
- 白水社「エクス・リブリス」の一覧表
- 白水社「エクス・リブリス」2009-2014
- 「遠い部屋、遠い奇跡」ダニヤール・ムイーヌッディーン
- 「女がいる」エステルハージ・ペーテル
- 「エウロペアナ」パトリク・オウジェドニーク
- 「かつては岸」ポール・ユーン
- 「アルグン川の右岸」遅子建
- 「逃亡派」オルガ・トカルチュク
- 「愛と障害」アレクサンダル・ヘモン
- 「緩慢の発見」シュテン・ナドルニー
- 「盆栽/木々の私生活」アレハンドロ・サンブラ
- 「シガレット」ハリー・マシューズ
- 「神は死んだ」ロン・カリー・ジュニア
- 「空気の名前」アルベルト・ルイ=サンチェス
- 「ぼくは覚えている」ジョー・ブレイナード
- 「ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ」キルメン・ウリベ
- 「無分別」オラシオ・カステジャーノス・モヤ
- 「ブルックリン」コルム・トビーン
- 「ティンカーズ」ポール・ハーディング
- 「河・岸」蘇童
- 「地図になかった世界」エドワード・P・ジョーンズ
- 「ブエノスアイレス食堂」カルロス・バルマセーダ
- 「デニーロ・ゲーム」サルバドール・プラセンシア
- 「イルストラード」ミゲル・シフーコ
- 「ヴァレンタインズ」オラフ・オラフソン
- 「兵士はどうやってグラモフォンを修理するか」サーシャ・スタニシチ
- 「馬を盗みに」ペール・ペッテルソン
- 「昼の家、夜の家」オルガ・トカルチュク
- 「ウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン」ポール・トーディ
- 「そんな日の雨傘に」ヴィルヘルム・ゲナツィーノ
- 「野生の探偵たち 上・下」ロベルト・ボラーニョ
- 「煙の樹」デニス・ジョンソン
- 「青い野を歩く」クレア・キーガン
- 「悲しみを聴く石」アティーク・ラヒーミー
- 「ミスター・ピップ」ロイド・ジョーンズ
- 「通話」ロベルト・ボラーニョ
- 「イエメンで鮭釣りを」ポール・トーディ
- 「ジーザス・サン」デニス・ジョンソン
白水社「エクス・リブリス」の一覧表
作品名 | 著者 | 翻訳者 | 発売日 |
---|---|---|---|
ムーア人による報告 | レイラ・ララミ | 木原善彦 | 2025/06/01 |
ブリス・モンタージュ | リン・マー | 藤井光 | 2025/03/03 |
傷ついた世界の歩き方 | フランソワ=アンリ・デゼラブル | 森晶羽 | 2024/09/28 |
母の舌 | エミネ・セヴギ・エヅダマ | 細井直子 | 2024/09/01 |
小さくも重要ないくつもの場面 | シルヴィー・ジェルマン | 岩坂悦子 | 2024/04/30 |
別れを告げない | ハン・ガン | 斎藤真理子 | 2024/03/31 |
恐るべき緑 | ベンハミン・ラバトゥッツ | 松本健二 | 2024/02/18 |
大仏ホテルの幽霊 | カン・ファギル | 小山内園子 | 2023/11/26 |
アミナ | 賀淑芳 | 及川茜 | 2023/09/27 |
真の人間になる(上) | 甘耀明 | 白水紀子 | 2023/08/06 |
真の人間になる(下) | 甘耀明 | 白水紀子 | 2023/08/06 |
未来散歩練習 | パク・ソルメ | 斎藤真理子 | 2023/07/02 |
終わりのない日々 | セバスチャン・バリー | 木原善彦 | 2023/06/02 |
過去を売る男 | ジョゼ・エドゥアルド・ アグアルーザ | 木下眞穂 | 2023/04/26 |
アーダの空間 | シャロン・ドデュア・オトゥ | 鈴木仁子 | 2023/03/31 |
クルーゾー | ルッツ・ザイラー | 金志成 | 2023/02/26 |
遠きにありて、ウルは遅れるだろう | ペ・スア | 斎藤真理子 | 2023/01/21 |
グリーン・ロード | アン・エンライト | 伊達淳 | 2022/12/28 |
反乱者 | ジーナ・アポストル | 藤井光 | 2022/10/28 |
家の本 | アンドレア・バイヤーニ | 栗原俊秀 | 2022/09/30 |
フォレスト・ダーク | ニコール・クラウス | 広瀬恭子 | 2022/08/26 |
アイダホ | エミリー・ラスコヴィッチ | 小竹由美子 | 2022/07/30 |
大丈夫な人 | カン・ファギル | 小山内園子 | 2022/05/31 |
