河出書房新社
1816年、レマン湖畔。バイロン卿の別荘では、5人の男女がそれぞれ怪奇譚を披露することになる。そこで子を亡くしたばかりのメアリー・シェリーは、生命の禁忌に触れる怪物を夢想しはじめた。いっぽう現代の英国。若きトランスジェンダーの医師ライ・シェリーは、人体冷凍保存施設で出会った気鋭の人工知能研究者ヴィクター・スタインと関係を持つ。しかし謎多き彼は、秘密裏に危うい研究を進めていて……。繰り返される人類の見果てぬ夢が叶う日はくるのか? 混沌と狂騒の時代におくる、最も危険なラブストーリー。
「逆光 (上)」トマス・ピンチョン
『逆光 (上)』
トマス・ピンチョン,木原善彦
2010/09/30
新潮社
《 862ページ 》
フロンティア消滅直後の19世紀末アメリカ。飛び立つは謎の飛行船“不都号”。文学史にそびえる金字塔『重力の虹』を嗣ぐ著者最大最長の長篇、空想科学冒険少年スパイ超能力探偵SM陰謀ミステリ歴史。
「逆光 (下)」トマス・ピンチョン
『逆光 (下)』
トマス・ピンチョン,木原善彦
2010/09/30
新潮社
《 845ページ 》
“侵入者”は実在していた。歪み始める時間と空間、儚き者たちの恋と運命。“不都号”の面々は自分たちの任務に疑問を抱き始める。トラヴァース家の長兄リーフは賭博師として流浪を続け、次兄フランクはメキシコ革命に身を投じた。末っ子キットはヴァイブ家の元を去り大西洋を渡る。そして唯一の娘「嵐の子」レイクは…。膨大に登場する、愚かしくも滑稽な人物の数々。その愛しさと哀しさ。もつれ合う彼らの生は、やがて訪れる驚愕の一瞬を目撃すべく、急速に収斂してゆくー。歴史小説にしてSF、恋愛小説にしてポルノ、テロ小説にして大河家族小説。綿密な史実の積み重ねが現代を照射し、荒唐無稽な挿話が涙を誘う。文学の垣根を超える貪欲さと自由さが(改めて)世界中の絶賛と茫然を呼んだ空前絶後の巨篇、世界への祈り。
「JR」ウィリアム・ギャディス
『JR』
ウィリアム・ギャディス,木原善彦
2018/12/21
国書刊行会
第27回全米図書賞
第5回日本翻訳大賞受賞作
《 940ページ 》
11歳の少年JRが巨大コングロマリットを立ち上げて株式市場に参入、世界経済に大波乱を巻き起こす――!?
ミステリ作家・殊能将之も熱讃した、世界文学史上の超弩級最高傑作×爆笑必至の金融ブラックコメディがついに奇跡的邦訳!!
第27回全米図書賞受賞作。
「カーペンターズ・ゴシック」ウィリアム・ギャディス
『カーペンターズ・ゴシック』
ウィリアム・ギャディス,木原善彦
2019/09/26
国書刊行会
《 380ページ 》
今は亡き大鉱山主の娘エリザベス・ブースは、ハドソン河畔にある古いカーペンター・ゴシック様式の屋敷に、夫ポールと暮らしていた。山師気質で粗暴なポールは、メディアコンサルタントとしての成功を目論見、いくつもの胡散臭い事業の立ち上げを画策し動き回っている。ひっきりなしに屋敷にかかってくるいくつもの電話、そして訪ねてくる怪しい男たち。彼らが交わす錯綜した会話の断片からは、CIA、FBI、放送局、種子販売会社、鉱山開発会社などの影が垣間見え、やがて巨大利権をめぐる遠大な世界的陰謀へと話は広がり、エリザベス自身もそこで起こる事件へと巻き込まれていく…全米図書賞受賞『JR』の作家ギャディスによる、一軒の屋敷を舞台に繰り広げられる、超絶技巧×超高密度文体のゴシック・サスペンス&黙示録的狂騒会話劇。(1985年作)
「幸福の遺伝子」リチャード・パワーズ
『幸福の遺伝子』
リチャード・パワーズ,木原善彦
2013/04/26
新潮社
《 429ページ 》
スランプに陥った元人気作家の創作講義に、アルジェリア人学生がやってくる。過酷な生い立ちにもかかわらず、彼女はいつも幸福感に満ちあふれ、周囲の人々をも幸せにしてしまう。やがてある事件をきっかけに、彼女が「幸福の遺伝子」を持っていると主張する科学者が現れ、国民的議論を巻き起こすー。鋭敏な洞察の間に温かな知性がにじむ傑作長篇。
