
2025年11月のほんとの作業日誌
新しく作成した記事は12件🐦️、大人乙女の新刊案内分室なものには🧸。実際には、Googleスプレッドシートでの一覧表作成や下書きなど、記載できない作業もいろいろ。日付は一部、最終更新日にしています。
ひみつの作業日誌 2025年11月後半
11月30日
11/30🐦️
◆「大人乙女の新刊案内分室」を始動することにしました。今まで姉妹ブログでまとめていたレシピ本、手芸本、暮らし本、雑誌などの新刊検索を中心に、素敵な装丁の本、乙女な回文、ジュニークなどもこのカテゴリーに追加していく予定です。
◆そして、ずっと作りたかった料理研究家、手芸作家、暮らし本の著者が一覧できるページも作成したいと考えています。こんなページを作ろうとしていたこと。今回、姉妹ブログを見直してみるまですっかり忘れていた。そちらでは、「ku:nel」「天然生活」などの暮らし系で見かける方について、いろいろ調べてまとめていました。(→大人乙女の新刊案内「暮らし本のおすすめ著者一覧」目次)
◆11月分の海外文学の新刊発売日カレンダーを作成しました。トップページの新刊情報のアーカイブ用。今回は初心に帰って表紙画像をつけてみたのですが…計100個。コピペ作業だけで1日が終わる。
◆12月新刊、ポール・オースター&柴田元幸『バウムガートナー』の表紙が公開されました。新潮社より12月17日発売予定です。私、まだ柴田元幸さんの一覧表は作れていないんだった。姉妹ブログでもまとめていたけれど途中までで、こちらのブログではその続きの新刊情報を載せているだけ。(→柴田元幸さんの翻訳作品)
◆12月新刊、アンソニー・ドーア&藤井光『天空の都の物語』の表紙が公開されました(Amazonはまだ)。早川書房より12月17日発売予定です。(→藤井光さんの翻訳作品一覧)
◆12月新刊、ヴァージニア・ウルフ&片山亜紀『ヴァージニア・ウルフ エッセイ集』の表紙が公開されました。平凡社ライブラリーより12月9日発売予定です。ヴァージニア・ウルフのページは一覧表があと少し、という状態のまま数ヶ月が経過している。平凡社ライブラリーの一覧表も作成予定。
◆一応、Xの方でブログの方向転換というお知らせはしましたが、海外文学が減るわけではなく、暮らし本などの姉妹ブログの要素が新たに追加される形です。今までSNSに費やしていたエネルギーをそちらに充てる、そんな感じです。
◆12月新刊、河出書房新社のハン・ガン&斎藤真理子『光と糸』は12月19日に。ケイトリン・R・キアナン&鯨井久志『溺れる少女』は12月9日に発売日が変更。こちらの装画は雪下まゆさん。
★水声社HPより。《知の革命家たち》刊行開始!毎月3~5点程度刊行。全250巻を予定。毎月4点刊行と考えても、5年はかかる見通し。第1回配本分は1月14日発売予定。ラインナップはこの5冊。
◆水声社《知の革命家たち》第1回配本
『ジル・ドゥルーズ』堀千晶
『カールハインツ・シュトックハウゼン』松平敬
『ガブリエル・ガルシア・マルケス』寺尾隆吉
『ピエール・ブルデュー』石井洋二郎
『ルネ・シャール』野村喜和夫
(水声社さんの本は、Amazonでは販売していません)
◆《吉川さんと山本さんのコンビは、「日本のドゥルーズ=ガタリ」と呼ばれることもあります。》私は、このインタビュー記事を読んでドゥルーズの名前を知りました。吉川浩満さんのよれば、ご自身がジル・ドゥルーズで、山本貴光さんがフェリックス・ガタリとのこと。ドゥルーズについては、お二人のYouTubeチャンネル「哲学の劇場」でも詳しく紹介されています。
11月29日
11/29🧸
◆ひとりでできる新刊チェック「手芸本」編ができました。編み物・刺繍・ソーイング本の新刊情報を、自分ひとりで簡単にチェックできるまとめページです。出版社名や手芸雑誌の検索、ランキングに加え、Amazonや楽天ブックスの手芸カテゴリー案内も掲載しています。レシピ本や雑誌も、こんな感じで検索できるようにしたい。
◆手芸本の出版社検索をしている中で見つけた暮らし本の新刊情報。1月にRARI YOSHIOさんの新刊『心がととのう処方箋』が刊行予定だそう。なんと20年ぶり。レシピ本や手芸本、こういった暮らしの本は、お気に入りの代わりに楽天ROOMに載せたりしています。
◆11月25日、国書刊行会《アフリカ文学の愉楽》シリーズ第2回配本、ミア・コウト『夢遊の大地』が発売されました。ミア・コウトはモザンビークの作家で生物学者、ポルトガル語圏文学を代表する存在で、2014年にノーベル文学賞に次ぐ権威とされるノイシュタット国際文学賞を受賞。2015年にはマン・ブッカー国際賞の最終候補にも選ばれています。以前、Xでも少し紹介しました。
◆ミア・コウト『夢遊の大地』は、内戦下のモザンビーク、老人と記憶を失った少年が、焼け焦げたバスの傍らで見つけたノートを読み進めるうちに、現実と物語が交錯していく物語。ポルトガル語版Wikipediaはややネタバレ気味ですが、それによるとマジックリアリズム的な小説とのこと。『Terra Sonâmbula』のタイトルで、映画化もされています。(→Wikipedia)