人類対自然 | ダイアン・クック | 壁谷さくら | 2022/04/02 |
ケンジントン公園 | ロドリゴ・フレサン | 内田兆史 | 2022/03/12 |
スモモの木の啓示 | ショクーフェ・アーザル | 堤幸 | 2022/01/28 |
眠りの航路 | 呉明益 | 倉本知明 | 2021/08/31 |
行く、行った、行ってしまった | ジェニー・エルペンベック | 浅井晶子 | 2021/07/15 |
断絶 | リン・マー | 藤井光 | 2021/03/25 |
もう死んでいる十二人の女たちと | パク・ソルメ | 斎藤真理子 | 2021/02/23 |
恥さらし | パウリーナ・フローレス | 松本健二 | 2021/01/06 |
私はゼブラ | アザリーン・ ヴァンデアフリートオルーミ | 木原善彦 | 2020/09/26 |
忘却についての一般論 | ジョゼ・エドゥアルド・ アグアルーザ | 木下眞穂 | 2020/08/28 |
シャルロッテ | ダヴィド・フェンキノス | 岩坂悦子 | 2020/05/23 |
よそ者たちの愛 | テレツィア・モーラ | 鈴木仁子 | 2020/03/25 |
モンスーン | ピョンヘヨン | 姜信子 | 2019/08/02 |
回復する人間 | ハン・ガン | 斎藤真理子 | 2019/05/28 |
海の乙女の惜しみなさ | デニス・ジョンソン | 藤井光 | 2019/07/31 |
郝景芳短篇集 | 郝景芳 | 及川茜 | 2019/03/21 |
西欧の東 | ミロスラフ・ペンコフ | 藤井光 | 2018/10/26 |
ここにいる | 王聡威 | 倉本知明 | 2018/08/17 |
ぼくの兄の場合 | ウーヴェ・ティム | 松永美穂 | 2018/07/14 |
酸っぱいブドウ/はりねずみ | ザカリーヤー・ターミル | 柳谷あゆみ | 2018/02/24 |
ソロ | ラーナー・ダスグプタ | 西田英恵 | 2017/12/23 |
死体展覧会 | ハサン・ブラーシム | 藤井光 | 2017/10/24 |
至福の烙印 | クラウス・メルツ | 松下たえ子 | 2017/07/26 |
ピンポン | パク・ミンギュ | 斎藤真理子 | 2017/05/27 |
10:04 | ベン・ラーナー | 木原善彦 | 2017/02/22 |
鬼殺し 下 | 甘耀明 | 白水紀子 | 2016/12/28 |
鬼殺し 上 | 甘耀明 | 白水紀子 | 2016/12/28 |
わかっていただけますかねえ | ジム・シェパード | 小竹由美子 | 2016/10/22 |
ブラインド・マッサージ | 畢飛宇 | 飯塚容 | 2016/08/24 |
ポーランドのボクサー | エドゥアルド・ハルフォン | 松本健二 | 2016/05/26 |
軋む心 | ドナル・ライアン | 岩城義人 | 2016/02/26 |
ミニチュアの妻 | マヌエル・ゴンザレス | 藤井光 | 2015/12/19 |
ムシェ : 小さな英雄の物語 | キルメン・ウリベ | 金子奈美 | 2015/10/17 |
生まれるためのガイドブック | ラモーナ・オースベル | 小林久美子 | 2015/08/28 |
神秘列車 | 甘耀明 | 白水紀子 | 2015/06/24 |
歩道橋の魔術師 | 呉明益 | 天野健太郎 | 2015/04/24 |
民のいない神 | ハリ・クンズル | 木原善彦 | 2015/02/13 |
遠い部屋、遠い奇跡 | ダニヤール・ムイーヌッディーン | 藤井光 | 2014/12/14 |
女がいる | エステルハージ・ペーテル | 加藤由実子, ヴィクトリア・ エシュバッハ=サボー | 2014/10/29 |
エウロペアナ : 二〇世紀史概説 | パトリク・オウジェドニーク | 阿部賢一,篠原琢 | 2014/08/21 |
かつては岸 | ポール・ユーン | 藤井光 | 2014/06/25 |
アルグン川の右岸 | 遅子建 | 竹内良雄,土屋肇枝 | 2014/04/06 |
逃亡派 | オルガ・トカルチュク | 小椋彩 | 2014/02/25 |
愛と障害 | アレクサンダル・ヘモン | 岩本正恵 | 2013/12/21 |
緩慢の発見 | シュテン・ナドルニー | 浅井晶子 | 2013/10/16 |
盆栽/木々の私生活 | アレハンドロ・サンブラ | 松本健二 | 2013/08/24 |