「惑う星」リチャード・パワーズ
『惑う星』
リチャード・パワーズ,木原善彦
2022/11/30
新潮社
《 392ページ 》
地球を憂う少年の心を、亡き母の愛が解き放つ。科学と情感が融合する傑作。パパ、この惑星に僕の居場所はないの? 地球外生命の可能性を探る研究者の男、その幼い息子は絶滅に瀕する動物たちの悲惨に寄り添い苦しんでいた。男は彼をある実験に参加させる。MRIの中で亡き母の面影に出会った少年は、驚くほどの聡明さを発揮し始めーー現代科学の最前線から描かれる、21世紀の「アルジャーノン」。
「オーバーストーリー」リチャード・パワーズ
『オーバーストーリー』
リチャード・パワーズ,木原善彦
2019/10/30
新潮社
《 674ページ 》
アメリカ最後の原始林を救え。米現代文学の旗手が放つ、森羅を覆い尽す物語。撃墜されるも東南アジアの聖木に救われた兵士、四世代に亘り栗の木を撮影し続けた一族の末裔、感電死から甦った女子大生……アメリカ最後の手つかずの森に聳える巨木に「召命」された彼らの使命とは。南北戦争前のニューヨークから20世紀後半のアメリカ西海岸の「森林戦争」までを描き切る、今年度ピュリッツァー賞受賞作。
「オルフェオ」リチャード・パワーズ
『オルフェオ』
リチャード・パワーズ,木原善彦
2015/07/31
新潮社
《 428ページ 》
耳に聞こえないメロディーは、聞こえるメロディーよりさらに甘美だ。微生物の営みを音楽にしようと試みる現代芸術家のもとに、捜査官がやってくる。容疑はバイオテロ? 逃避行の途上、かつての家族や盟友と再会した彼の中に、今こそ発表すべき新しい作品の形が姿を現す――。マーラーからメシアンを経てライヒに至る音楽の歩みと、一人の芸術家の半生の物語が響き合う、危険で美しい音楽小説。
「シガレット」ハリー・マシューズ
『シガレット (エクス・リブリス)』
ハリー・マシューズ,木原善彦
2015/02/13
白水社
ニューヨーク近郊に暮らす上流階級13人の複雑な関係が、時代を往来しながら明かされる。絵画、詐欺、変死をめぐる謎…その背後でいったい何が起きていたのか?実験的文学者集団「ウリポ」の鬼才による、精緻なパズルのごとき構成と仕掛け!
「ウィトゲンシュタインの愛人」デイヴィッド・マークソン
『ウィトゲンシュタインの愛人』
デイヴィッド・マークソン,木原善彦
2020/07/17
国書刊行会
アトロクで矢部太郎さんが推薦
地上から人が消え、最後の一人として生き残ったケイト。彼女はアメリカのとある海辺の家で暮らしながら、終末世界での日常生活のこと、日々考えたとりとめのないこと、家族と暮らした過去のこと、生存者を探しながら放置された自動車を乗り継いで世界中の美術館を旅して訪ねたこと、ギリシアを訪ねて神話世界に思いを巡らせたことなどを、タイプライターで書き続ける。彼女はほぼずっと孤独だった。そして時々、道に伝言を残していた…ジョイスやベケットの系譜に連なる革新的作家デイヴィッド・マークソンの代表作にして、読む人の心を動揺させ、唯一無二のきらめきを放つ、息をのむほど知的で美しい“アメリカ実験小説の最高到達点”。
「愚か者同盟」ジョン・ケネディ・トゥール
『愚か者同盟』
ジョン・ケネディ・トゥール,木原善彦
2022/07/28
国書刊行会
イグネイシャスは、潰れかけのアパレル工場、次いで零細ホットドッグ移動販売業者で職を得るが、職場では仕事を放り出し、事務所をリボンで飾り付けつつ黒人たちの労働デモを扇動したり、ホットドッグをつまみ食いした挙句に声を掛けてきた怪しい男に屋台を押し付けて映画に出かけたりするなど、好き勝手やり放題。やがて今度は職場から放り出され、警察にも追われるようになったイグネイシャスは、一癖も二癖もある奇人変人たちを巻き込んだり巻き込まれたりしながら逃亡劇を繰り広げ、ニューオーリンズの街に大騒動を巻き起こすーー!!!