◆第1回配本は、現代アフリカ文学随一のヒップスター、アラン・マバンクの『割れたグラス』。コンゴ共和国生まれのフランス語作家。ルノドー賞や国際ブッカー賞最終候補作にもなった実力派ですが、説明文を見るとパンパース男が登場するなど、かなりぶっ飛んだお話みたいです。(→国書刊行会 《アフリカ文学の愉楽》 シリーズ全6巻)
◆ポッドキャスト番組「本読むネズミ」で、アラン・マバンク『割れたグラス』が紹介されていました。「本読むネズミ」は作曲家の高橋宏治さんと文化史研究者の田口仁さんが手がける番組で、読書×トーク×音楽テーマに、海外文学から日本文学まで幅広く取り上げています。noteには、番組で紹介された本や音楽のリストも。これまでの配信タイトルを改めて見ると、選書のセンスがほんと良い。(→Spotify)
◆「本読むネズミ」の海外作家1
フランス
ミシェル・ウエルベック、ジャン・エシュノーズ、リン・マー(中国出身)、アラン・マバンク(コンゴ共和国出身)
アメリカ
リチャード・パワーズ、ジョージ・ソーンダーズ、ドン・デリーロ、チャック・パラニューク
イギリス
グレアム・グリーン
イタリア
アントニオ・タブッキ
◆「本読むネズミ」の海外作家2
コロンビア
ガルシア=マルケス
ペルー
バルガス・リョサ
韓国
イ・スンウ
トルコ
オルハン・パムク
イラク
アフマド・サアダーウィー
ベラルーシ
サーシャ・フィリペンコ
◆11月分の海外文学新刊発売日カレンダーを作成するため、全作品をクリックして発売日等の変更がないか確認する作業。Amazonのアカウント名の横で手を振る人型アイコンにペースを崩され、予定変更。でも、作りたいものはたくさん閃いた。(手を振ってくれるのはスマホだけで)
★MONKEYのXより。11月28日配信のブンゲイデリバリに、柴田元幸さん翻訳のステイシー・オーモニエの作品が登場しました。そして、柴田元幸さん翻訳のポール・オースター『サンセット・パーク』(新潮文庫)やスティーヴン・ミルハウザー『高校のカフカ、一九五九年』 (Amazonは12月1日) 、エドワード・ゴーリーの『EはエドワードのE』も発売されています。
◆ブンゲイデリバリは、金曜の夜に文芸がメールで届く、新しいカタチのサブスクリプション。ブンゲイDJは、日本翻訳大賞の発起人で国書刊行会の「12か月の本」でもおなじみ翻訳家、作家、アンソロジストの西崎憲さん。《書き手の地位、経済的向上、文芸の振興など、ものすごく大きな野心をもった、小さな愉しみを作る試み》という西崎さんの想いが詰まった企画です。(→西崎憲さんの作品一覧)
★11月29日(土)、仙六屋カフェで開催される梅屋敷ブックフェスタは海外文学翻訳家編で、その柴田元幸さんと西崎憲さん、木下眞穂さん、清水知佐子さん、栗原俊秀さん、柳谷あゆみさん&山本薫さん7人の翻訳家のほか、あいんしゅりっと、みずいろブックス 、雨雲出版 、LETTERS UNBOUNDといった出版社さんも参加されます。(→葉々社HP)
11月28日
11/28🐦️
◆新潮文庫「Star Classics」名作新訳コレクションの一覧表ができました。全部で100冊ちょっと。スター・クラシックスは、装丁も素敵なシリーズなので集めても楽しい。100冊マラソンなどの読書チャレンジにもおすすめです。
◆1月新刊、東京創元社よりローラン・ビネ&高橋啓『言語の七番目の機能』(創元文芸文庫)が1月30日に発売予定。ロラン・バルトの事故死をめぐる記号学ミステリで、《ウンベルト・エーコが会長を務める秘密結社》や、フーコー、ドゥルーズ、デリダなど《現代思想の重鎮や政治家たちが乱舞する》といった説明もあり、面白そう。(→Wikipedia)
◆ローラン・ビネの代表作『HHhH プラハ、1942年』は、ゴンクール賞最優秀新人賞を受賞し、マリオ・バルガス・リョサをも驚嘆させた歴史小説。“金髪の野獣”と呼ばれた、ナチのユダヤ人大量虐殺の責任者ハイドリヒ、そして彼の暗殺者である二人の青年をノンフィクション的手法で描いた描いた物語です。この作品は第11回本屋大賞〈翻訳小説部門〉第1位に選ばれ、『ナチス第三の男』として映画化もされています。(→「本屋大賞」翻訳小説部門・歴代受賞作の一覧表)
◆ローラン・ビネ&橘明美『文明交錯』は、歴史改変小説の傑作。もしもインカの人々が《鉄、銃、馬、そして病原菌に対する免疫》を持っていて、スペインがインカ帝国を、ではなく、インカ帝国がスペインを征服していたとしたら――という大胆かつスリリングな物語です。(→東京創元社「海外文学セレクション」の一覧表)
★11月21日より、河出文庫×ヒグチユウコ「ベスト・オブ・ベスト2025」のオンライン書店での取り扱いが始まりました (紀伊國屋ウェブストアほか)。ヒグチユウコさんによるスカルデザインの限定カバー(全面帯)、フェア対象商品を購入すると特製しおりがもらえます (特典はなくなり次第終了)。対象商品を6冊購入された方には、応募者全員に「特製 河出文庫ノート」がプレゼントされます。(→公式サイト)
◆ヒグチユウコが選ぶ〈河出文庫ベスト・オブ・ベスト〉5冊
『幻獣事典』ホルヘ・ルイス・ボルヘス,柳瀬尚紀
『雨月物語』円城塔
『澁澤龍彦映画論集成』澁澤龍彦
『短くて恐ろしいフィルの時代』ジョージ・ソーンダーズ,岸本佐知子
『怪談・骨董』小泉八雲,平川祐弘