シガレット | ハリー・マシューズ | 木原善彦 | 2013/06/13 |
神は死んだ | ロン・カリー・ジュニア | 藤井光 | 2013/04/11 |
空気の名前 | アルベルト・ルイ=サンチェス | 斎藤文子 | 2013/02/20 |
ぼくは覚えている | ジョー・ブレイナード | 小林久美子 | 2012/12/14 |
ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ | キルメン・ウリベ | 金子奈美 | 2012/10/13 |
無分別 | オラシオ・カステジャーノス・ モヤ | 細野豊 | 2012/08/07 |
ブルックリン | コルム・トビーン | 栩木伸明 | 2012/06/02 |
ティンカーズ | ポール・ハーディング | 小竹由美子 | 2012/04/13 |
河・岸 | 蘇童 | 飯塚容 | 2012/02/16 |
地図になかった世界 | エドワード・P・ジョーンズ | 小澤英実 | 2011/12/21 |
ブエノスアイレス食堂 | カルロス・バルマセーダ | 柳原孝敦 | 2011/10/08 |
デニーロ・ゲーム | ラウィ・ハージ | 藤井光 | 2011/08/12 |
イルストラード | ミゲル・シフーコ | 中野学而 | 2011/06/08 |
ヴァレンタインズ | オラフ・オラフソン | 岩本正恵 | 2011/04/06 |
兵士はどうやってグラモフォンを 修理するか | サーシャ・スタニシチ | 浅井晶子 | 2011/02/11 |
馬を盗みに | ペール・ペッテルソン | 西田英恵 | 2010/12/16 |
昼の家、夜の家 | オルガ・トカルチュク | 小椋彩 | 2010/10/19 |
ウィルバーフォース氏の ヴィンテージ・ワイン | ポール・トーディ | 小竹由美子 | 2010/08/17 |
そんな日の雨傘に | ヴィルヘルム・ゲナツィーノ | 鈴木仁子 | 2010/06/01 |
野生の探偵たち 下 | ロベルト・ボラーニョ | 柳原孝敦,松本健二 | 2010/04/01 |
野生の探偵たち 上 | ロベルト・ボラーニョ | 柳原孝敦,松本健二 | 2010/04/01 |
煙の樹 | デニス・ジョンソン | 藤井光 | 2010/02/01 |
青い野を歩く | クレア・キーガン | 岩本正恵 | 2009/12/01 |
悲しみを聴く石 | アティーク・ラヒーミー | 関口涼子 | 2009/10/01 |
ミスター・ピップ | ロイド・ジョーンズ | 大友りお | 2009/08/01 |
通話 | ロベルト・ボラーニョ | 松本健二 | 2009/06/01 |
イエメンで鮭釣りを | ポール・トーディ | 小竹由美子 | 2009/04/01 |
ジーザス・サン | デニス・ジョンソン | 柴田元幸 | 2009/03/01 |
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白水社「エクス・リブリス」2009-2014
「遠い部屋、遠い奇跡」ダニヤール・ムイーヌッディーン
『遠い部屋、遠い奇跡 (エクス・リブリス)』
ダニヤール・ムイーヌッディーン,藤井光
白水社
2014/12/14
1970年代から現代までの、パキスタンのさまざまな土地と人々を鮮やかに描き出す連作短篇集。オー・ヘンリー賞受賞の短篇を含む8篇を収録した、全米図書賞とピュリツァー賞最終候補作品。チェーホフとマンローのような優雅さ、深遠さをあわせ持つ、パキスタン系作家による心を打つデビュー作。
「女がいる」エステルハージ・ペーテル
『女がいる (エクス・リブリス)』
エステルハージ・ペーテル,加藤由実子,ヴィクトリア・エシュバッハ=サボー
2014/10/29
白水社
ユーモラスに、猥雑に、幻想的に、フェティッシュに、“女”との赤裸々な関係を綴る。“女”との間で繰り広げられる、抜き差しならない「愛」の行方。言語遊戯と仕掛けに満ちためくるめく97章。現代ハンガリーを代表する作家による過激かつ切実な、異色のラブストーリー。
「エウロペアナ」パトリク・オウジェドニーク
『エウロペアナ: 二〇世紀史概説 (エクス・リブリス)』
パトリク・オウジェドニーク,阿部賢一,篠原琢
2014/08/21
白水社
第1回日本翻訳大賞受賞作
現代チェコ文学を牽引する作家が20世紀ヨーロッパ史を大胆に記述。笑いと皮肉のなかで、20世紀という時代の不条理が巧みに表出される。20以上の言語に翻訳された話題作、待望の邦訳。