「10:04」ベン・ラーナー
『10:04 (エクス・リブリス)』
ベン・ラーナー,木原善彦
2017/02/22
白水社
《オースター、フランゼンが絶賛する期待の若手
小説の執筆に挑む詩人の、美しく愉快な語り》「全ては今と変わらない――ただほんの少し違うだけで」
主人公の詩人を通じて語られる、「世界が組み変わる」いくつもの瞬間。身体感覚は失われ、過去と未来、事実と虚構(フィクション)……あらゆる境界が揺らめきだす。
オースター、フランゼンが才能を評価する米の若手作家による「遊歩(フラヌール)」小説。
「私はゼブラ」アザリーン・ヴァンデアフリートオルーミ
『私はゼブラ (エクス・リブリス)』
アザリーン・ヴァンデアフリートオルーミ,木原善彦
2020/09/26
白水社
PEN/フォークナー賞受賞の傑作長篇
「文学以外の何ものをも愛してはならない」。父から教え込まれた家訓を胸に、若き文学至上主義者ゼブラが、文学に時に救われ、時に囚われながら、度重なる亡命で分裂した自己を取り戻し、新たな愛に目覚めていくピカレスク小説。主要メディアが絶賛、イラン系アメリカ人作家による現代版『ドン・キホーテ』。
「民のいない神」ハリ・クンズル
『民のいない神 (エクス・リブリス)』
ハリ・クンズル,木原善彦
2015/02/13
白水社
ピンチョンとデリーロの系譜に連なる、インド系イギリス作家による、「超越文学」の登場!砂漠にそびえる巨大な岩山「ピナクル・ロック」。そこで起きた幼児失踪事件を中心に、アメリカ先住民の伝承から、UFOカルト、イラク戦争、金融危機まで、いくつもの時空を往還し、予測不能の展開を見せる傑作長篇。
「J.G.バラードの千年王国ユーザーズガイド」J・G・バラード
『J.G.バラードの千年王国ユーザーズガイド』
J・G・バラード,木原善彦
2003/06/01
白揚社
世界の終末を描く『沈んだ世界』『結晶世界』、スピルバーグ監督が映画化した『太陽の帝国』などで知られるSF界の異才J・G・バラード。ミステリー・現代小説ファンからも広く熱狂的な支持を集めるそのバラードが、30年にわたって発表してきた書評とエッセイが初めて一冊になりました。
もっと木原善彦さんの本
あとで追加します。
木原善彦さんの読みもの、ラジオ
Spotify「アフター6ジャンクション 2」
特集:バラク・オバマ 特集【本と文房具】編 !by木原善彦 さん(約52分)
カルチャートーク:アトロク 秋の推薦図書月間(矢部太郎さん)(約23分)
2020年11月4日(水)放送のライムスター歌丸さんのラジオ番組で、矢部太郎さんがデイヴィッド・マークソン『ウィトゲンシュタインの愛人』をおすすめ。
Youtube「公式 TBS Podcast」
特集:バラク・オバマ 特集【本と文房具】編 !by木原善彦 さん(約52分)
木原善彦 | 国書刊行会創業50周年
【群像 エッセイ】|翻訳(という) 家の窓から見える風景/木原善彦|tree
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『JR』(国書刊行会) – 著者:ウィリアム・ギャディス 翻訳:木原 善彦 – 木原 善彦による訳者あとがき
国書刊行会さん: 「【W受賞】このたび『JR』(ウィリアム・ギャディス/木原善彦訳)が第55回日本翻訳出版文化賞を受賞いたしました! / X
エキサイトニュース
全員オタクで全員アツイ「日本翻訳大賞」に行ってきました、どんなジャンルでも人が推しを語る姿はステキだ
装画「四季4部作」 | Sora Mizusawa
アリ・スミス「四季四部作」完結記念 特製BOXプレゼント | News Headlines | 新潮社
こんな素敵な試みも。応募締め切りは2022年11月30日。
Book Bang -ブックバン-
トマス・ピンチョンと比肩する作家の邦訳版が刊行 全930ページの重量級小説の魅力とは? | レビュー
本の読める店 fuzkue
アリ・スミス『秋』(木原善彦訳、新潮社)
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『オルフェオ』(新潮社) – 著者:リチャード・パワーズ 翻訳:木原 善彦 – 鴻巣 友季子による書評
『アイロニーはなぜ伝わるのか?』(光文社) – 著者:木原 善彦 – 小川 公代による書評
光文社新書
木原善彦さんの最新刊を読んだら積ん読中の難解な小説まですらすら読めるようになった
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