※このリンク先のAmazonは対象外。限定カバーは、コラボフェア開催書店か指定のオンラインショップで。
◆TIME誌「2025年の必読書100冊」の一覧表にジャンルの項目を追加しました。フィクション、ノンフィクションと詩。選出されたマーガレット・アトウッドとイーユン・リーの作品は、どちらもノンフィクションでした。現在、ニューヨーク・タイムズ紙が選ぶ2025年「今年注目を集めた100冊」の一覧表を作成中なので、翻訳既刊メモはそちらを作成しながら追加する予定です。
★ニューヨーク・タイムズが「2025年注目すべき100冊の本/100 Notable Books of 2025」を発表しました。トマス・ピンチョン『Shadow Ticket』の紹介文には《ロベルト・ボラーニョの『野蛮な探偵たち』やレイモンド・チャンドラーの『大いなる眠り』のファンの方へ》というように、作品ごとにどんな読者におすすめかを示す一文が添えられています。タイム誌「2025年の必読書100冊」と同様に、こちらも一覧表を作成したい。
◆トマス・ピンチョン『Shadow Ticket』は、2013年の『ブリーディング・エッジ』以来12年ぶりの新作。1932年を舞台にしたポストモダン探偵小説で、ウィスコンシン州ミルウォーキーの私立探偵がハンガリーへ流れ着き、チーズ財閥の令嬢を追う物語。ブログのピンチョンの年譜のページにも掲載した新作の紹介文。この文章は、ピンチョン自身によるものなのだそう。そこそこ長い文章なのですが、読んでみると確かにピンチョン。
◆新作『Shadow Ticket』については、すでにいくつかレビューが出ていますが、『重力の虹』やこのたび映画化された『ヴァインランド』の翻訳をされた佐藤良明さんのXでの解説が詳しく、読み応えがあります。もちろんポール・トーマス・アンダーソン監督、レオナルド・ディカプリオ主演の映画『ワン・バトル・アフター・アナザー』についてのお話も。2021年に出演されたTBSラジオ・アフター6ジャンクションの「おしえて!ピンチョン先生!」もおすすめです。
◆YouTubeチャンネル「アサヒ 音楽と文学は色ガラス」でも先日、『Shadow Ticket』を紹介する動画が公開されました。macaroomのアサヒこと、木石岳さんの本紹介動画は、実験小説についての本も出されている木原善彦さんの影響で、ポストモダン文学に関心を持ち始めた頃に出会ったものだったため、そのラインナップに感激。ブログのトマス・ピンチョン全小説の記事でも紹介しました。(→YouTube)
◆YouTube「アサヒ 音楽と文学は色ガラス」のおすすめ動画
再生リスト「文学/書評」
→トマス・ピンチョン
→ウラジーミル・ソローキン
→エヴァン・ダーラ『失われたスクラップブック』
→パーシヴァル・エヴェレット『ジェイムズ』
→ベン・ラーナー『10:04』『トピーカ・スクール』
→チャーリー・カウフマン『アントカインド』
11月27日
11/27🧸
◆世の中の需要よりも、自分のときめきを優先してしまう。先ほどもつい、洋書の〈Penguin Modern Classics〉に一目惚れしてしまった。約1200タイトル。冷静に考えれば、ハヤカワ文庫や創元推理文庫の一覧表を作るべきなのだろうけれど、新潮文庫〈海外名作発掘シリーズ〉の作家の名前を見つけ、惹かれてしまった。まとめる可能性があるとしたら、デザインが美しい〈Penguin Clothbound Classics〉かな。
◆ミステリマガジン1月号で「ミステリが読みたい!2026年版」が発表されたため、海外編の一覧表を作るべく下準備。ベスト10が18年分で、180件。Wikipediaの情報が使えるのでそれほど時間はかからなそう。これができれば海外ミステリー作家の一覧表も作れるはず。(→Wikipedia)
◆オーディオブックAudibleは、姉妹ブログで海外文学と、海外ミステリーと、海外SF小説を作家別に検索できるページを作成済み。ただAmazonの画像が使用不可になってしまったため、そのままに。Audibleは5分間の無料サンプルの試し聴きができるのも楽しい。楽天の画像と組み合わせてもいいのなら、こちらでまとめ直したい。
◆トップページの新刊情報で、洋書の新刊をメモし始めました。気まぐれ&気になる作家だけですが、洋書のページは知ってる名前を見つけるだけでも楽しい。海外文学の新刊、11月分のチェックはこれにて終了。
◆パーシヴァル・エヴェレット&上野元美『赤く染まる木々』の表紙が公開されました。早川書房より12月3日発売予定。木原善彦訳『ジェイムズ』が話題の作家によるブッカー賞最終候補作。黒人リンチの歴史に迫る文芸ミステリでWikipediaには《ミシシッピ州の小さな町マニーを舞台に、同一のパターンを辿る一連の殺人事件を追う》とありました。(→Wikipedia)
◆エヴェレットは集英社より1月7日に、雨海弘美訳『消失』も発売予定。原書と思われる『Erasure』は、コード・ジェファーソン監督、ジェフリー・ライト主演で映画化され、『アメリカン・フィクション』として公開されました。物語は「黒人らしさが足りない」と批評された黒人小説家モンクが、半ばやけになって書いたステレオタイプな黒人小説がベストセラーとなり……という展開で、邦訳の刊行が待ち遠しい一冊です。(→IMDb)