「かつては岸」ポール・ユーン
『かつては岸 (エクス・リブリス)』
ポール・ユーン,藤井光
白水社
2014/06/25
「かつては岸」:島のリゾートホテルに滞在するアメリカの未亡人と、その給仕を務める半島出身のウェイター。それぞれ大切な家族を亡くした二人が抱える悲しみは、やがて島の岸辺で交錯する。「残骸に囲まれて」:1947年春。アメリカ軍による軍事演習が続くなか、島のそばに爆弾が投下される。行方不明の息子を探して、老夫婦は日本軍が遺棄していったトロール船に乗り、海に向かう。
「アルグン川の右岸」遅子建
『アルグン川の右岸 (エクス・リブリス)』
遅子建,竹内良雄,土屋肇枝
2014/04/06
白水社
エヴェンキ族最後の酋長の妻、90歳の「私」は、仲間が定住地に移住していくのを見ながら、森の中で最後までトナカイと一緒に残ることを決意して、これまでの人生を語り始める。もともと民族はバイカル湖周辺に住んでいたが、ロシア軍が侵攻してきたため、アルグン川の右岸に渡る。そこは当時、清国だったが、やがて中華民国となる。そして日本軍の対ソ連前線基地となり、男たちは軍事訓練を受けるが、日本軍は敗退していく。
やがて中華人民共和国の内モンゴル自治区に変わり、社会主義体制のもと、政府は医療の改善と教育の充実、また動物保護を名目にして定住生活を推し進める。だが彼らのトナカイとの共存共栄の生活が理解されず、狩猟民としての生活が破壊されていく。都市での定住生活に適合もできず、将来を見出せない狩猟エヴェンキ族。民族は徐々に衰亡し、やがて絶滅してしまうのではないか、と危惧する…。
「逃亡派」オルガ・トカルチュク
『逃亡派』
オルガ・トカルチュク,小椋彩
2014/02/25
白水社
「逃亡派」:アンヌシュカは、難病の息子を抱えてモスクワに暮らしている。週に一度の外出で教会から帰る途中、地下鉄の出口で、たえず足ぶみしながら何かをつぶやく、奇妙ないでたちの女に出会う。「ショパンの心臓」:パリで没した作曲家ショパンは、自分の心臓を愛する祖国に埋葬してほしいと遺言を残した。姉ルドヴィカは、独立の気運が高まるポーランドへ向けて、弟の心臓を携え、冬の平原を馬車で渡っていく。ポーランドで最も権威ある文学賞“ニケ賞”受賞作。
「愛と障害」アレクサンダル・ヘモン
『愛と障害 (エクス・リブリス)』
アレクサンダル・ヘモン,岩本正恵
2013/12/21
白水社
サラエヴォに生まれ、ユーゴ紛争を機にアメリカに移住した主人公の思春期のほろ苦い思い出、アメリカでの奇妙な日々、家族と失われた故郷への思い…。ボスニア出身の鬼才による、“反”自伝的短篇集。
「緩慢の発見」シュテン・ナドルニー
『緩慢の発見 (エクス・リブリス)』
シュテン・ナドルニー,浅井晶子
2013/10/16
白水社
19世紀、北極圏で消息を絶った探検家ジョン・フランクリンの知られざる「緩慢な」生き方。数十か国語に翻訳され、四半世紀にわたり広く読まれ続ける、“ハンス・ファラダ賞”受賞作家によるドイツ文学の新たな古典。
「盆栽/木々の私生活」アレハンドロ・サンブラ
『盆栽/木々の私生活 (エクス・リブリス)』
アレハンドロ・サンブラ,松本健二
2013/08/24
白水社
チリの首都サンティアゴに住む、作家志望の若者フリオ。学生時代、彼にはエミリアという恋人がいた。彼女と過ごした日々、二人が読んだ本の数々、現在フリオが書く小説「盆栽」の構想、そしてエミリアの死…メタフィクション的かつ斬新な語りと、生と死をめぐる即物的なまでの描写が胸を打つ(『盆栽』)。
ある晩、絵画教室から戻らない妻ベロニカを待ちながら、幼い義理の娘ダニエラを寝かしつけるために自作の物語「木々の私生活」を語り聞かせる日曜作家のフリアン。妻は帰ってくるのか、こないのか。不意によみがえる過去の記憶と、彼と娘の未来が、一夜の凝縮した時間から広がっていく(『木々の私生活』)。樹木を共通のモチーフとして、創作と書物、失われた愛、不在と喪失の哀しみを濃密に浮かび上がらせる。深い余韻を残す、珠玉の二篇。
「シガレット」ハリー・マシューズ
『シガレット (エクス・リブリス)』
ハリー・マシューズ,木原善彦
2015/02/13
白水社
ニューヨーク近郊に暮らす上流階級13人の複雑な関係が、時代を往来しながら明かされる。絵画、詐欺、変死をめぐる謎…その背後でいったい何が起きていたのか?実験的文学者集団「ウリポ」の鬼才による、精緻なパズルのごとき構成と仕掛け!