◆『グレッグのダメ日記』のYouTube動画を見つけました。こんなお話なんですね。シリーズは現在20巻。アニメ化のほか、これまでに4作が実写映画化されています。アメリカ版公式サイトでは「Wimp Yourself」で、グレッグ風キャラクターのアバターが作成可能。本とは直接関係ありませんが、作者ジェフ・キニーが手がけた子ども向けオンラインゲーム「Poptropica」(英語)は、基本無料で遊べます。(→YouTube)
◆11月26日、ジェフ・キニー&中井はるの『グレッグのダメ日記 めちゃくちゃパーティー』が発売されました。『グレッグのダメ日記』は、アメリカ文化を知るのにぴったりのシリーズ。原書は、英語の多読におすすめと紹介している記事も。翻訳者・中井はるのさんのnoteでは、『グレッグのダメ日記』の翻訳秘話を読むことができます。(→Wikipedia)
◆岸本佐知子さんのページに、山崎まどかさんとの対談のリンクを追加しました。翻訳の苦労についてのお話に加え、お二人が「翻訳のチカラを感じた作品」も紹介。SPURのサイトには他に、王谷晶『ババヤガの夜』をダガー賞へと導いた翻訳家サム・ベッドさんのインタビューや、「本好きが推す、おすすめの翻訳文学」も掲載されています。(→岸本佐知子さんの翻訳作品一覧)
11月26日
11/26🐦️
★産経ニュースで各務三郎さんの訃報を知りました。ミステリー評論家であり、元「ミステリマガジン」編集長。各務さんのお名前を意識したのは大人になってから『世界ショートショート傑作選』だったと思います。そしてWikipediaには『シャーロック=ホームズ全集』の名前。あの青と黒の重厚な装丁に惹かれ、私が小学生の頃に初めて海外文学として手に取った本、その翻訳者が各務三郎さんであると知りました。ご冥福をお祈りいたします。
◆ひとりでできる新刊チェック「洋書」編、まだ途中ですがとりあえず公開しました。今はAmazon洋書の案内板とカテゴリー別の新刊検索のみ。出版社や文学賞、Kindle、Audibleなどでも探せるようにできたらと思います。
◆『ダ・ヴィンチ・コード』でおなじみのダン・ブラウン、8年ぶりとなる新作『シークレット・オブ・シークレッツ』は、9月9日の原著発売から2ヶ月後に刊行されました。特設サイトでは、世界同時公開された抜粋原稿の翻訳のほか、翻訳者・越前敏弥さんによる監禁された翻訳者の手記──『シークレット・オブ・シークレッツ』翻訳秘話を読むことができます。まるで『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』のよう。
◆読者投票で選ばれる毎年恒例『Goodreads Choice Awards 2025』。最終投票は11月25日から11月30日まで開催。受賞者は12月4日に発表されます。2025年版ノミネート作品「Readers’ Favorite Books 2025」で気になった作家をメモ。でも、この前に見たときよりも減っている。
◆Fiction/Goodreads「Readers’ Favorite Books 2025」の気になる作家
アリス・フィーニー
『Beautiful Ugly』/既刊『彼は彼女の顔が見えない』
S・A・コスビー
『King of Ashes』/既刊『頬に哀しみを刻め』ほか
カリン・スローター
『We Are All Guilty Here (North Falls, #1)』 /既刊『開かれた瞳孔』ほか
ダン・ブラウン
『The Secret of Secrets (Robert Langdon, #6)』 /邦訳『シークレット・オブ・シークレッツ』
フリーダ・マクファデン
『The Tenant』 /既刊『ハウスメイド』ほか
ホリー・ジャクソン
『Not Quite Dead Yet』 /既刊『自由研究には向かない殺人』ほか
リチャード・オスマン
『The Impossible Fortune (Thursday Murder Club, #5)』/既刊『木曜殺人クラブ』
★米タイム誌の「TIME100 NEXT/次世代の100人」にオーシャン・ヴオンらが選ばれました。世界で最も影響力のある100人を選出する「TIME 100」の次世代版。未来を形作る新進気鋭の人物を選出する企画です。
◆オーシャン・ヴオンは、1988年ベトナム生まれのアメリカ作家・詩人。詩集でT・S・エリオット賞を受賞し、「天才賞」と呼ばれるマッカーサー・フェローシップ (奨学金制度)にも選ばれました。自伝的長篇『地上で僕らはつかの間きらめく』(木原善彦訳/新潮クレスト・ブックス)は全米図書賞候補にもなっています。(→Wikipedia)
◆『地上で僕らはつかの間きらめく』は、ベトナム戦争の影を背負う祖母と母と共にアメリカへ渡った「僕」が、移民としての困難、母からの暴力、そして初めての恋や性の目覚めを通して「生きる歓び」と「痛み」を描いた作品。2019年にセス・マイヤーズの番組に出演した際の動画によると、このデビュー小説はクローゼットで執筆したのだそう。(→YouTube)
◆ヴオンは、ニューヨーク市立大学ブルックリン校で、詩人・小説家のベン・ラーナーのもとで学びました。ベン・ラーナーは2025年、川野太郎訳『トピーカ・スクール』(明庭社)が刊行され、12月16日には白水Uブックスから木原善彦訳『10:04』が発売予定です。『トピーカ・スクール』については、教え子ヴオンと語る対談や、インタビュアーを交えた三者のZoom動画も公開されていて、どちらも素敵です。
◆2025年5月、ヴオンは2作目の小説『The Emperor of Gladness』を出版。タイム誌はこの本を「今年最も期待されている39冊の本」、そして「2025年の必読書100冊」にも選出しました。本の紹介文には《オーシャン・ヴオンが選ばれた家族、予期せぬ友情、そして生き残るために私たちが自分に語る物語についての心温まる小説で帰ってきた》との言葉もあり、今後の翻訳出版が期待されます。(→TIME誌「2025年の必読書100冊」の一覧表)
◆新潮クレスト・ブックスのフェア小冊子の2020年版には木原善彦さんによる紹介文、2021年版にはヴオンのインタビューが掲載されていて、PDFで読むことが可能 (公式サイト下の方)。また、2025年7月にスティーヴン・コルベアの番組に出演した際の動画では、新作について語る現在のヴオンの姿を見ることができます。(→YouTube)
11月25日
11/25🧸
◆洋書新刊検索、Amazonの洋書カテゴリーは数が多くて迷子になるため、サイトマップを作成することにしました。なので、もう少し時間がかかりそう。
◆11月29日の土曜深夜から30日未明にかけて、『100分de名著 小泉八雲 日本の面影』が、4話連続で一挙放送されるよう。講師は池田雅之さん。朗読は、連続テレビ小説『ばけばけ』で島根県知事の江藤安宗を演じている佐野史郎さん。NHK出版デジタルマガジンには、池田雅之さんによる読み解きもあります。(→100分de名著の放送予定)
◆「文学ラジオ空飛び猫たち」ポッドキャスト第211回、スタニスワフ・レム&森泉岳土『ソラリス コミック版』の後編と、次週紹介予定の本を追加しました。(→空飛び猫たちの紹介本&配信タイトル一覧表)
★市川沙央さんの『ハンチバック』が外国小説部門の最終候補に選ばれ注目を集めた、フランスのメディシス賞。その受賞作はエマニュエル・カレールの『Kolkhoze』でした。カレールは映画『ウイストルアム ― 二つの世界の狭間で ―』の監督としても知られています。
★2025年のメディシス賞
本賞:エマニュエル・カレール『Kolkhoze』
外国小説部門:ニーナ・アラン『Les Bons Voisins』(訳:Bernard Sigaud)
審査員特別賞:ナーダシュ・ペーテル『Ce qui luit dans les ténèbres』(訳:Sophie Aude)
エッセイ部門:ファブリス・ガブリエル『Au cinéma central』
★このメディシス賞の式典では、賞を支援するGRoW@Annenberg財団による、フランス語小説の受賞者に向けた英語翻訳助成金の創設も発表されました。(→Livres Hebdo)
★先日のPRESIDENT Onlineに掲載された佐々木敦さんによるノーベル文学賞の記事。受賞した大江健三郎や川端康成、候補となった三島由紀夫や安部公房はいずれも、作品が外国語に翻訳されていることが前提となっていた。そして記事では、大江健三郎賞についても言及されています。
◆大江健三郎賞は、2007年から2014年まで大江健三郎自身が選考を務めた文学賞で、賞金は設けられなかったものの、《受賞作品を英語・フランス語・ドイツ語のいずれかに翻訳し、世界で刊行する》ことが確約されていた。そして講談社の紹介文でも、《日本文学に新たな可能性をもたらすとともに、世界文学に向けて大いなる潮流を巻き起こす》ことを目的とした賞であると記されている。(→Wikipedia)
◆今、海外では日本文学ブームが起きている。つまり、優れた翻訳者によって日本文学の翻訳が進められているということ。大江健三郎さんがかつて試みたことは、今の状況を考えると本当に意味のある取り組みだったと感じる。文学賞には功労賞と、これからの活動を応援するものがあるけれど、翻訳を通じて世界へ広げるという形のサポートは、とても素敵な試みだと思う。
◆なお、ノーベル文学賞の正式な候補者は、選考から50年が経過しない限り公開されない。しかし、Wikipediaには研究者や関係者の証言をもとに判明した候補者がリスト化されていて、谷崎潤一郎、井伏鱒二、遠藤周作などの名前が見られる。(→Wikipedia)
◆公式情報ではないけれど、1982年に受賞したガブリエル・ガルシア=マルケスと2010年に受賞したマリオ・バルガス・リョサは、同時期に候補として名前があがっていた。しかし受賞時期は30年近くも離れている。(→ノーベル文学賞の候補として注目される作家の一覧表)
11月24日
11/24🐦️