「神は死んだ」ロン・カリー・ジュニア
『神は死んだ (エクス・リブリス)』
ロン・カリー・ジュニア,藤井光
白水社
2013/04/11
「神の肉」を食べたために、知性が高度に発達した犬へのインタビューをはじめ、「神の不在」がもたらす「ねじれ」の諸相に、斬新な語りとポップな感性で切り込む。全米で話題騒然の新人による、異色の9篇を収めた連作短篇集。“ニューヨーク公立図書館若獅子賞”受賞作品。
「空気の名前」アルベルト・ルイ=サンチェス
『空気の名前 (エクス・リブリス)』
アルベルト・ルイ=サンチェス,斎藤文子
白水社
2013/02/20
北アフリカの港町モガドールで若い娘ファトマが投げかける謎めいた眼差し、町の人々のあいだで交錯する生と性の予感…。メキシコで最も権威ある文学賞「ハビエル・ビジャウルティア賞」受賞作。
「ぼくは覚えている」ジョー・ブレイナード
『ぼくは覚えている (エクス・リブリス)』
ジョー・ブレイナード,小林久美子
白水社
2012/12/14
「ぼくは覚えている。まだるっこしいことは抜きにして、とにかく好きな男の子のもとに直行して、「家に来ないか」と言おう、と決心したことがあったのを。やってみたけれど、うまくいかなかった。例外は一度だけで、相手は酔っぱらっていた。朝になると、キリストの絵はがきの裏に「愛をこめて、ジーザス」というサインをのこして消えていた。アレン・ギンズバーグの友人だと言っていた。」(本文より)
「ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ」キルメン・ウリベ
『ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ (エクス・リブリス)』
キルメン・ウリベ,金子奈美
白水社
2012/10/13
主人公キルメン・ウリベは、バスクの中心都市ビルバオから、飛行機でニューヨークへ向けて旅立つ。心に浮かんでは消えていく、さまざまな思い出や記憶…。祖父の船の名前をめぐる謎。スペイン内戦に翻弄されたバスクの画家アウレリオ・アルテタと、ピカソの“ゲルニカ”にまつわる秘話。漁師として、ビスケー湾からスコットランド、アフリカ沖、カリブ海へと海を渡り歩いた父や叔父たちのこと。移民や亡命者たち。そして今書いている小説のこと。失われゆく過去を見送りながら、新たな世界へと船出していく、バスク文学の旗手による珠玉の処女小説。
「無分別」オラシオ・カステジャーノス・モヤ
『無分別 (エクス・リブリス)』
オラシオ・カステジャーノス・モヤ,細野豊
白水社
2013/04/11
ロベルト・ボラーニョ絶賛!
「こんなにも残虐なテーマを扱いながら、この小説には『詩』が存在している。」(「訳者あとがき」より)
出かける前に書き留めた最後の文章が目にとまった。その文章はいっそうわたしの心を揺さぶるものだった。それは、わたしが死んでも、誰がわたしを埋葬してくれるのか分からない、というキチェー族の老人の言葉で、軍隊が彼の息子たち、嫁たち、孫たちおよび他の親族を虐殺し、彼をこの上なく孤立無援の状態に陥れたのだった。(本文より)
「ブルックリン」コルム・トビーン
『ブルックリン (エクス・リブリス)』
コルム・トビーン,栩木伸明
白水社
2013/04/11
ジョイス、マクガハン、トレヴァーの系譜を継ぐ、アイルランド文学の至宝!
舞台はアイルランドの田舎町エニスコーシーと、ニューヨークのブルックリン、時代は1951年ごろから2年間あまり。主人公アイリーシュはエニスコーシーに母と姉とともに暮らす若い娘。女学校を出て、才気はあるが、地元ではろくな職もないので、神父のあっせんでブルックリンに移住する。そしてアイリッシュ・コミュニティの若い娘たちが住む下宿屋に暮らし、デパートの店員となる。
しかしホームシックに悩み、簿記の資格をとるため夜学に通い、週末にはダンスホールに行く。そこでイタリア移民の若者トニーと恋に落ちるが、思わぬ事情でアイルランドに帰国する。ブルックリンへ戻るつもりでいたが、地元でハンサムなジムと再会する……。当時の社会と文化の細部を鮮やかに再現し、巧みな会話と心理描写が冴えわたる傑作長編。
「ティンカーズ」ポール・ハーディング
『ティンカーズ (エクス・リブリス)』
ポール・ハーディング,小竹由美子
白水社
2012/04/13
退職後、時計修理を営んできた80歳のジョージ・ワシントン・クロスビーは、死の床で、自宅がばらばらに崩壊する白昼夢を見る。記憶や思い出の数々が脳裏に浮かんでは消えていくなか、鮮明に思い出したのは、11歳のとき、貧しい行商人だった父ハワードが、クリスマスイヴの夕食の準備のさなかに癲癇の発作におそわれた光景だった。ジョージは父が頭を床に打ちつけないようおさえつけていた指を強く噛まれ、それを見た妻キャスリーンは、夫を施設に入れることをひそかに決意する。その計画を知ったハワードは絶望し、いつものように行商に出たまま、二度と戻ることはなかった。
病を苦にし、家を出た父の意識の流れ、牧師だった祖父のエピソードなど、現代を含むさまざまな時間軸の物語が、18世紀の時計修理手引書からの抜粋や手書きの文章とともに織り上げられていく。死にゆくジョージが最後に思い出した光景とは…驚異の新人による奇跡のデビュー作。2010年度ピュリツァー賞受賞作。
「河・岸」蘇童
『河・岸 (エクス・リブリス)』
蘇童,飯塚容
白水社
2012/02/16
文化大革命期を背景に、父と息子の13年間にわたる船上生活と、少女への恋と性の目覚めを、少年の視点から伝奇的に描く。中国の実力派作家による、哀愁とユーモアが横溢する傑作長篇。マン・アジアン文学賞、中華文学賞、華語文学メディア大賞受賞作品。
「地図になかった世界」エドワード・P・ジョーンズ
『地図になかった世界 (エクス・リブリス)』
エドワード・P・ジョーンズ,小澤英実
白水社
2011/12/21
南北戦争以前、「黒人に所有された黒人奴隷」たちを描いた歴史長篇。日々の暮らしの喜怒哀楽を静かに語り、胸を打つ。ピュリツァー賞ほか主要文学賞を独占した話題作。柴田元幸氏推薦!
「ブエノスアイレス食堂」カルロス・バルマセーダ
『ブエノスアイレス食堂 (エクス・リブリス)』
カルロス・バルマセーダ,柳原孝敦
白水社
2011/10/08
故郷喪失者のイタリア人移民の苦難の歴史と、アルゼンチン軍事政権下の悲劇が交錯し、双子の料理人が残した『指南書』の驚嘆の運命、多彩な絶品料理、猟奇的事件を濃密に物語る。「アルゼンチン・ノワール」の旗手による異色作。
「デニーロ・ゲーム」サルバドール・プラセンシア
『デニーロ・ゲーム (エクス・リブリス)』
サルバドール・プラセンシア,藤井光
白水社
2011/07/26
内戦下のベイルートで、キリスト教民兵組織が支配する地区に暮らすアルメニア系の少年バッサーム。幼なじみのジョルジュは「デニーロ」というあだ名で呼ばれている。二人はジョルジュが働くカジノから金をくすね、ガソリンを盗んではバイクを乗り回す日々を送る。ジョルジュはカジノを運営する民兵組織に引き抜かれ、イスラエルで訓練を受けるかたわら、密造酒や麻薬の取引をバッサームに持ちかけ、次第に二人は疎遠になっていく。
ある日、バッサームはある殺人事件の嫌疑をかけられ、民兵組織に連行され拷問を受けるが、ジョルジュの叔母の計らいによって解放される。彼はレバノン国外に逃れる決心を固め、その資金を手に入れるため、カジノの売上を強奪する。脱出の直前、キリスト教勢力の最高司令官が暗殺され、それに関与した容疑をかけられたバッサームを、ジョルジュが連行しにやってくる…。
「イルストラード」ミゲル・シフーコ
『イルストラード (エクス・リブリス)』
ミゲル・シフーコ,中野学而
白水社
2011/06/08
2002年2月、ニューヨークで活動を続けてきたフィリピン人亡命作家クリスピンが、ハドソン川にて死体で見つかった。彼の書斎からは、近代フィリピンを牛耳ってきた歴代の富と権力の内情を暴いた、執筆中の小説の原稿が消えていた。クリスピンの若き教え子ミゲルは、謎めいた死の真相を解明すべく、母国フィリピンへと旅立つ。師の足跡を追って奔走するミゲルだが、頻発する反政府デモ、テロ、停電、大洪水など事件や惨事がつぎつぎに起こり、師の知人たちとの会見も難航する。しかしそのような困難のなか、やがて師の人生を追うことの本当の意味に気づきはじめたミゲルは、迷宮を抜けだす道を求めて、飛行機で離島へ向かう…。
「ヴァレンタインズ」オラフ・オラフソン
『ヴァレンタインズ (エクス・リブリス)』
オラフ・オラフソン,岩本正恵
白水社
2011/04/06
「一月」から「十二月」まで、夫婦や恋人たちの愛と絆にひびが入る瞬間を鋭くとらえた12篇。研ぎ澄まされた感覚、洗練されたユーモアが端正な文章の行間に漂う。アイスランド出身の実力派による、珠玉の第一短篇集。“アイスランド文学賞”“O・ヘンリー賞”受賞作。
「兵士はどうやってグラモフォンを修理するか」サーシャ・スタニシチ
『兵士はどうやってグラモフォンを修理するか (エクス・リブリス)』
サーシャ・スタニシチ,浅井晶子
2011/02/11
ユーゴ紛争の戦禍を生き抜く少年の想像力、「物語る魔法使い」が紡ぐ故郷と家族。1992年に勃発したボスニア紛争の前後、少年アレクサンダルの目を通して万華鏡のように語られる、小さな町ヴィシェグラードとそこに暮らす人々の運命。実際に戦火を逃れて祖国を脱出した経験を持ち、ドイツ語で創作するボスニア出身の新星による傑作長編。
「馬を盗みに」ペール・ペッテルソン
『馬を盗みに (エクス・リブリス)』
ペール・ペッテルソン,西田英恵
白水社
2010/12/16
「ぼくら、馬を盗みに行くんだ」1948年、スウェーデンとの国境に近いノルウェーの小さな村で、父さんと過ごした15歳の夏…そこから50年余りを経た1999年の冬、人里離れた湖畔の家で一人暮らす「わたし」の脳裏に、消えた父との思い出が鮮明によみがえる。ノルウェーを代表する作家による、みずみずしくも苦い青春ー老境の物語。40以上の言語に翻訳された世界的ベストセラー。
「昼の家、夜の家」オルガ・トカルチュク
『昼の家、夜の家 (エクス・リブリス)』
オルガ・トカルチュク,小椋彩