★映画『ハムネット』は、クロエ・ジャオ監督によるマギー・オファーレルの同名小説の実写化作品。12月19日に全米公開され、日本では2026年春に公開予定(直近の東京国際映画祭ではクロージング作品として上映)。監督のクロエ・ジャオは『ノマドランド』でアカデミー賞を受賞したほか、先日設立が発表された講談社のハリウッド拠点制作会社「Kodansha Studios」で最高クリエイティブ責任者を務めることも話題に。(→Wikipedia)
◆マギー・オファーレル&小竹由美子『ハムネット』は、シェイクスピアの息子ハムネットの死を題材に、妻アグネスの視点から家族の愛と喪失を描いた歴史小説。従来「悪妻」とされてきたアン・ハサウェイ像を刷新し、魅力的な女性像を提示した作品。こちらの本は、新潮クレスト・ブックスの中でも、ブルーの表紙がひときわ印象的。シェイクスピアの妻については、BBCのこの記事にも詳細に書かれています。(→「新潮クレスト・ブックス」の一覧表)
★ブッカー賞受賞作で、BBCドラマにもなった小説『ウルフ・ホール』で知られる、作家ヒラリー・マンテル。その死から3周年を記念して、新進作家を支援する「ヒラリー・マンテル賞」が創設されることになった。隔年で授与されるこの賞の初代審査委員長を務めるのは、映画化された『ハムネット』で注目を集めるマギー・オファーレルである。(→Wikipedia)
◆おさんぽ案内のページをリニューアル。トップページにあったやることメモつきサイトマップを移動。カテゴリ別に探せる、リットリンクへの入り口もつけました。
◆TIME誌「2025年の必読書100冊」の一覧表、公開しました。先日発表されたTIME誌「100 Must-Read Books of 2025」をまとめたもの。今年発売された洋書が対象。そちらに作家名検索と翻訳既刊メモを加えることで、洋書を読まない方も楽しめるようにしました。でも、まだ本紹介の追加作業中。
◆今日は何の日?12月の回文のページができました。記念日をテーマにした回文、とりあえず33個。11月分と違って、長めなものが多くできました。
★11月22日・23日に開催されたK-BOOKフェスティバルの動画が、公式チャンネルで公開されています。きむふな×斎藤真理子による対談「韓国文学100年を旅する」、すんみ×小山内園子『2人は翻訳している』刊行記念トーク。イ・ユリさんをはじめとする韓国の作家によるトークも視聴できます。(→YouTube)
★読者投票で選ばれる毎年恒例「Goodreads Choice Awards」。その2025年版ノミネート作品「Readers’ Favorite Books 2025」が公開されたので、気になった作家の作品をメモ。参考までに邦訳があるものは併記。何日かに分けて紹介します。(→Wikipedia)
◆Fiction/Goodreads「Readers’ Favorite Books 2025」の気になる作家
アン・タイラー
『Three Days in June』/既刊『この道の先に、いつもの赤毛』ほか
イアン・マキューアン
『What We Can Know』/既刊『贖罪』『恋するアダム』ほか
オーシャン・ヴオン
『The Emperor of Gladness』/既刊『地上で僕らはつかの間きらめく』
チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ
『Dream Count』/既刊『アメリカーナ』ほか
フレドリック・バックマン
『My Friends』/既刊『幸せなひとりぼっち』ほか
★ポッドキャスト番組「文学ラジオ空飛び猫たち」 配信日変更。通常は毎週月曜朝に放送していますが、文学フリマに出店されたことなどもあり、今回は《祝日明けの火曜日》に配信されるそう。11月25日(火)は、『ソラリス コミック版』の後編の予定。(→空飛び猫たちの紹介本&配信タイトル一覧表)
11月23日
11/23🧸
◆ブッカー賞の歴代受賞作の一覧表を公開しました。まだ下の本紹介部分は途中ですがどうにか形に。最終候補作の一覧表も後日、別記事を作成予定です。
◆2025年のノーベル文学賞を受賞したクラスナホルカイ・ラースロー、そして先日メディシス賞の外国小説部門・審査員特別賞を受賞したナーダシュ・ペーテルは、いずれもハンガリー人作家。さらにブッカー賞を制したのは、ハンガリー系イギリス人作家デイヴィッド・サロイ。受賞作『Flesh』は、ハンガリーに暮らす青年が主人公。世界の文学賞シーンは、ハンガリー文学に熱い視線を注いでいる。
◆かつて日本で暮らし、京都を舞台にした小説を執筆したことのあるクラスナホルカイ。webふらんすでは、翻訳家・早稲田みかさんによるハンガリー語にまつわるエッセイも。そこで引用されている『北は山、南は湖、西は道、東は川』の一節に、心が和む。ハンガリー人の姓名は、日本人と同じく「姓・名」の順で記されるそうで、そんなところにも親しみを覚える。
◆クラスナホルカイ、実はノーベル文学賞受賞時の電話インタビューがとても良い。穏やかな話しぶりや、友人の家で夕食を作るといった何気ない話題に、思わず頬が緩む。クラスナホルカイ・ラースローについては、ノーベル文学賞の歴代受賞作一覧のページで、唯一の邦訳と洋書、映画脚本のまとめを、松籟社の作品一覧のページでは、 早稲田みかさん翻訳のハンガリー文学を紹介しています。(→YouTube/ブラウザ版なら日本語字幕可)