白水社
2010/10/19
ポーランドとチェコの国境地帯にある小さな町、ノヴァ・ルダ。そこに移り住んだ語り手は、隣人たちとの交際を通じて、その地方の来歴に触れる。しばしば形而上的な空想にふけりながら、語り手が綴る日々の覚書、回想、夢、会話、占い、その地に伝わる聖人伝、宇宙天体論、料理のレシピの数々…。豊かな五感と詩情をもって、歴史に翻弄されてきた土地の記憶を幻視する。現代ポーランド文学の旗手による傑作長編。
「ウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン」ポール・トーディ
『ウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン (エクス・リブリス)』
ポール・トーディ,小竹由美子
白水社
2010/08/17
『イエメンで鮭釣りを』に続くトーディの第二作! ボルドーワインの虜となった若き実業家の転落を、ユーモラスかつ苦味に満ちた語りで、四つの「ヴィンテージ(醸造年)」を遡りながら描き出す。
「そんな日の雨傘に」ヴィルヘルム・ゲナツィーノ
『そんな日の雨傘に (エクス・リブリス)』
ヴィルヘルム・ゲナツィーノ,鈴木仁子
白水社
2010/06/01
46歳、無職、つい最近、彼女に捨てられた。どこにも居場所がない…。頭に浮かぶのは、「人生の面妖さ」をめぐる妄想ばかり。重いけれど軽やかな、「靴男」の果てしないモノローグ!“ビューヒナー賞”受賞作品。
「野生の探偵たち 上・下」ロベルト・ボラーニョ
『野生の探偵たち 上 (エクス・リブリス)』
『野生の探偵たち 下 (エクス・リブリス)』
ロベルト・ボラーニョ,柳原孝敦,松本健二
白水社
2010/04/01
1975年の大晦日、二人の若い詩人アルトゥーロ・ベラーノとウリセス・リマは、1920年代に実在したとされる謎の女流詩人セサレア・ティナヘーロの足跡をたどって、メキシコ北部の砂漠に旅立つ。出発までのいきさつを物語るのは、二人が率いる前衛詩人グループに加わったある少年の日記。そしてその旅の行方を知る手がかりとなるのは、総勢五十三名に及ぶさまざまな人物へのインタビューである。彼らは一体どこへ向かい、何を目にすることになったのか。
1976年、ソノラ砂漠から戻った二人の詩人、アルトゥーロ・ベラーノとウリセス・リマは、メキシコを離れ、それぞれヨーロッパに渡る。その後、世界各地を放浪する二人の足取りは、メキシコに残ったかつての仲間たち、作家、批評家、編集者、トロツキーの曾孫、ウルグアイ人の詩人、チリ人密航者、アルゼンチン人写真家、ガリシア人弁護士、女ボディビルダー、オクタビオ・パスの秘書、大学教授など、実在・架空のさまざまな人物の口から伝えられる。最後に少年の日記から明らかにされる二人の逃避行の理由とは?強烈な皮肉とユーモアに貫かれた、半自伝的傑作長編。
「煙の樹」デニス・ジョンソン
『煙の樹 (エクス・リブリス)』
デニス・ジョンソン,藤井光
白水社
2010/02/01
ベトナム戦争を真正面から描いた傑作長篇。『ジーザス・サン』の作家が到達した、『エレクトリック・レディランド』!「全米図書賞」受賞作品。
「青い野を歩く」クレア・キーガン
『青い野を歩く (エクス・リブリス)』
クレア・キーガン,岩本正恵
2009/12/01
白水社
封建的で、因習に縛られる男たち、内なる衝動に突き動かされ、息苦しい日常の外へ飛び出そうとする女たち–「ケルト文化」が今も息づくアイルランドの田舎を舞台に、「人間の臭みと神話が融合した世界」を描いた短篇集。
「悲しみを聴く石」アティーク・ラヒーミー
『悲しみを聴く石 (エクス・リブリス)』
アティーク・ラヒーミー,関口涼子
2009/10/01
白水社
女は、もはや意識もなくただ横たわるだけの夫に、初めて愛おしさを覚える。そして、自分の哀しみ、疼き、悦びを語って聞かせる。男は、ただ黙ってそれを聞き、時に、何も見ていないその目が、妻の裏切りを目撃する。密室で繰り広げられる、ある夫婦の愛憎劇。アフガン亡命作家による“ゴンクール賞”受賞作。
「ミスター・ピップ」ロイド・ジョーンズ
『ミスター・ピップ (エクス・リブリス)』
ロイド・ジョーンズ,大友りお
2009/08/01
白水社
ブーゲンヴィル島の13歳の少女マティルダは、白人の「先生」ワッツの教えで、孤児のピップが活躍するディケンズの小説『大いなる遺産』の世界に魅せられる。しかし、独立抗争の影が島に忍び寄り、思いもかけない惨劇が…。「物語の力」を謳いあげた、胸に響く傑作長編。英連邦作家賞受賞作。
「通話」ロベルト・ボラーニョ
『通話 (エクス・リブリス)』
ロベルト・ボラーニョ,松本健二
2009/06/01
白水社
『通話』-スペインに亡命中のアルゼンチン人作家と“僕”の奇妙な友情を描く『センシニ』、第二次世界大戦を生き延びた売れないフランス人作家の物語『アンリ・シモン・ルプランス』ほか3編。『刑事たち』-メキシコ市の公園のベンチからこの世を凝視する男の思い出を描く『芋虫』、1973年のチリ・クーデターに関わった二人組の会話から成る『刑事たち』ほか3編。『アン・ムーアの人生』-病床から人生最良の日々を振り返るポルノ女優の告白『ジョアンナ・シルヴェストリ』、ヒッピー世代に生まれたあるアメリカ人女性の半生を綴る『アン・ムーアの人生』ほか2編。
「イエメンで鮭釣りを」ポール・トーディ
『イエメンで鮭釣りを (エクス・リブリス)』
ポール・トーディ,小竹由美子
2009/04/01
白水社
アルフレッド(フレッド)・ジョーンズ博士は、研究一筋の真面目な学者。水産資源の保護を担当する政府機関、国立水産研究所(NCFE)に勤めている。ある日、イエメン人の富豪シャイフ・ムハンマドから、母国の川に鮭を導入するため力を貸してもらえまいかという依頼がNCFEに届く。フレッドは、およそ不可能とけんもほろろの返事を出すが、この計画になんと首相官邸が興味を示す。次第にプロジェクトに巻き込まれていくフレッドたちを待ち受けていたものは?手紙、eメール、日記、新聞・雑誌、議事録、未刊行の自伝などさまざまな文書から、奇想天外な計画の顛末が除々に明らかにされていく。前代未聞の計画に翻弄される人々の夢と挫折を描く、ほろ苦い笑いに満ちた快作。ボランジェ・エブリマン・ウッドハウス賞受賞作。
「ジーザス・サン」デニス・ジョンソン
『ジーザス・サン (エクス・リブリス)』
デニス・ジョンソン,柴田元幸
白水社
2009/03/01
《アメリカ短篇小説の最高峰》
本書の原書が刊行されたのは1992年。それ以来、多くの読者に衝撃を与え、20世紀末のアメリカ短篇集の最高峰として、誰もが名を挙げる一冊でありつづけている。
デニス・ジョンソンは、旧西ドイツ、ミュンヘン生まれ。ジミ・ヘンドリックスのギターに影響を受けて文章を書きはじめたという。デビュー以来、核戦争後の近未来や、暴力とドラッグに染まった現代アメリカ社会の裏面を精力的に描きつづけている。最新長編『煙の樹』(<エクス・リブリス>シリーズにて刊行予定)で《全米図書賞》を受賞、《ニューヨーク・タイムズ年間最優秀図書》にも選ばれた。
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「ダンダン」俺はダンダンから薬をもらおうと、農場まで出かけた。しかしダンダンは、銃で知り合いを撃ってしまったという。死にかけた男を医者まで送り届けるドライブが始まった。
「仕事」俺はホテルでガールフレンドとヘロインを打ちまくっていた。喧嘩をした翌朝、バーで金儲けの話に乗ることにした。空き家に押し入り、銅線を集めて、スクラップとして売る仕事だった。
「緊急」俺は緊急治療室で働きはじめた。仕事は暇で、雑役夫と薬をくすねていた。深夜、目にナイフが刺さった男が連れられてきた。手術の準備中、雑役夫がそのナイフを抜いてしまった。
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最果てでもがき、生きる破滅的な人びと……悪夢なのか、醒めているのか? 幻覚のような語りが心を震わす、11の短篇。
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