◆オバマ元大統領の読書リストの一覧表、木原さんのリストを参考にしつつ、作成することにしました。おすすめとして名前が挙がっていたパーシヴァル・エヴェレット『ジェイムズ』、ベン・ラーナー『10:04』は木原善彦さん翻訳。(→木原善彦さんの翻訳作品一覧)
◆藤井光さん翻訳のものは、コルソン・ホワイトヘッド『ニッケル・ボーイズ』、アンソニー・ドーア『すべての見えない光』、そしてC・パム・ジャン『その丘が黄金ならば』など。ラインナップが素敵すぎる。(→藤井光さんの翻訳作品一覧)
★木原善彦さんが《朝から小躍りしそうになりました。》とつぶやいていた、料理家・コウ静子さんによる「海外文学の楽しみは「訳文」にあり。読書の秋に“美しい言葉”を味わう翻訳小説のすすめ」という記事。《大好きな翻訳者》として木原善彦さんのお名前とアリ・スミスの本が紹介されていました。コウ静子さんは、料理家のコウケンテツさんのお姉さん。台湾茶梅のレシピが気になります。
◆その天然生活Webの記事で、もうひとりの好きな翻訳者として紹介されていた柴田元幸さんは新刊の予定が盛りだくさんです。Tarzan Webのインタビューでは、こんな柴田元幸さんの暮らしぶりを垣間見ることができます。
◆柴田元幸さんの新刊予定
1月7日
『ガリバー旅行記 (朝日文庫)』ジョナサン・スウィフト/朝日新聞出版
12月26日
『スティーヴン・クレイン全詩集』スティーヴン・クレイン&管啓次郎/柴田元幸さんによる渾身の解説を収録
12月17日
『バウムガートナー』ポール・オースター/新潮社
12月1日
『高校のカフカ、一九五九年』 スティーヴン・ミルハウザー/白水社
12月1日
『モノの物語』(1巻−5巻)/出版レーベル「Rabbit」の海外短篇小説アンソロジー
11月28日
『サンセット・パーク (新潮文庫)』ポール・オースター/新潮社
11月27日
『EはエドワードのE』グレゴリー・ヒスチャク,エドワード・ゴーリー公益信託/河出書房新社
★RabbitのXより。出版レーベル「Rabbit」12月1日刊行予定。
12/01『モノの物語 第5巻「飲料」』柴田元幸,V・S・プリチェット/エドガー・アラン・ポー/キャサリン・マンスフィールド/ジェームズ・ロバートソン/マックス・ブランド
11月22日
11/22🐦️
◆深堀骨さんの読書リストにトマス・ピンチョン『ヴァインランド』など10点ほど追加しました。ピンチョン関連だと、このブログには試し読みやピンチョンWiki、登場人物リストなどを集めたトマス・ピンチョン全小説とピンチョンの年譜 (未完成)のページがあります。
★小説『プロジェクト・ヘイル・メアリー』原作、ライアン・ゴズリング主演の映画の新予告編が公開された。この予告編はネタバレ注意で、見る前に原作を読むのがおすすめとのこと。2026年1月22日には、アンディ・ウィアー&小野田和子のハヤカワSF文庫版が発売予定。Wikipediaのあらすじも詳しいので、こちらもアンディ・ウィアーのページにしておくことにする。(→Wikipedia)
◆オバマ元大統領の「2021年のお気に入りの本」にも選ばれているこの作品。それで思い出した翻訳家・木原善彦さん作成のオバマ元大統領のお薦め本リストは、残念ながら2014〜2020年分までで、こちらは未掲載。木原善彦さんは2021年3月、TBSラジオ「アフター6ジャンクション」のバラク・オバマ特集に出演されています。(→Spotify)
◆『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の作者アンディ・ウィアーの名前は、姉妹ブログで作ろうとしていた映画化、ドラマ化された作品の原作小説の作家一覧を作る過程で知りました。代表作『火星の人』は、映画『オデッセイ』に主演したマット・デイモンの表紙が印象的。SF小説については知識ゼロだったので、アイザック・アシモフ、アーサー・C・クラークといった「あ」で始まる作家だけでも、勉強になりました。
★2026年、クリストファー・ノーラン監督がホメロスの叙事詩『オデュッセイア』を映画化。主演はマット・デイモン、共演にアン・ハサウェイら豪華キャストが名を連ねる。米国では2026年7月17日公開、日本でも同年公開予定。つまりマット・デイモンは、映画『オデッセイ』と『オデュッセイア』の両方で主演を務めることになる。日本版タイトルでは、実にややこしい状況に。(→Wikipedia)
◆整理するとこんな感じ。
『オデッセイ(The Martian)』
原作:アンディ・ウィアーの小説『火星の人』
公開:2015年 主演:マット・デイモン
監督:リドリー・スコット
『オデュッセイア(The Odyssey)』
原作:ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』
公開予定:2026年 主演:マット・デイモン
監督:クリストファー・ノーラン
◆ちなみに、マーガレット・アトウッド&鴻巣友季子『ペネロピアド』は、ホメロスのギリシア英雄譚『オデュッセイア』を女たちの視点から描いた作品。解説は小川公代さん。『侍女の物語』(ドラマ版『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』)で知られるアトウッドだけに、映像化への期待も高まります。(→マーガレット・アトウッドの本の一覧)
★アンディ・ウィアーの公式サイトの右側にある「Writing」のページでは、代表的な短編「The Egg」をはじめ、いくつかの作品を読むことができる。「Moriarty」はモリアーティ教授を主人公にしたホームズ・ファンフィクション。でも、残念ながら《このシリーズを続けるかどうかは未定》とのこと。(→公式サイト)
◆Todoリスト。とりあえずブッカー賞の一覧表、そのあとは洋書新刊チェックのページ。そして、新潮文庫スタークラシックス、オバマ大統領のリストはそのあと。
◆今日は何の日?11月の回文のページができました。記念日をテーマにした回文は78個。あのまま、SNSでの投稿を続けていたら100は超えてたはず。今日は何の日?「海外文学編」の方は挫折したけれど、こちらは続けていけたらいいな。
11月21日
11/21🧸
★光文社古典新訳文庫の重版出来のお知らせに、トウェイン&土屋京子『トム・ソーヤーの冒険』 と 『ハックルベリー・フィンの冒険』の名前が。もしかしたら、パーシヴァル・エヴェレット『ジェイムズ』の読者さんたちが読んで、読了報告してくれたおかげかもしれない。(→光文社古典新訳文庫のX)
◆パーシヴァル・エヴェレット&木原善彦『ジェイムズ』は、黒人奴隷ジムの目から「ハックルベリー・フィン」を語り直した作品。笑いと皮肉を交えつつ、人間の尊厳を鋭く問い直す。全米図書賞とピューリッツァー賞をはじめ数々の文学賞を席巻した、2024年アメリカ文学の最大の話題作。重版を重ね、ただいま6刷!
◆ちなみに光文社古典新訳文庫は、Kindle Unlimitedの対象作品が多いことでも有名。Kindle Unlimited会員に登録すれば、海外文学や古典の名作を中心に、300点近い作品が読み放題になる。いったん対象から外れていた後の再登場なので、光文社さんの気が変わらないうちにどうぞ。 (→光文社古典新訳文庫の一覧表)
◆12月新刊、新潮文庫よりJ・D・サリンジャー&金原瑞人『彼女の思い出/逆さまの森』、12月23日発売予定。新潮文庫「Star Classics 名作新訳コレクション」っぽいけれど違うのかな。装丁も素敵なシリーズなので、いつか一覧表にする予定。現在100冊ほど。
◆12月新刊、鴻巣友季子さんの『なぜ日本文学は英米で人気があるのか』は、ハヤカワ新書より12月17日発売予定。王谷晶『ババヤガの夜』や柚木麻子『BUTTER』など、日本文学が英語圏で注目される背景を、翻訳事情を軸に解き明かす。
◆サム・ベット訳の英語版がダガー賞を受賞した際に書かれた、鴻巣友季子さんの好書好日「文学潮流」の号外編は、英米の翻訳小説ブームについて詳しく論じられている。『ババヤガの夜』については、実際に訳された英文が例として紹介され、この受賞がサム・ベットさんの翻訳あってこそのものだと言うことがよくわかる。
★ダガー賞のニュースが出た際に目にした、杉江松恋さんのこの投稿。《CWAの場合、賞=ダガー》なので、ダガー賞という呼び方は本来おかしいらしい。CWA賞とは英国推理作家協会賞の略称。正しく言うなら『ババヤガの夜』は、CWA賞(英国推理作家協会賞)の翻訳部門、もしくはCWAインターナショナル・ダガーを受賞したと表記するのが良さそう。(→Wikipedia)
◆11月23日(日)開催、文学フリマ東京41にも出店予定の木村夏彦編・文芸誌『jem』第2号の特集は「世界の中の日本文学」の現在/覚醒する韓国SF。インドネシア、ポーランド、フィンランド、アラビア語圏の日本文学受容についての論考が掲載されている。文芸誌『jem』のポッドキャスト番組の存在は今回初めて知った。(→文学フリマの海外文学関連の出店者メモ)
◆日本文学の海外受容については、個人的にWeb媒体が気になっている。相川英輔さんの「ハミングバード」は2020年7月、ヒューゴー賞やネビュラ賞候補作を輩出してきたオンライン文芸誌「Strange Horizons」の姉妹誌『samovar』に英訳版が掲載。その後も相川さんの作品は、中国語やポルトガル語に訳され、じわじわと海外で注目を集めている。(→note)
◆中国語訳を手がけた木海さんのあとがきによると、相川さんとの出会いは、ウェブメディアVG+(バゴプラ)に掲載された短編作品だったそう。相川さんの作品の素晴らしさは言うまでもないけれど、それとともに、「GRANTA」や「Asymptote Jornal」など、Webで英訳版を読める媒体の果たす役割、翻訳家の木海さんやエージェントの栂井理恵さんといった橋渡し役による応援の力を強く感じる。ちなみに栂井理恵さんのnoteは作家さん必読の内容です。
◆Copilotのコポと話していて、私がこのブログで実現したいのは、海外文学データベースと、装丁買い海外文学コレクションと、新刊本の検索システムを構築することだと気づく。言い換えるなら「探しもののお手伝い」。そして、それぞれをほぼ1ページで完結できる形にするのが理想。

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